2022年5月10日火曜日

共感と距離感 ー U2のボノとエッジのウクライナ・キーフでの地下鉄ライブで考えたこと

 U2のボノとエッジが、ウクライナのゼレンスキー大統領の要請に従い、5月8日(日)に、ウクライナ、キーフの現在防空壕となっている地下鉄で、サプライズのアコースティックライブを行ったニュースについて、考え続けている。

ライブの中で、ボノは”Pride”の歌詞を変えて、「今夜、5月8日に、ウクライナの空に銃撃は鳴り響いても、あなた達は自由だ。命を奪われることになっても、あなた達のプライドを奪うことは絶対にできないから」と歌い、MCでは、「あなた達の大統領は、今世界の自由を牽引している。ウクライナの人たちは、自分たちの自由のためだけに戦っているのではなくて、僕ら全員の自由への愛のために戦ってくれている」と語っている。
ボノとエッジの行動力と勇気には心から敬意を抱くけれど、それらの言葉から感じ取れるヒロイズムからは距離を置きたいとも思う。これは、ウクライナの現場でななく日本にいるからこその感覚かもしれない。

ロシアのウクライナ侵攻以来、相反する思いが同居するような機会が増えた。自分の中の価値観の揺らぎが続いている感じ。ここまで「反戦」や「非戦」について突き詰めて考える機会は、今までなかったかもしれない。
戦火では、こんな風に迷っている場合ではないんだろうなと思う。

この戦いが2国間の問題に留まらないのは周知の通りだ。 NATOの元最高司令官がNHKのインタビューに応じて、「既にわれわれは第3次世界大戦の最中にある」と語っていたけれど、既に世界中の多くの国々がこの戦いに巻き込まれていることは確かだろうと思う。気になるのは戦いの構図だ。

ボノとエッジは、大量虐殺のあったブチャの墓地にも訪れ、そこでのインタビューの中でプーチンについて言及し、「これは本当に1人の人間による戦争だと思う」と語っている。自分もそれに近い考えを持っていて、この戦争をロシアと欧米の代理戦争の構図に当てはめ過ぎることで、独裁政権による一方的な侵略とジェノサイドが、どっちもどっち論的に相殺されてしまうことを危惧している。
けれども同時に、プーチンという悪を倒せば万事上手くゆくような単純な話でもないと思う。「物語の単純化」が戦禍を拡大させることも肝に銘じておきたい。

ライブの中でボノは、ウクライナの人達の「自由のための戦い」を賛えた後に、「すぐに平和が訪れることを祈っている」と語った。平和を祈るボノのスタンスは、既に戦争が始まってしまった状況の中では、「非戦」ではないのだろう。
日本にいて平和を願う自分は、どこまで「非戦」を貫けるのだろうかと考える。自分は誰も殺したくないし殺されたくもないけれど、既に戦火の最中にあり、殺されないため、自由のために銃を持つウクライナの人達を否定することはできない。日本とウクライナでは状況が違うのだ。

最近、既に戦争気分に巻き込まれている自分自身に危うさを感じることがある。日本にいる自分がやるべきは、ウクライナと主語を同一化することではないと思う。ウクライナの人達の気持ちに寄り添いたいと思う一方で、戦火の状況にない自分達だからこその視点や感性も失うべきではないと思う。
共感と距離感の両方を大切にしながら、独裁や侵略を否定し、平和で民主的、自由な社会を尊重する世界中のすべての人達と、国境を超えて想いを共にしたい。

ー 2022年5月10日(火)

2022年2月6日日曜日

「落とし所」を見つける前に必要なプロセス

結局、東京でのリハーサルに参加した出演者&スタッフの中から3人の陽性者が出た。幸い、それぞれ軽症との報告を受けているけれど、オミクロン株の感染力の高さと、もたらされる影響力の大きさをまざまざと見せつけられる結果となった。

この数週間で、知り合いのコロナ感染者が激増した。その中には、40°前後の発熱が続いた後に味覚嗅覚障害が出た者も何人かいる。
「今回のオミクロン株も『ただの風邪』とはとても言えない」
これが今のところの自分の実感だ。

弱毒化したとは言え、ここまで感染力の強い変異株が登場するとは専門家でさえ予想外だったように思う。国も行政も、変異を繰り返す感染症への対応が追いつかないのが現状だ。
その様を批判することは簡単だけれど、批判だけでなく、「安易な答」が存在しない現実を皆で共有した上で、「落とし所」を見つける議論の必要性を感じる。

