2008年5月31日土曜日

なぜかお坊さんによく会う

北海道北見市常呂町 常楽寺
 午前中、Hさんが月の森に迎えに来てくれて、川湯温泉に連れて行ってくれる。いい湯でした。
 その後、屈斜路湖に寄ったりしながら、美幌峠で、この日のライブの主催者浦西さんと待ち合わせ。
 峠からみた屈斜路湖の景色がまた絶景。
 
 常呂に着いたら、いつものように喫茶店「しゃべりたい」でシーフードカレーをいただいてから、オホーツクの海辺を散歩。今回のツアーの中で一番の快晴。実に心地よい。

 常楽寺でのライブも4回目。開演前に、恒例となっている住職のヒトシさんの説法がある。
  前回の説法のしゃべりだしは「私今大変落ち込んでおります」だった。なんでもライブの日に法事に行くのを忘れてしまったとのこと。そらあかんやろ。今年も ライブ当日に法事があったそうなんだが、なんと、うかがったお宅が、まさに去年忘れてすっぽかしてしまったそのお宅だったそう。そんな話で笑いをとるヒト シさんは相当にくだけた坊さんである。
 この日は、高校生になったばかりで、最近バンドをやりはじめたというPAの外村さんの息子とその仲間の子 等がリハーサルから見学に来ていて、ライブの呼び出し司会もその中の1人の子がやってくれる。ライブには、都市部に比べると、ずっと幅広い年代の人達が集 まる。老若男女の前で演奏できる機会を持てるのが、地方でのライブの醍醐味の一つ。
 前回同様、本堂で阿弥陀如来様をバックに演奏。最近、ソロの 弾き語りのステージで心がけていることの一つは、客席のリアクションを求めすぎないこと。その場を盛り上げる、受けるということに関しては、自分の中でい くつものフォーマットが出来上がっていて、もうそんなに苦労しない。エンターテイナーでありたいとは思うけれど、目先の盛り上がりに左右され過ぎず、さら に深い共鳴を追求したいとの思いが強まっている。この日もそういうことを意識したステージになった。
 本編最後の「アイノウタ」で客席が一気に盛り上がった感じ。それまではお客さんがリアクションできる場面がいつもより少なかったと思うけれど、この方向でもいいと感じた。 
 
  考えてみると、今回の10日間の北海道ツアーの間に、4人もの浄土真宗のお坊さんと会ったことになる。別にこちらが求めて会いに行ったわけでもなく、偶然 なのだが、妙にタイムリーな感じがしなくもない。全く、人の縁とは不思議なもんだ。4人のお坊さんは、くだけていたり、悩んでいたり、それぞれが人間臭く て、親鸞の言うところの悪人と思われる人ばかりで、親しみを感じた。
 この日、打ち上げの席で、酔っぱらったヒトシ住職が「オレも死ぬのが怖いよ~」と情けない感じで言ってたのが印象に残った。だからこそ、問い続けるのだ。

 今回の北海道ツアーは五感が多いに刺激され、妙に内省を促されるような旅になった。
 答はでない。
 少しは心身を休めて、空の時間をつくり、何か形になるのを待とう。この感覚を忘れてしまうのは、もったいない。

 この日、農協で働く地元の人から教えてもらったことで、びっくりしたことがあった。常呂町の食料自給率が2700パーセントだと言うのだ。最初は冗談と思って聞いていたのだが、本当なのだそう。
 気になってネットで各県の食料自給率を調べてみたら、東京の自給率はたった1パーセント。それにに比べて、北海道は200パーセント近い自給率を誇っていた。北海道の時代が来るかも。

2008年5月30日金曜日

廃校ライブ

北海道 虹別 COMFORTABLE SPACE 月の森(旧中虹別小学校)
 釧路から、釧路湿原のど真ん中を走る釧網(せんもう)線に乗って、摩周駅下車。駅まで迎えに来てくれた永井さんらと駅前の定食屋で昼食に豚丼を食べた後、会場入りする前に、車で摩周湖まで連れて行ってもらう。
  摩周湖は火山の中央部が陥落して水がたまることによって生まれた湖で、世界有数の透明度を誇っているそう。「霧の摩周湖」という歌があるくらいに、その景 色がすっぽりと霧に覆われてしまうことが多いそうだけれど、この日は午後から晴れ間が広がりはじめ、実に幻想的で美しい景色を拝むことが出来た。

