2021年4月16日金曜日

「願望」にすがらない ー 僕らは間違え失敗する

大阪ローカルテレビのワイドショー番組などを観ていて、専門家や識者と呼ばれるコメンテーターが、コロナに対して楽観的な見解を述べる場面を度々目にしてきた。緊急事態宣言は必要ない、空気感染はしない、ピークアウトはもう過ぎた、GO TOキャンペーンは感染拡大にはつながらない等々。

すべての番組にあてはまることではないだろうけれど、どちらかというと危機を煽りがちな東京メディアとの報道姿勢の違いを感じることが多かった。
どちらの姿勢も問題を含んでいると思うけれど、ここへきての大阪での突出した感染拡大は、在阪メディアによる楽観論の流布も一因ではないかと疑ってしまう。やはり、楽観と悲観、どちらにも寄り掛かるべきじゃないと思う。

コロナ禍にしょっ中在阪テレビに出演してきた某大学教授2人に対しては、市中感染が広がり始める1年以上前から、ネットを通してその存在を知り、注目していた。
「合理的な対策を徹底すれば、満員に近い状況でもライブハウスの営業を再開することができる」との2人の主張は、ライブ活動の自粛を余儀なくされた当時の自分に希望を与えてくれた。この思いは、多くの音楽関係者に共通していると思う。

けれど、自分は次第に彼らの主張の一部や態度に疑問を抱くようになりはじめた。
2人に対して他の識者から間違いの指摘や批判が起こり始め、そちらの方に説得力を感じ始めたり、彼らの予測が外れたり、その主張に矛盾を感じるようになったことも理由だけれど、自身の承認欲求を満たすことを優先する意思が見て取れたり、矛盾や間違いを認めない言動や独善的で感情に走っ態度が目立ち始めたことも大きい。
さらに、発信する側と受け取る側が互いに「願望」に縛られて、次第にカルト的な関係性が生まれ始めているように見えたことで、気持ちがひいてしまった。

今も彼らは、多くの人達の「願望」に応えてくれる存在なのだと思う。けれど、その「願望」通りに事が進まないのは、今の大阪の状況が示している。
大阪府政も「願望」に応える関係性にしばられ、現実への対応が後手に回ってしまったんじゃないだろうか。

コロナは誰にとっても未知の体験であり、その主張や政策に間違いや失敗が起きるのは仕方がないと思う。この状況では、ある程度の間違いや失敗は許されるべきた。大切なのは、それらを認めて受け入れ、状況に対応して、共によりよい方策を探してゆくことだと思う。
「願望」に応えてくれる眩い光は、その場の安心や快感を与えてくれるだろうけれど、それは一時のものだと思う。
「願望」を横に置いて、闇に目を凝らし、その先に見える淡い光に希望を見出したい。

僕らは間違え失敗する。それを認めて、またあらたな一歩を踏み出せる人でありたい。
それこそが、コロナ禍において必要とされる態度だと思う。

ー 2021年4月15日(木)

2021年4月10日土曜日

「場」をつくる ー「まん延防止措置」適用決定を受けて

移動して、集まり、対話する自由が、もう1年以上も大幅に制限され続けている。
ツアーミュージシャンである自分の仕事は、これらの自由が保障されることを前提に成り立っていたので、まさか、こんな時代が来るとは思わなかった。

自分が暮らす京都も「まん延防止措置」の適用が決まった。飲食店への時短要請は、21時から再び20時に。
これではライブハウスや夜営業の飲食店は成り立たない。お世話になっているお店のマスターやスタッフの顔が思い浮かぶ。なんとか持ち堪えてほしい。

協力金は、その場しのぎにしかならない。その場所に人が戻らなければ、そこに人々の出会いと開放がなければ、意味がないのだ。文化をつくる上で欠かせないはずの社交の場が、今、かつてない危機にさらされている。

オンラインは便利な手段だし、配信ライブには新しい表現とコミュニケーションの可能性を感じるけれど、人々が実際に集う社交場の代替にはなり得ない。両者は共存し、補い合う関係であるべきだ。

こういった状況の中で、ある程度の自由が制限されるのは仕方がないと思いつつも、本来、保障されてしかるべき自由を、自分達は奪われた状態にあることは自覚しておきたい。この状態に慣れてしまうと、気づかないうちに大切な何かを失ってゆく気がする。

