2021年12月17日金曜日

コロナ禍のライブ活動を振り返り、「HOBO CONNECTION FESTIVAL」を語る

さっき、今年の自分のライブ数を計算したら80本だった。
コロナ禍前までは、年間130本前後のライブをやり続けていたので、例年の本数に比べれば大幅減だけれど、この状況でよくこれだけの数のライブがやれたなと思う。

コロナ禍でもある程度のライブ活動を続けることができたのは、経費のかからないソロで動けることが大きかった。
自分のライブ活動の中心は小規模のライブスポットなので、コロナ禍のガイダンスに則れば、許される客数が最小の場合は15人だったりする。この規模ではもちろん、バンド編成や複数人数でのライブは興行として成り立たないけれど、スタッフを帯同しないソロであれば、経費を最小に押さえることができるので、なんとかツアーを組むことが可能なのだ。

ただ、感染拡大が続いている時期は、地方会場だと限定15名の席数すら埋まらないこともあり、ツアー全体の中でなんとか収支の帳尻合わせをしていたのが実情だ。
そりゃ満員の熱気の中でライブがやれたらそれにこしたことはないけれど、お客さんが5人だったときでもライブのモチベーションが落ちることはなかった。演奏できることが嬉しくてありがたかったし、またこの街へ戻ってこれてよかったと心から思えた。
そういったコロナ禍での体験によって、自分がツアーをする意味や意義をあらためて確認できた気がする。

2年近くの厳しい状況の中、ソロ活動だけでなく、敢えて、なるべく多くの共演者、スタッフ関係者と仕事することも心がけてきた。自分の非力さを痛感しつつも、綱渡りをしながら、なんとか小さな経済を回そうと、自分がつぶれない程度の無理もしてきたつもりだ(結果、そういう無理が楽しみややり甲斐につながった)。
それが可能になったのは、ライブに足を運んでくれるお客さんと有料配信を観てくれる全国の視聴者の皆さんの存在があってこそだ。特にバンドでのライブや大勢が関わるイベントは、配信の収益なしには成り立たなかった。

感染拡大が始まる早い時期に、自分が暮らす街でライブ配信チーム(一乗寺フェス配信チーム)が結成され、彼らと活動を共にできたことは大きかった。コロナ禍においても自分は出会いに恵まれていたと思う。
配信ライブを通して自分が暮らす街から全国へ発信することで、グローバルに考えてローカルに行動し、離れたローカル同士でつながろうとする意識がより強まった。ローカルの活性化は、コロナ後も自分のテーマの一つになると思う。

コロナ禍でのライブイベント開催においては、行政からの交付金や補助金にもお世話になった。申請の手続きはとても複雑で、何度も書類申請のやり直しを指示され、 申請から補助金確定に至るまでには数ヶ月を要した。まわりのサポートなしに、こういった申請手続きをやり遂げることは出来なかった。というか、まわりに頼りきりだった。
こういった補助金制度が、もっと個人が申請しやすいシステムであればと思う。

音楽業界において、多分すべてのイベンターさんはJ-LODなどの補助金制度がなければコロナ禍を乗り切れなかっただろうし、飲食店は時短、休業に対する協力金が出なければ、さらに多くの店が閉店に追い込まれていただろう。
国や行政の政策によって、自分達の仕事や暮らしが大いに左右されることをこの2年間で思い知らされた。

来年1月10日(月祝)大阪・なんばHatchにて開催する「HOBO CONNECTION FESTIVAL」は、元々は自分のデビュー30周年記念として今年の5月23日に開催予定だったイベントの振替公演なのだけれど、来年1月の開催にあたっては、記念ライブのお祝い的な意味合いよりも、コロナ禍における自分の音楽活動の集大成となるフェスにしたいと思う。

「HOBO CONNECTION」は、ミュージシャン同士が一期一会のコラボを展開する出会いと化学反応の場として、自分が2013年から毎年開催し続けてきたイベントで、1月はその拡大版のフェスとして開催されるのだけれど、これまでの「HOBO CONNECTION」との違いは、関西から全国へ向けてのローカル発信を強く意識している点だ。出演者も関西ならではの地域色の伝わる人選を心掛けた。

有観客+オンライン配信の2WAY開催であることも、コロナ禍前との大きな違いだ。
配信の制作は「中津川 THE SOLAR BUDOKAN」などの配信を手かげるLIVE LOVERSと、コロナ禍に自分が暮らしている京都一乗寺で結成され活動を共にしてきた一乗寺フェス配信チームとのコラボレーション。ライブも配信もコラボ尽くしのフェスなのだ。

ミュージシャン、地元のスタッフ、イベンター、FM局 etc.、「HOBO CONNECTION FESTIVAL」は、自分が主催するライブイベントの中では、間違いなく最も多くの人が関わるイベントだ。しかも関わってくれる人達が多様であるのも特徴。コロナ禍を経なければ、こういった繋がりによる企画は生まれなかったし実現できなかっただろう。

フェスを通じて、この厳しい状況の中でもポジティブな何かを生み出されることを証明したいと思う。
多くの人たちの関わりの中で、こういう企画が実現すること自体が既に素晴らしいことだと思いつつも、今は正直、興行として成り立たせることができるのかどうかの不安とプレッシャーも大きい。自分の影響力のなさに悔しさも感じる。