  この日のライブ会場「月の森」は、酪農地帯のど真ん中、回りは牧草地や森が広がるばかりの相当に辺鄙な場所にあった。元々小学校だったスペースを、この日 のライブの主催者である永井さんが借り受けて、改装を加え、数年前から、イベントスペースとして活用するようになったそうだ。今も外観は、学校そのまま。 色んな場所でライブをやってきたけれど、廃校でのライブははじめて。
 開演前、回りの牧草地をのんびりぶらぶらと散歩していたら、放し飼いにされていた2匹の番犬に吠えられ、追いかけられるはめに。

 陽が沈んだら増々冷えてきて、4度まで気温が下がる。もちろん暖房なしには過ごせない。冬やんけ。
 こんな辺鄙な場所に、人が来るんかいな?と心配していたのだが、開演の頃には、ちゃんと席が埋まった。地元の人だけでなく、隣町や遠方から観に来た人も多かったようだ。ライブは校舎の中の職員室だった場所で行われた。
 演奏していて、自分が童話の世界にいるような、不思議な気分になった。
お客さんは実はみんな狐や狸が人間に化けているんじゃないか?そんなことを妄想したりした。
 
 ライブの後も廃校で打ち上がり、地元の皆さん(主に酪農家)と交流。打ち上げの後は、そのまま月の森に泊めてもらう。
 辺境の異空間で、なんだか夢の中のような時間を過ごした。

2008年5月28日水曜日

五感開放

北海道釧路 喫茶ラルゴ
 一日良く寝たので、疲れがとれる。
 このツアー中、一番の好天気。日中は街を散歩。こちらでもまだ桜が咲いていた。
 釧路で最も印象に残る草花はタンポポである。とにかく街のいたるところで咲いている。去年釧路に来た時に地元の人が「タンポポは寂しげな場所に咲く」と語っていたのが印象に残っている。
 北海道をツアーして各地をぶらついていると、祭りの後のような、寂しげな風景に多く出会う。どうもそういう場所に、自分は惹かれてしまうようだ。

 陽が暮れる頃に、釧路川沿いの遊歩道を、すぐ近くの海に向かって歩く。
とても美しい夕陽を見た。

 ラルゴの豊川君は、声も小さくて一見大人しいイメージなのだが、その実、とてもハートの熱い男だ。彼の熱意が確実に自分にもお客さんにも伝わって、ラルゴは特別な空間になった。
 この日のステージでもあの世とこの世を行き来する感覚が残っていた。ライブの後半では、行ったきりにならないように、バランスをとった感じ。もう少しあの感覚を突き詰めたいと言うか、ひたってみたい気もした。「機関車」ははまった。
 ツアーの間に五感が開放され、研ぎすまされてきた感じ。
 言葉とメロディーが生まれそうな予感。
★廃校のグランドに咲くタンポポ。去年も見に行ったなあ。

2008年5月26日月曜日

この世とあの世

北海道 帯広 ふた葉亭
 芦別から在来線の普通列車に乗って帯広へ。旅の疲れがたまっている上に、座席にリクライニングがなく、乗り心地がよくなくて、きつい移動だった。
 ホテルについたら夕方まで仮眠。開場直前に店入りして、リハーサルも10分程ですます。こういうときは本番直前までスイッチをオフのままにするに限る。
  そう言えば、今から10年程前の北海道ツアー中、この帯広で突然、憂鬱、虚無、絶望の感情に襲われたことがあった。デビュー当時からお世話になっていた事 務所を離れ、今のようなツアー暮らしを始めたばかりの頃で、まだスイッチのオンオフもうまくできず、心身ともにキャパシティーを超えてしまっていることに 自分で気付かないまま、無理をしすぎてしまった反動が出たのだろう。
 がんばらない。流れに身を委ねる。
 この日、ステージで演奏しているときの自分は、大げさな表現だけど、この世とあの世を行ったり来たりしてるような感覚があった。余計な力が抜けたのが良かった。表現を突き詰めてゆくと、あの世が近くなるように思う。それは、より生きているということでもある。
 演奏中のある瞬間に恐れを感じた。そこにはまってはダメだ。けれど、そこを無視してもいけない。
 自分は臆病な人間だ。

