この10数年の間、政権に批判的だったり多文化共生を唱えるような人達を「非国民」という侮蔑語でレッテル貼りしたり、人種や民族に基づいた差別や偏見を「差別ではなく区別」であるとして肯定する常套句をネット上で見続けてきた。当初、そうした言説を使うのは極端な排外思想に取り憑かれたほんの一部の人達という印象だったけれど、最近はそうではなくなってきたようで怖い。
今回の参院選に当選した参政党の議員2人が、街頭演説中と当選直後に出演したテレビ番組でこの2つの言葉を使用しているのを見て、ついに政治家までもがそんな言葉を公言する時代になったのかと暗澹たる気持ちになった。
この党の党首も街頭演説中に、朝鮮人に対する侮蔑的差別用語である「チ○ン」という言葉を使用して批判を浴びている。すぐに訂正したとしても、その言葉が口をついて出た事実は変わらない。党の代表者が差別意識や排外意識を持った人物であることは明白だろう。
「日本人ファースト」はそういったレイシズムや排外主義を肯定する空気に後押しされた言葉であり、その内実は日本人全体の優先でさえなく、“正しい日本人像”に合わない人、自分とは異なる価値観や行動を排除する作用を持った言葉だと思う。
自分が愛する全ての音楽は、人種や国籍を越えて世界を巡り、互いに響き合い混じり合ってゆくことで成り立ってきた。その歴史を知れば 知るほど排外主義などありえない。自分が尊敬するミュージシャンの多くは、レイシズムや排外主義、権威主義に背を向け、時には意義を唱え続けてきた。その歴史の流れに自分も身を置き続けたいと思う。
ー 2025年8月1日(金)