今まで何度もこういう思いをしながらやってきたなと思う。結局、やり終えた後に後悔したことはなかった。
そんなことを思い出しながら、しっかりとイベントの準備を進め、日々の積み重ねを経て、みなで奇跡を起こせたらと思う。
応援してください。
ー2021年12月17日(金)


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2020年1月10日(月祝)@なんばHatch
《リクオ presents HOBO CONNECTION FESTIVAL》
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リクオと親交のある関西出身の多彩なアーティストをゲストを迎え、コロナ禍を経ての出会いとローカル発信のイベントとして、有観客+オンライン配信の2WAY開催。出演者同士のコラボを中心とした2部構成ステージ。
関西から全国にローカルパワーを発信します。
●FM COCOLO SPEICIAL LIVE
リクオ presents HOBO CONNECTION FESTIVAL(21年5月23日公演の振替公演)
【日時】2022年1月10日(月・祝) 開場16:00/開演17:00
【会場】大阪・なんばHatch
【出演】(五十音順) 
<1部> シェキナベイベーズ・オールスターズバンド
メンバー:安藤八主博&山口しんじ(ザ・たこさん) 、コージロー&タツロー(THE HillAndon)、城領明子、高木まひことシェキナベイベーズ、リクオ
<2部> ウルフルケイスケ、押尾コータロー、奇妙礼太郎、木村充揮、TAKUMA、中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)、リクオ
ハウスバンド:リクオ with HOBO HOUSE BAND
(ベース:寺岡信芳/ギター:高木克/ドラム:小宮山純平/ペダルスティール:宮下広輔/Chorus 真城めぐみ)
【M C】加美幸伸(FM COCOLO DJ)
【料金】6,000円(全席指定/税込) 配信あり(詳細は後日告知)
【チケット発売日】11月27日(土)10:00
■モバイルサイトGREENS!チケット
■チケットぴあ https://w.pia.jp/t/rikuo-o/ [WEBのみ受付 ] Pコード:206-681
■ローソンチケット https://l-tike.com/hof/ Lコード:54871
■イープラス https://eplus.jp/rikuo-o/
【配信視聴申し込み】
12月10日(金)よりチケット発売(Streaming+) 料金¥3300
アーカイブ視聴&視聴申し込みは2022年1月23日(日)まで。
【主催】FM COCOLO/GREENS
【お問い合わせ】GREENS 06-6882-1224<平日11:00-19:00>

2021年12月1日水曜日

自国ファースト、身内ファースト、自分ファーストを超えて ー 新たな変異株「オミクロン」に思うこと

最近のニュースは、南アフリカで新たに見つかった新型コロナウイルス変異株「オミクロン」の話題で持ちきりだ。
どうやらこの変異株が世界に蔓延するのは時間の問題のようで、話によれば、32カ所の変異が感染性を高めるだけでなく、ワクチンや自然感染による免疫を回避する恐れもあるという。そう聞かされると、デルタ株を超えるような、さらにやっかいなウイルスを想像して不安になる。

その一方で、南アフリカの医師会の会長からは「オミクロン株の症状は軽く、重症患者はほとんどいないため、パニックになる理由はない」とのコメントもあり(https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000236639.html?fbclid=IwAR3mJnGgBdVtk5nqAKaferEDuAubqlN4KqlKcbgJ86TjN-5MLEgv0SteXVk)、じゃあ、それって風邪みたいなもんじゃないのとツッコミもいれたくなる。
この新たな変異株に関する知見はまだまだ乏しく、その実態がはっきりつかめていないのが実情なのだろう。楽観し過ぎず、悲観し過ぎず、冷静に状況を受け止めたいと思う。

この変異株が南アフリカで発見されたという事実を知ったときには、懸念が実現してしまったような思いを持った。
以下は、11月27日のニューズウィークの記事(https://www.newsweekjapan.jp/kimura/2021/11/post-129_2.php)からの抜粋。

《「アフリカの人口のうちコロナワクチンを1回でも接種したことのある人はわずか11%程度。 これまでのところサハラ以南のアフリカ諸国の多くは公衆衛生や医療サービスのリソースが非常に限られているにもかかわらず、流行をうまく抑えてきた」と評価する。

「しかし感染しやすい集団がたくさんあるため、コロナの流行が低所得層の医療サービスを圧迫する可能性は十分にあり、その結果、新たなVOCが増える恐れもある。これはワクチン展開の不公平さがもたらした結果であり、富裕国が十分すぎるワクチンを手にしたとしても、いつかは自分たちに跳ね返ってくる」》


やはり自国ファースト、身内ファースト、自分ファーストでは、コロナを克服することはできないんだと思う。
日本では今月から3回目のワクチン接種受付が始まっているけれど、途上国へのワクチン展開を加速させることができなければ、いくら先進国で3回目の接種が進んでも、あらたな変異株とのイタチごっこは終わらないのかもしれない。これは人類全体の問題なのだ。

そして、ワクチン接種が全世界に行き届いてコロナが世界的に一旦収束したとしても、このウイルスが人類に提起した問題の根本解決にはならない気がする。ワクチンによって新型コロナを急速に駆逐すれば、今度はそれによる副作用、自然からのあらたなしっぺ返しが起こるかもしれない。

そもそも、自然を完全にコントロールしようとする人間の傲慢さが、この状況をもたらしたのではないだろうか。やはり、人類のあり方そのものが問われているように思う。
これを一つの機会と捉えて、前向きに新たな価値観を模索する1人でありたい。

ー 2021年12月1日(水)