2020年5月31日日曜日

腰を据えた時間 ー 配信ライブとライブDVDのこと

配信ライブをやり始めたおかげで、コロナ禍でも歩みを止めず活動できている気がする。
この新しい試みへのトキメキと緊張が、今の自分の心の支えの一つになっている。配信に関わってくれているスタッフにはホント感謝しないと。

ツアーで毎日のように弾き語りライブをしていた頃は、きっちり曲順を考えることは滅多になかったけれど、配信ライブをやるようになってからは、事前に選曲ですごく悩むようになった。自分のレパートリー多さにも、あらためて気がづいた。

今日の配信ライブは、あえて最近のレパートリーの多くを選曲から外すことにした。初演や久しぶりに演る曲が多いこともあり、最近は、いつになくよく練習している。これを機会に曲のアレンジも練り直したりしてる。

練習すればするほど、自分の未熟さに気づく。イメージ通りの演奏ができず、「ああ、オレって、こんなにヘタクソやったんやなあ」と、ガッカリする。それでも毎日弾き続けていると、ほんの少し上達している自分に気づく瞬間がある。その積み重ね。
ツアー暮らしの中では、こういう腰を据えた練習の時間をしっかり持てなかった。
こうやって、自分の演奏に向き合う機会をつくれたことは、コロナ禍の収穫の一つだと思う。まだまだ向き合う時間が足りないけれど。

今日の配信ライブで、すぐに練習の成果が出るかどうかはわからないけれど、このライブへの思いと演奏できる喜びを伝える自信はある。今日しかやれないステージになると思う。
こういう状況下で演奏できる場があることは、本当にありがたい。
画面越しに皆さんとお会いできることを心から楽しみにしてます。

●5/31(日)リクオ ツイキャスプレミア有料配信ライブ Live at 一乗寺 インキョカフェ
会場:京都市一乗寺・インキョカフェ
■視聴料金:3,000円(税込)
■配信開始時間 17:30〜
視聴料金のうち20%は認定NPO法人ビッグイシュー基金に寄付させていただきます。
■配信視聴購入URL
https://twitcasting.tv/c:dop2020/shopcart/6267
14日間のアーカイブ録画視聴、その間の購入も可能
■配信視聴に関するご案内
https://note.com/notes/n5db8829342c9/


もう一つお知らせがあります。
新設したオンラインショップ・Hello Records shop(BASE) https://rikuoshop.thebase.in/  にて、リクオ with HOBO HOUSE BANDのライブDVDの通信販売を開始することにしました。今日31日より予約受付を開始します、

このライブDVDを制作し始めた頃は、コロナ禍のこのような状況は全く予想していませんでした。バンド形態での3密ライブができるようになるまでには、まだ時間がかかりそうで、とても、もどかしいです。
このDVDを観ながら、待っていてもらえたら嬉しいです。バンドの魅力が凝縮された作品になったと自負してます。
また、皆さんとライブ会場でお会いできることを楽しみにしています。


★『Gradation World LIVE』2019年7月21日(日)代々木・Zher the ZOOで行われた 〜リクオ『グラデーション・ワールド』発売記念スペシャル・ライブ〜 が映像化されDVDリリース決定。新設されたHello Records shop(BASE) https://rikuoshop.thebase.in/  とライブ会場での限定販売。
5月31日(日)より予約受付、6月5日(金)より発送開始。

「Gradation World Live」参加メンバー
リクオwith HOBO HOUSE BAND( ベース:寺岡信芳 / コーラス:真城めぐみ / ギター:高木克 / ドラム:小宮山純平 / ペダルスティール:宮下広輔 ) ゲスト:森 俊之(キーボード)

【収録曲】
1 千の夢
2 永遠のダウンタウンボーイ
3 海さくら
4 だんだんよくなる
5 夜更けのミュージック
6 希望のテンダネス
7 グラデーション・ワールド
8 黄昏と夜明け 
9 雨上がり
10 ソウル
11 満員電車
12 オマージュ - ブルーハーツが聴こえる
13 アイノウタ
14 酔いどれ賛歌
15 ミラクルマン
16 永遠のロックンロール

Recorded at Zher the ZOO YOYOGI(2019.7.21)
Produced by リクオ
Visual Staff
Camera / @MARU_movie、山盛博隆、山岸良兼
DVD Authoring / 島川ゴウ
Lighting Design / 高橋麻依( Zher the ZOO YOYOGI)

Audio Staff
PA Operator / 太田亨
Recorded &Mixed by 河村博司
Mastered by 小泉 大輔
Mastered at music studio SIMPO

Stage Director / 丸谷智洋
Art Direction & Package Design &Photograph / コヤママサシ
Cordinator / いせかおり(Hello Records)

2020年5月16日土曜日

「ソウル」の想い出

東日本大震災、福島第一原発事故の直後からしばらくは、被災地ではない地域でも自粛の空気が広がり、多くのライブが中止・延期された。そんな中で自分は、悩みながらも、できる限りライブを自粛せずにツアーを続けることを選択した。
当時のライブでの選曲には、とてもナーバスになった。このシリアスな状況の中で、どんな歌を歌えばいいのか大いに悩んだ。