★芦別駅にて

2008年5月25日日曜日

バースデイナイト

北海道 芦別 ディラン【共演】友部正人
 友部さん&ユミさん夫妻に会うのは、この一月で3回目。東京、大阪、そしてこの日の芦別と、色んな場所で再会できるのが嬉しくて楽しい。けれどステージで音を交わすのは多分4、5年振り。
 最初に自分がソロのステージを1時間やった後に、友部さんがソロで歌って、後半にセッションという流れ。
 自分の出番の後は、カウンターの中で焼酎を飲みながら友部さんのソロステージを聴かせてもらう。先日新譜を聴かせてもらったときも感じたことだけれど、友部さんの表現はいつまでたっても鮮度が損なわれない。常に旬な友部さんがそこにいる。
 「若さの秘訣とは、無理に体を鍛えたり、しわを伸ばしたりして若作りをすることではなく、年を積み重ねて変化してゆく自分を受け入れて、楽しむという姿勢にあるのではないか」友部さんの音楽に触れて、そんなことを思った。
 歌っているときの友部さんの視線は客席にはなく、常に中空にあり、見えない何かと交信しているような感じ。その姿が実に気持ち良さそうで、ときめいて見え、聴いている自分も一緒に交信しているような気分になった。
 カウンターの中で友部さんの演奏を聴いているときから、インスピレーションがわいていたので、友部さんとのセッションでは直感に従うように演奏ができた。
 1曲の演奏を終えて、ステージで顔を見合わせた時の友部さんの表情は無邪気な子供みたいで、とてもチャーミングだった。

 この日のライブは、ディランの25周年記念として企画されたのだけれど、奇遇にも前日がボブ.ディランの誕生日で、当日が友部さんの誕生日。打ち上げではバースデイケーキが用意され、友部さんの58回目の誕生日とディランの25周年を皆で祝った。
★ディランの前で友部さんと。

2008年5月23日金曜日

日本最北端制覇

北海道 稚内 BB Music Club
 利尻からフェリーに乗って稚内へ。フェリーが稚内に着く頃には晴れ間が広がる。やったあ。北海道に来て初めての好天気。
  まずは腹ごしらえと、港の市場内の海鮮丼屋で、ビール飲みながらウニイクラ蟹どんぶりを食う。その後、近藤さんの運転する車で、日本最北端の宗谷岬まで連 れて行ってもらう。さっきまで快晴だったのに、岬に近づくにつれて雲行きが急激にあやしくなり、到着した頃にはすっかり雲に覆われてしまう。
 晴 れた日には、宗谷岬から海越しにサハリンの建物まで見えるそうなのだが、この日は何にも見えず。まあ日本最北端を制覇したということで、よしとしよう。 さっき港で丼食ったばかりなのに、岬で伝説の塩ラーメンをぜひと進められ、せっかくだからと食べる。これが期待以上に美味しかったのだが、日中からカロ リーとプリン体を摂取し過ぎで、苦しい。

 ライブの開演時間は午後8時となっていたけれど、実際にライブが始まったのは9時頃。お客さんもそれが当たり前という感じ。これが稚内時間ということで、郷に入れば郷に従え。
 新譜の発売前だから、新譜の曲中心に、なんて考えはここでは野暮で、この場所の空気に流されて、ブルージィーかつファンキーな酒場ライブ。
 ツアーをしていると、さまざまな自分が引き出されてゆく感じ。どれが本当の自分なんてことはなく、どれもこれもオレなのだ。自分も知らなかった自分との出会い、これも旅の醍醐味の一つ。

  昨日、利尻で出会った浄土真宗のお坊さんの弟子だというお坊さんが、ライブを観に来てくれていて、打ち上げで話をする。親鸞が語ったとされる有名な言葉で 「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」というのがある。善人が往生できるんやったら、悪人も往生できるはずやと。ここで言う悪人とは、自分の中の 悪、やましい心を自覚している人間のことを指すそうだ。確かに自分のことを善人だ、正しいことをしているのだと思い込んでいるタイプこそ、やっかいであ る。
★宗谷岬にて

