14日にケイヤンと仙台で演奏し、15日は福島県相馬市でソロで演奏する。どちらも10年以上ツアーで通い続けてきた街だけれど、3.11以降にライブで訪れるのは初になる。
本当は今年の4月9日に相馬市でのライブが決まっていたのだけれど、とても開催できるような状況ではなかった。街は地震と津波による甚大な被害を受け、多くの死者が出て、たくさんの人達が家族と家と仕事を失った。
そこに福島第1原発の事故がさらに追い打ちをかけた。福島原発は相馬市から45キロの距離に位置している。原発事故は今も収束に向かっているとは言い難く、街に残った人達は放射能の不安にさらされながらの生活を余儀なくされている。
自分は3.11直後から今回のライブの企画首謀者である森田さんと定期的に連絡を取り続けてきた。震災から10日経った時に、森田さんからメールが届い
た。震災以降、8日間の間で、神奈川県内で決まっていた自分のライブが2つ中止になっていたのだが、森田さんはそのことを気にして連絡してきたのだ。
「被災地以外でのライブは中止せずに続けてほしい。この状況で音楽まで奪われたら人間だめになる。皆が元気になるパフォーマンスを各地に届けてほしい。
それがリクオ君の使命だ。」そんな内容のメールだった。家をなくし、知人を亡くし、あまりにも多くを失い、さらに原発事故が起こり、先の見えない不安の状
況の中で、森田さんは、こんなメールを送ってくれたのだった。
その後も被災した何人もの知人から同じようなことを言われた。不安と葛藤の中で、彼らに背中を押されながら、自分は演奏を続けよう、音楽をやり続けようとあらためて思った。
6月に入って森田さんから、10月に相馬市でライブをやらないかという話をもらった。すぐに了承した。けれど、了承した後に考えさせられる出来事もあっ
た。不安要素の残る地域に行くにあたって(そこで暮らす人達のことを考えるとこういう言葉を使うのはとても心苦しいのだけれど)、安易に誰かを誘っては行
けないなと思った。状況は安定しておらず、刻々と変わり続けているようだった。
9月30日に文科省は各地での放射性ストロンチウムの検出結果を発表した。それによると相馬市内の区域で2400ベクレルのストロンチウム90が検出されている。この発表に際して、政府から相馬市長への連絡は何もなかったそうだ。
http://konstantin.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-c340.html
今回の相馬ライブは有料で開催される通常の形でのライブだ。この時期に相馬で通常の形でのライブを開催するにあたっては、企画する側も悩んだと思う。自
分も6月の時点で開催時の相馬がどういう状況なのかはっきり想像できていなかったし、今も相馬の現状をすべて把握できているわけではない。
そういう状況の中で、開催地域外から積極的にお客さんを呼ぶ事には、やはり躊躇も感じる。お子さんや妊婦さんには、来ることを控えてほしい。正直、気持ちは揺れている。
福島県環境放射能測定結果・検査結果関連情報
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=23853
「3.11以降の『新しい日常』を、なんとか相馬でつくいたい」このライブを企画するにあたっては、そんな思いが込められているのだと自分は想像している。15日のライブでは最高の空気をつくりたいと思う。
多くの人達が葛藤の中で、なんとか明るい道筋を探し出そうとしている。自分はそういう人達がいてくれることに希望も感じている。葛藤しながら、自分ができることをやろうと思う。
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