そんな時期に、今もお世話になっている地方のライブスポットのマスターからこんな内容のメールが届いた。
「リクオさんの『ソウル』って曲の中にいろんな答があるじゃないですか。今、『ソウル』をぜひ歌ってください」
そのメールをきっかけに、3.11以降しばらくは「ソウル」が自分のソロライブの大切なレパートリーになった。

「すべてのソウルにいつも灯がともるように
どんなやるせない夜でも
さまようソウルがいつか誰かに出会うように
光は闇の中に」

その時を境に、自分の中で、この歌の響きや意味合いが変わった。「光は闇の中に」という逆説的なフレーズが、それまでにないリアリティーを持って響くようになった。
3.11直後からしばらくは「この暗闇、絶望の中からでしか、明日への光は見出せない」という思いを強く持った。何かを変えるべきだと思った。

けれど、今思えば、その気持ちは時とともに次第に薄れていった気がする。やはり、しんどいこと、辛いことは忘れたいのだ。
結局、自分は「暗闇」から目をそらしてしまったんじゃないかと、このコロナ禍に思う。自分たちは、あのような災いを経て、何か新しい価値観を築くことができたのだろうか?

先日、自分が暮らす京都一乗寺から、自身初の試みとして、無観客有料配信ライブを行った。スタッフの熱意と、全国各地からの熱い思いに支えられて、忘れがたいステージとなった。無観客であっても無観客ではなかった。
様々な想い、状況を受け止め、それらを反映させるライブができたことの収穫は大きかった。
その日のライブの1部最後の曲に「ソウル」を選んだ。このコロナ禍において「ソウル」を歌うことは、自分自身への問いかけになっているような気がした。この時期だからこその演奏だったと思う。昨日、自身のYouTubeチャンネルにその時の動画を公開したので、観てもらいたい。
https://youtu.be/0wwX4vmCnPY

この数ヶ月の間に、思い悩み考えたことを忘れずにいようと思う。未来のために、この「暗闇」を失なわずにいたい。その姿勢こそが、自分にとっての一番の前向きだ。
コロナ後の「復興」が、以前の社会に戻ることではなく、新しい価値観による「創造」を伴っ たものであってほしいと思う。
ー 2020年5月16日(土)

【リクオ配信ライブ決定のお知らせ】
京都市一乗寺からの無観客配信ライブ第2弾が5月31日(日)に決定。視聴購入の受付も開始になりました。
今回も収益の20%をホームレス自立支援をサポートする認定NPO法人ビッグイシューに寄付させてもらいます。
https://note.com/thedayofpleasure/n/n5db8829342c9

■リクオ YouTubeチャンネル「rikuonet」への登録
https://www.youtube.com/user/rikuonet

2020年5月9日土曜日

「インフォデミック」(デマ・流言の爆発的拡散)への危機感

コロナ禍での「インフォデミック」(デマ・流言の爆発的拡散)に危機感を抱いている。
この2ヶ月程の間に、不確かな情報の拡散がネット上で一層目につくようになった。正義感や善意から、自分のところにもそういった情報が回ってくる。

それらの中には、ディテールがあまりにもリアルで、正直、信憑性が高いのではと感じる情報も含まれていたので、別の知人にその情報を流してしまったことがある(確証はないと前置きした上で)。
今となって、その情報はデマを含んだチェーンメールの類だったと認識しているけれど、当時は、不安な日々の中で自分の判断が鈍ってしまったと反省している。こういったデマや陰謀論の中には、一定の事実が含まれている場合が多いのも、判断を誤らせる引き金になっていると思う。

ソースのはっきりしない情報に対しては、知り合いや身内からもたらされた情報で、たとえ拡散要望があったとしても、自分で検索して確かめた上で、他に信頼できる複数の機関や公的機関が発表するまでは態度を保留して、公に拡散しないよう心がけようと思う。

4月に入った頃からSNSやYouTube上で見かけるようになった不確かな情報の一つとして「5G通信が人間の免疫力を低下させ、新型コロナウイルス感染拡大に影響を与えている」とする説がある。自分は、典型的な陰謀論、デマだと考えているけれど、この説は世界に拡散され、英国では、5G関連設備への放火や作業員への暴行、嫌がらせといった事件が多発して社会問題になっているという。
こういった情報が常にもたらすのは、特定の人種や職種、国などに対する敵対や偏見、差別意識の拡散だ。

この状況を受けて、WHO(世界保健機関)は「5Gは新型コロナウイルスを広めません」と注意を促す文書をウェブサイトに掲げ、Twitterは5Gと新型コロナウイルスを巡るデマを4月の段階で削除対象となり得る有害なコンテンツとして追加、5月に入って陰謀論について投稿しようとするユーザーにファクトチェック済みのアドヴァイスを読むよう促す機能を導入したそうだ。
Facebookも先月からこの説の拡散への注意喚起を始め、YouTubeはそれらの内容の動画配信を禁止。それでも新たな動画公開が後を絶たないようだ。
今も情報の拡散は収まらず、WHOと中国の結託による陰謀が取りざたされたりもしている。