身動きが取りづらい状況だからこそ、「場」をつくることが自分の役割の一つなんだと、あらためて自覚させられている。
厳しい状況の中で、「場」を守るだけじゃなく、皆でアイデアを出し合って、今までとはまた違う「場」をつくってゆきたいと思う。それは、楽しくやりがいのある作業だと感じている。

5月23日(日)のナンバHatch公演は、そういったあらたな試みの場です。

ー 2021年4月10日(土)



●《 FM COCOLO -TOUCH THE HEART- SPECIAL LIVE
 リクオ presents HOBO CONNECTION FESTIVAL 》

“ローリングピアノマン”こと、シンガーソングライター リクオのデビュー30周年を記念した音 楽フェスティバルを開催!!リクオと親交のある関西出身のアーティストを中心に、多彩なゲ ストを迎え、コロナ禍だからこそできる出会いとローカル発信のイベントとして、有観客+オ ンライン配信の2WAY開催。1部、2部の二部構成。ハウスバンドをバックに、出演者のコラ ボを中心としたスペシャルライブ。こだわりの配信で関西から全国にローカルパワーを発信 します。
※配信詳細に関しては、近日発表します。

■会   場 : 大阪・なんばHatch tel 06-4397-0572

【日 時】 2021年5月23日(日) 開場 16:00 開演17:00(終演予定21:00)

【出 演】 (五十音順)
≪1部≫ シェキナベイベーズ・オールスターズバンド
メンバー:安藤八主博&山口しんじ(ザ・たこさん) 、コージロー&タツロー(THE HillAndon)、
城領明子、高木まひことシェキナベイベーズ、リクオ

≪2部≫ ウルフルケイスケ、奇妙礼太郎、木村 充揮、TAKUMA、中川敬(ソウル・フラワー・ユニオ ン)、リクオ
ハウスバンド:リクオ with HOBO HOUSE BAND (ベース:寺岡信芳/ギター:高木克/ドラム:小宮山純平/ペダルスティール:宮下広輔/ Chorus 真城めぐみ)

【M C】 加美幸伸(FM COCOLO DJ)

【料金】 6,000円(全席指定/税込) 配信料金=3,000円(税込)

【チケット発売日】 4月17日(土)
■モバイルサイトGREENS! https://sp.greens-corp.co.jp/ 
■チケットぴあ https://w.pia.jp/t/rikuo-o/ [WEB ] Pコード 195-700
■ローオンチケット http://l-tike.com/ Lコード 54871 
■イープラス https://eplus.jp/rikuo-o/

オフシャル先行発売
4/1(木) 12:00〜4/8(木) 23:59 https://eplus.jp/rikuo-o/
番組先行発売
4/9(金)FM COCOLO「THE MAGNIFICENT FRIDAY」番組内にて先行予約受付
【お問い合わせ】 GREENS 06-6882-1224<平日11:00〜19:00>
【主 催】 FM COCOLO/GREENS

2021年4月7日水曜日

変化を楽しむ


コロナの出現は人間活動が原因だとの指摘がある。

長崎大熱帯医学研究所の山本太郎教授(国際保健学)によれば「自然破壊や温暖化で野生動物が追い詰められた結果、野生動物と共存していたウイルスは行く場所を求めて人の社会に入り込み、密集した都市から世界の隅々へとあっという間に広がった。現代社会は新型コロナウイルスにとって格好な条件」なのだそう。

氏によれば、ほとんどのウイルスは人と共生して何もしないか、むしろ役に立っているとのこと。例えば、二酸化炭素の循環や雲の形成にウイルスがかかわっているという研究結果もあるのだそう。
コロナの世界的な感染拡大が、地球の生態系を破壊し続ける人類自身によってもたらされたものならば、この状況は一つの警告としてとらえるべきなのかもしれない。

ワクチンには期待するけれど、それが根本的な解決にはならないと考えた方がよさそうだ。状況を変えてゆくには、デフォルト解除して自分の意識も変えてゆくべきなんだろう。
人類に変化が起きなければ、今後さらに強力な感染症がひろまる可能性だってあるのかもしれない。個人的にも、何を変えて何を守るべきかを見定めてゆきたいと思う。

ドラスティックな変化を強いられることへの反発やしんどさも感じるけれど、1年を超えるコロナ禍の経験によって、変化を受け入れて楽しむ自信が少し持てた気がする。
厳しい状況が続いているけれど、嫌なことばかりではなかった。
この経験をこれからに生かしたい。

ー2021年4月7日(水)