カナダのマーク・カーニー首相によるダボス会議での演説の訳文を繰り返し読んでいる。
その言葉からは、国際秩序の衰退への強い危機感が伝わると同時に、「第三の道」を切り拓こうとする気概も感じ取れた。
カーニー首相の主張全てに同意するわけではないけれど、日本にとっても重要な提言が多々含まれた内容だと思う。
「多くの国は、食料、重要鉱物、金融、サプライチェーンにおいて、より大きな戦略的自律性を確保しなければならないけれど、要塞化した世界は、より貧しく、より脆弱で、より持続不可能なものになる」との提言は、国家としての話だけでなく、一人一人の生き方の比喩のようにも受け取れた。
「自立か依存か」という二択では個人も国家も救われない。世界は相互補完によって成り立っているのだ。
「自立」を「自給自足」や「ブロック化経済」と同一視すれば、コストは跳ね上がり、技術も人も分断され、危機対応能力はむしろ落ちてしまう。依存は危険だけれど、孤立は破滅をもたらす。
「覇権国への依存でも孤立主義でもない『第三の道』、日本を含むミドルパワー国の連携こそが新たな国際秩序を主体的に築き得る」とのカーニー首相の主張が実現に向かうことを願う。
彼の言葉から、理性や倫理を手放さないまま、現実の重さと選択のしんどさを引き受けようとする覚悟を受け取った。
後々語り継がれる価値のある、この時代を象徴する演説だと思う。
ー 2026年1月22日(木)
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