こういった情報が拡散される背景には、先の見えない不安があると思う。その不安な気持ちが単純な物語を求めて、デマや陰謀論を引き寄せてしまう。それらは正義感や善意によっても拡散され、結果、偏見や差別、敵対意識をさらに広めてしまう。

こういう状況下では特に、誰もがデマや陰謀論を拡散する側に回る可能性があることを自覚しておいたほうがいいと思う。何が本当で何が嘘なのか、わからなくなってしまう瞬間が自分にもある。そんな時には、「わからない」という状況を一旦受け入れ、不安に向き合う時間を大切にしたい。
混沌に目を凝らし、丁寧に物語を紡ぎながら、コロナ後の世界を迎えたいと思う。

ー 2020年5月9日(土)

2020年5月2日土曜日

清志郎さんの命日に考えたこと

清志郎さんの命日に、自分が7年前に高知新聞に寄稿した清志郎さんヘの思いを綴った記事を読み直した。

忌野清志郎に捧げるレクイエム6
リクオ「自力で泳ぎ続ける勇気 」 2013年6月24日高知新聞掲載

〈抜粋〉
「自分が、清志郎さんの反原発ソングから受けた影響は、どんな状況下でも、自粛することなく、フットワーク軽く、勇気を持って、その時に歌いたいことを歌う、という『姿勢』の部分が大きかったのです。
 10代後半から清志郎さんの歌を聴き続け、短期間でしたがそばにいさせてもらったことで、多くを学びました。自分にとって、清志郎さんは、自身を写す鏡のような存在でもあります。清志郎さんについて考えることが、今も、自分を見つめ直す1つの機会になっています。
 清志郎さんから学んだのは、『正義』ではありません。他者を受け入れ、多様性を認め、時には、自分や自分以外の誰かや社会が唱える『正義』を疑い、ユーモアを忘れず、誤解を恐れず、表現の自由を求め、自力で泳ぎ続ける。こういった生きてゆく上での『態度』と『勇気』です。そしてもちろん、音楽の素晴らしさと無限の可能性を教えてもらいました。清志郎さんは、生き続けています。」

社会状況が変化する中で、あらためて自分の文章を読み直して、『正義』のくだりが少し言葉足らずに感じた。
清志郎さんが疑い続けたのは、あくまでもカギ括弧つきの独りよがりな『正義』であって、本人は決して『相対主義』に身を隠すような人ではなかった。自分がおかしいと思う物事に対しては、批判覚悟で声を上げ、音楽でもその態度を示し続けた人だった。

清志郎さんが旅立って11年後のSNS上では、すべての正義や理想を危険視して無効化しようとするような言説が多く見られるようになった。それは、独善的な『正義』と同様に危険な傾向に思える。その態度の陰には偏見や排外が透けて見える。

特に、この状況下では、頑なな『正義』に陥らないよう、その言動に慎重になりつつも、やはり正しいことをやりたいし、機を見て声も上げ続けようと思う。
その正しい行為とは、イデオロギーなんて大げさなものに依拠するのではなく、満員電車の中で見知らぬ人に席をゆずったり、痴漢行為を見て見ぬ振りしない、そんな態度の延長にあると思っている。
自分の本質は自分本位だと自覚しつつ、利他主義的な態度が究極の自分本位なのだと想像して、この状況を乗り越えたい。

清志郎さんについて考えることが、結局自分のあり方について考えることにつながってゆく。なくなる前も、今も、これからも、自分にとって清志郎さんは、ずっと、そんな存在である続けるのだろうと思う。

ー 2020年5月2日(土)


★リクオ&忌野清志郎共作曲「胸が痛いよ」本日5/2公開
リクオが自宅からのピアノ弾き語り動画をYouTubeに公開してゆくシリーズ「リクオ&ピアノ from My Room」第2回目として、リクオと清志郎さんの共作曲「胸が痛いよ」が公開されました。
https://youtu.be/w80HS89nE7E

★新曲『君を想うとき』rikunetにて5/1より公開中
https://youtu.be/i16LE065BRc

【リクオ無観客有料配信ライブ視聴受付中】
リクオ初の試みとして4月29日(水祝)に行われた無観客有料配信ライブは、予想を大幅に超える視聴者数と反響がありました。ありがとうございます。
生配信終了後も5月12日まではアーカイブ(録画)の購入/視聴が可能です。
コロナ禍が続く中、今後も配信ライブの機会を作ってゆくつも利です。よろしくお願いします。
■ 購入&詳細
https://twitcasting.tv/c:dop2020/shopcart/3661
■申し込や視聴のやり方に不安を感じる方のためのページ
https://note.com/thedayofpleasure/n/na865bc9e72b1