2008年5月22日木曜日

思えば遠くへきたもんだ

北海道 利尻島 島の駅
 この日も霧雨の降る生憎の天気。利尻山は姿を隠したまま。
 日中は、岬と港あたりをぶらついて、その後また温泉。
  ライブ会場の「島の駅」は、元々番屋(漁師が泊まり込んだり、作業する場)だった建物を利用してオープンしたカフェ&ギャラリー。明日のライブ場所である 稚内BB MUSIC CLUBのマスター近藤さんがギターを持って遊びに来てくれたのでアンコールで2曲セッションすることに。
 ライブ中、客席で盛り上がる近藤さんが、次第に酔いを深めてゆく様が、ステージからつぶさに見てとられ、アンコールのセッションは大丈夫なのかと心配したけれど、良い具合に解放されたようで、素敵な酔いどれギターを弾いてくれた。
 ツアーミュージシャンは数多くいれど、さすがに利尻島まで来てライブする奴はなかなかいないだろう。出会う人達の笑顔が新鮮で懐かしい。
★ライブ会場「島の駅」外観

2008年5月21日水曜日

北海道利尻島へ12時間移動

 朝5時に部屋を出て、羽田から旭川まで飛んで、旭川から稚内までJRで。稚内からフェリーを乗り継いで利尻に到着したのが、夕方5時10分。移動に12 時間以上かかってしまった。晴れの利尻を期待していたのだけれど、生憎の曇り空。しかも、この時期で気温が10度以下の寒さ。こちらではまだ桜が咲き始め たばかり。日本はひろい。
 ホテルにチエックインした後、近くの沓形岬を散歩。島が色づくにはまだ時期が早かったようで、モノトーンの寂しげな風景。このもの哀しさが、自分のような通りすがり人間には、味わい深く感じられ、妙に心が落ち着く。
 夜は温泉につかってから、翌日のライブの主催者であるボスがやっているレストラン、シーラカンスに行き、美味しい料理とワインをいただく。
★フェリーから観た利尻山




2008年5月20日火曜日

台風一過

 夜中から朝方までかなりの暴風雨。
 午後には台風一過。
 海岸沿いを散歩。
 “ごご~!!”という海鳴り。海辺に上がった海藻目当て?のカラスがたくさん。

2008年5月16日金曜日

開放空間

東京 吉祥寺Star Pine's cafe
「THE?HOBO JUNGLE TOUR 2008」
【出演】山口 洋(HEAT WAVE)&リクオ
 この日のライブのBGMは自分が選ぶことになっていたので(前日は山口選曲)リハーサル直前まで、BGMの曲順を考えていた。こういう作業、結構楽しい。お客さん、気に入ってくれたかな?
 明日が週末休みということも影響しているのか、この日はお客さんの乗りが、最初から開放的。特別メニューとして用意されたカクテル地獄(山口命名)とカクテルヨコユレ(オレ命名)は、昨日以上にオーダーが殺到したそう。
  煽り煽られ、昨日以上にエモーショナルな演奏になった。どこまで行くねん!って感じ。ミラーボールもよく回った。インスピレーションも湧いた。“どこまで 自分を開放させることができるか”結局それがライブの一番のテーマなのだ。それは、ステージの人間だけでなく、ライブ空間にいるすべての人間に当てはまる テーマだと思う。
 ほんと真剣に遊んだという実感。

 打ち上げは3件ハシゴして、朝帰り。
★左がカクテル地獄、右がカクテルヨコユレ

2008年5月15日木曜日

ピアノ変身

東京 吉祥寺Star Pine's cafe
「THE HOBO JUNGLE TOUR 2008」
【出演】山口 洋(HEAT WAVE)&リクオ
 スタパのピアノとは10年以上の付き合いなのだが、こんなリアクションは初めてだった。“一体、何があったの?”っていうくらい、艶っぽい音色と響き。全く楽器は生き物である。しっかり調律、調整され、愛でられたピアノはこれほどまでに変身するのだ。
  ピアノだけでない。今までスタパのステージには何十回と立ってきたけれど、この日の音の良さは今までの中でもピカイチだった。その理由は一つではない。ス タパのスタッフのモチベーションの高さ&愛情、オレと山口のスキル、お客さんの集中力、ミラーボールの回るタイミング、その場のいろんな要素が作用しあっ て、最高の音が生まれたのだと思う。
 1部のステージでは、オレと山口の演奏に客席が圧倒されているように感じた。2部では、受け取ったものをお客さんが、しっかり返してくれた感じ。1部の緊張と2部の開放の対比が印象にのこるライブだった。