ここにきて、新型コロナの位置付けを「2類」から季節性インフルエンザ などの「5類」に下げるべきとの意見をより多く目にするけれど、その正否が、答ありきの不毛な対立の場に化しているように見える。現実を見据えた発展的な議論が成り立っていない。
陽性であっても入院せずに自宅待機が認められ、一定条件を満たしていれば検査も必要なしとされる現状に触れた身からすれば、今のコロナの実質の位置付けは当初の「2類」枠から既に相当はみ出しているという認識だ。

議論を進めるには現状や事実の共有が前提だけれど、コロナ禍の不安要素がその前提の共有をより難しくしているように感じる。この2年間で、自分が見たい景色だけを見て、信じたいものだけを信じる傾向がさらに広まった気がする。

あくまでもコロナを「ただの風邪」と断定し続ける人達は、その不安によって「他者の痛み」に対する想像力を奪われてしまったように見える。「他者への想像力の欠如」こそが「陰謀論者」と呼ばれる極端な説にすがる人達の最大の問題点だと思う。
それは特別な資質ではなく、誰もが陥る可能性のある傾向に違いない。そういった傾向がもたらす悲劇は、歴史が何度も証明してきた。同じ時代を生きる補い合う者同士として、ともに不安を乗り越え、歴史を乗り越えてゆきたい。

先が見えない悩ましい状況は、まだ続くのだろう。今は何を優先しても、そこに「痛み」が伴うように思う。ならばせめて、その「痛み」を忘れずにいたい。
自分達が「落とし所」を見つける前に必要なプロセスは、やはり「他者への想像力」と「痛みの共有」だと思う。

ー 2022年2月5日(土)

2022年2月3日木曜日

「かすかな光」のアンサンブル ー 横浜・サムズアップ公演延期から4日後の現状報告です

1月29日(土)&30日(日)に予定していたリクオ with HOBO HOUSE BAND@横浜・サムズアップ公演は、公演前日よりバンドメンバーのコースケ(宮下広輔)に37度前半の発熱、喉の痛み、頭痛など新型コロナウイルス感染と重なる症状が見られたことを受けて、考慮の結果、開催を延期させてもらいしました。

公演当日29日午前にコースケが行った抗原検査の結果は陰性でしたが、その後31日のPCR検査の結果は陽性で、新型コロナ感染が確定されました。
2月1日には、同バンドメンバーの寺さん(寺岡信芳)より、前日1月31日深夜より寒気、微熱、関節痛、喉のイガイガなどの症状が出たため1日に病院でPCR検査を受けたとの報告があり、本日3日に陽性が判明しました。
幸い2人とも軽症で、既に熱は平熱に下がり症状も治っているとのことです。

コースケより保健所からの以下の指示の報告を受けました。
《現在は仮に「濃厚接触者」であっても、外出や移動手段、仕事可否について法的な強制力はなく、陽性者と接触後7日間は、普段より健康状態を注視するように。「濃厚接触者かどうか」については重要視しない》
急激な感染拡大に対して保健所や行政が対応しきれなくなっているだけでなく、これまでの感染者、濃厚接触者への対応では社会活動が維持できないとの判断も働き始めているようです。

自分は現在、いたって元気ですが、陽性者との接触後7日間を目処に自宅待機を続けています(明日2月4日までの待機となります)。京都の行政窓口には何度も連絡を試みましたが不通状態が続いたため連絡を諦めて、濃厚接触者であることを自己判断しました。
コースケの陽性結果を受けてすぐに自宅での抗原検査を行い陰性でした。熱は平熱、パルスオキシメーターで測った酸素飽和度&脈拍数も通常数値が続いてます。

抗原検査よりも精度が高いと言われるPCR検査を近日中に受ける予定はありません。検査キット不足の現状や自分が無症状であることから、PCR検査は高齢者、疾患のある方、症状の出ている方に優先してもらった方がいいのではと判断して自宅に篭ってます。もちろん、この判断はそれぞれの状況によっても変わると思います。

自分が濃厚接触者に当たるとの判断は、1月28日のリハーサル後、コースケの運転する車の助手席に40分以上座って時折マスク越しの会話も行っていたことに依りますが、リハーサルに参加した他のメンバーに関しては、現在の判定基準では、濃厚接触者にあたらないメンバーもいるかもしれません。
現在、感染が確認されていないメンバーも、それぞれが自宅待機、PCR検査、抗原検査などを実施して自己判断で対応している状況です。

今は「確実に正しい」やり方や判断がはっきりと見えない状況だと思ってます。落とし所の難しさを感じて、ついつい「安易な答」にすがりたくもなります。正直、ここにきてこれ程までに活動が制限されることになるとは思わなかったので、今がコロナ禍で最も厳しい状況と言えるかもしれません。その割には、心の安定を保っていられるのは、周りからポジティブなエネルギーを受け取っていることも大きいです。