2008年5月14日水曜日

レコーディング全行程終了

 アルバムのマスタリングが終了。
 これでレコーディングの全行程が終了。
 ここ10年くらいの自分の音楽活動を集大成するような内容になったと思う。
  良くも悪くも、自分はここ10年間の音楽生活の中で、その日その日のステージを充実させて、流されながら生きる術を身につけることで、かなりタフにはなっ たけれど、その間、人生の中で節目をつけるという作業を、どこかで避けてきたように思う。多分このあたりで自覚的に一つの区切りをつけて、また新しいス タートを切るべきなのだろう。決定的な何かがあったわけではない。そういう直感が働くのだ。
 この作品を自分の節目にするべきだ。
 ★マスタリングエンジニアの中里さん後ろ姿

2008年5月5日月曜日

因縁の場所にて

名古屋 TOKUZOU(得三)
「THE HOBO JUNGLE TOUR 2008」
【出演】山口 洋(HEAT WAVE)&リクオ
  ここ得三は自分と山口にとって因縁の場所である。9年前にこの場所で山口と共演して、ぶつかった。あの時の自分の態度は今思えば確かに頑で、挑発的で、大 人げなかったような記憶がある。ただ、やり方は別にして、そのときの自分のリアルを山口にぶつけようとしたことは間違いではなかったと思う。
 それから6年の間、交流が途絶えたけれど、再会を経て、こうやって2人で得三に戻って来れたのは、あの時にしっかりぶつかりあったからだと思う。
  最近、若いミュージシャンと一緒に演奏したり、飲んだりしていると、たいてい癖がなくて、物わかりがよく、いい奴らばっかりで、ちと物足りなく思うことが ある。そういうとき、自分はわざと挑発的なことを言ってしまったりする。嫌な親父になってきたなとの自覚はあるけれど、当たり障りのないコミュニケーショ ンからは何も生まれてこないと思うのだ。

 開演15分前、楽屋で山口に「今日の曲順どうすんねん?」と聞いたら、「決めずにやろう」との返事。問題なし。
 「ソウル」をはじめて2人でやった。すごく新鮮。新しい「ソウル」だった。

 真剣で遊びながら、学んでる感じ。
 来週の山口との吉祥寺2daysも楽しみ。課題、テーマのあるライブ。ツアーで共有してきた開放空間を東京でもつくれたらと思う。

2008年5月3日土曜日

大阪名物

祝春一番(5/2~5開催)
【場所】服部緑地野外音楽堂
【出演】リクオ/AZUMI/有山じゅんじ/石田長生/押尾コータロー/加川良/北京一/シバ/友部正人and more
 春一番は大阪の名物野外イベント。客席後方の芝生のスペースから人が埋まってゆくというところが、春一番のレイドバックした乗りを象徴している。
 しかし、この日の野外音楽堂はぎっしり満員。しかも初夏を思わせる強い日差し。いつもの、ゆったりした乗りとは少しおもむきが違った。
  自分の出番は午後4時頃。客席の熱気を十分に味わいながらのステージ。たっぷりとした間と余裕を持ってパフォーマンス。これだけリアクションがあると、 やっぱり気持ちいいなあ。ステージに上がると「男前~!」なんてかけ声がかかったり、オレと合わせて一緒に歌っているうちにこっちより先に歌い終えるお客 がいたり、こういう乗りはやっぱり大阪ならでは。
 楽屋は知り合いの先輩ミュージシャンばかり。これだけ、出演者の平均年齢の高いイベントもめず らしい。40歳は確実に超えてるだろう。オレの演奏を客席で聴いていた有山さんが、楽屋に戻って来たオレをつかまえて、「リクオのステージ観てたら、一緒 にやりたなった」とのことで急遽1曲ジョン.レノンの「Oh My Love」をセッションさせてもらうことに。こういう乗りも春一。
 それにし ても、よくもこれだけ濃いキャラのミュージシャンが集まったもんだ。楽屋もステージも面白人間博物館みたいな感じ。やっぱり関西、大阪の乗りはオモロいな あ、強力やなあと実感。みなそれぞれ音楽とパフォーマンスに人となりが滲み出て、独特の色気を醸し出している。
 客席で立ち上がってタンバリンたたきながら踊ってる乗りのいいおばちゃんがいるなあと思ったら金子マリさんだった。客席で、酔っぱらいの親父に声をかけられたと思ったら中川五郎さんだった。
 みんな元気。好きにやってるからやね。

2008年5月2日金曜日

山口洋アルコール記念日

近江八幡 酒游舘  
「THE HOBO JUNGLE TOUR 2008」
【出演】山口 洋(HEAT WAVE)&リクオ
 前夜の疲れを引きずりながら、山口と2人、JRで近江八幡へ。車中、立ちっ放し。
 会場入りする前に主催の西村さんと食事の約束をしていたのだが、連れて行かれたところが、琵琶湖近くにある湿地帯、水郷沿いの草むら。ここにシートをひいて、食事。昼間っからビール。
 うぐいすのさえずりが聴こえる。ウシガエルも泣いている。実にのどかな午後。スイッチが切れる。眠い。
 リハーサルの後、開演30分前まで楽屋で寝る。開演直前にスイッチオン。このオンオフが出来ないとツアー暮らしはきつい。

 音がやたらとよく響くのと、モニターの回線が1系統しかなく、ステージ上で2人の音のバランスがとりずらかったので、この日は思い切ってピアノからマイクをはずし、生音で演奏することにする。そのせいで、集中力が余計に高まった。
  酒游舘は普段は酒屋さんで、ライブ会場は元々酒蔵として使われていた場所である。そんな空間だから、客さんは日本酒飲み放題というシステム。ライブ中、大 変よくお酒が出たそうである。客席は、アルコールとオレ達の演奏のせいで、ライブが進むにつれて、あきらかに酔いが回りはじめていた。
 オレもラ イブ中、日本酒をちびちびとやっていたのだが、気付けば2部でのステージ上で、山口がビールをぐいぐいと飲んでいるではないか。ステージでアルコールを口 にする山口を初めて観た。開放されて、凄く楽しそう。大変メモリアルな日になった。まあ、お互いアルコールはたいがいにしとこ。
 実に振り幅の広い演奏&パフォーマンス。こっちの集中力と開放感が客席にも多いに伝わった。自分も山口も、良い意味で、前日のイベントの余韻を引きずっていた気がする。
 毎日、色々あっておもろいなあ。

2008年5月1日木曜日

緊張と開放

大阪 シャングリラ
「MUSIC DAY 2007 in OSAKA」
【出演】リクオ/山口洋(HEAT WAVE)/中川敬(ソウル.フラワー.ユニオン)/大柴広己
Opening Act/THE 40s 
 この日のお客さんは、ある種の緊張感がもたらす開放感を堪能したんではないだろうか。
 中川敬が登場した時点で、会場の空気が完全に変わった。やっぱり存在感が全然違うんである。それまでの出演者とは、お客さんに対する、音楽に対する、表現に対する向き合い方、覚悟の決め方がはっきりと違う。
 中川君が1人で三線の弾き語りをするところを初めて観た。とてもいいつかみになっていた。あのスタイルも続けてほしいと思った。
 最後はオレと山口洋と2人でしめる。山口は緊張感を放出しながらも、どこか包容力を感じさせる演奏。なれ合いではないコミュニケーション。いろんな出来事、要素がステージで昇華されてゆく感じ。
  この日、自分は山口洋、中川敬それぞれとセッションしたのだけれど、3人が同時に同じステージでからむ場面は、アンコールでの大柴君も交えたセッションの みだった。けれど、同時に音を出さなくても、3人が集まったことによる化学反応は、それぞれのステージで十分に起きていたと思う。
 なんとも記憶に残る1日だった。