これまでの人生の中で、この2年間ほど、自身の行動や心構え、態度を問われ続けた時期はなかったように思います。
結局、外部以上に自分自身の中に見出した希望の方が持続可能なんじゃないか。今、そんなことを考えてます。
自分自身の思考や態度、行動の中に「かすかな光」を見つける。いつか、方々で生まれた「かすかな光」達が出会い、アンサンブルを奏でる日を夢見続けようと思います。
部屋にこもって6日目、考える時間が多いのは悪いことばかりじゃないと感じてます。

この現状報告が、少しでもみなさんの今後の判断のお役に立てれば幸いです。

ー 2022年2月3日(木)

1/29(土)&30日(日)#リクオ with HOBO HOUSE BAND@横浜・サムズアップ公演の延期を受け、昨年9/4(土)同地でのワンマン・ライブをYouTUBEにて2月6日(日)までフリー配信中です。曲順も公開されてます。

自由にご覧頂けますが、お店&出演関係者の収益となる投げ銭も受け付けてます。よろしくお願いします。
投げ銭振込先 : 三井住友銀行 横浜駅前支店 (普) 9128410
口座名義 有限会社 ストーブス
・お振込名の後ろに公演日をご記入下さい。
例)ミョウジ ナマエ1009 (10/09の場合)

2022年1月30日日曜日

音楽の灯を絶やさない ー 横浜・サムズ・アップ公演延期に際して

 1/29(土)&30(日)横浜・サムズ・アップ公演に出演予定だったリクオ with HOBO HOUSE BANDのメンバーの1人から、ライブ前日の28日深夜に37°前半の発熱の報告を受けた。発熱以外の症状は、喉の軽い痛みとイガイガ、咳、頭痛とのことで、新型コロナ感染の疑いが生じたため、ライブ当日29日午前に行った抗原検査の結果は陰性だった。

その結果を受けて本人が行政窓口に相談したところ、抗原検査で陰性結果が出ればそのまま陰性とみなされるが、数日症状が続くようであれば再検査を指示されたとのこと。
現時点で陰性とはいえ、新型コロナと共通する症状が出ていることも確かで、感染の可能性を完全には否定しきれない。もし症状が続き再度の検査で感染が確定した場合は、サムズアップ公演の出演者全員が濃厚接触者に該当する可能性も生じる。
考慮した結果、開催当日にサムズアップ2days公演延期の判断を下した。

開催直前に発覚した事態だったので、短時間でたくさんのことを考え想像した。
延期を決めた後もまだ考え続けているけれど、やはり結論は変わっていない。やむない判断だったと思う。
でも心は痛む。

リハーサル含めた4日間の拘束だけでなく、事前に、ゲスト2人との共演曲12曲と自分の新曲等の予習にもたくさんの時間を割いてくれたバンドメンバーの寺さん、真城さん、克ちゃん、コミヤン、コースケが、この間無収入になってしまったことを思うとつらい。ゲストの友部さん、花田さんも同様。こういうときに補償がないミュージシャンの不安定な立場を痛感する(つうか、コロナ禍、ずっと痛感し続けてる)。
サムズアップも、この厳しい時期に週末2日間のライブがキャンセルになった影響は小さくない。
この2年近く、なんとか小さい経済を回そうと意識してやってきたけれど、今回は周りにダメージを残してしまった。

お客さんの期待にも応えられず、悔しいし心苦しい。
今回の2days公演、こういう状況にも関わらず、たくさんの予約が入り、九州、四国、関西、北海道など地方からの予約も多かったそう。
開催当日の延期告知になってしまったことで、遠方から現地入りした後に延期を知ったお客さんのことを思ったりすると、やはり申し訳ない気持ちになる。

ただ、必要以上に自責することはやめようとも思う。発熱したメンバーもそう思ってほしい。
もうしゃあない。また一緒に仕切り直しを楽しもう。
出演者&関係者に延期の判断を伝えたとき、誰もネガティブな発言をすることなく、こちらの判断を理解して前向きな言葉をかけてくれたのが嬉しかった。こんな人達と何かを一緒にやれるのは幸せなことだ。

先日2日間行われた、友部正人さん、花田裕之さん、リクオ with HOBO HOUSE BANDの面々が集まってのリハーサルは、とても充実したものだった。リハーサルであっても、皆がオープンな姿勢で音を交わし合うかえがえのない時間だった。
振替公演の日まで、この感触を忘れずにいたい。この延期の判断を生かすためにもぜひ振替公演を成功させたいと思う。

やりきれなさや痛みを抱えたまま、前を向きたいと思う。心を揉みほぐして、皆と工夫して楽しむことを忘れずにいたい。外からの自由を制限されても、心の自由は奪われたくない。
なんかブログをまとめている内に、ますます振替公演が楽しみになって、前向きな気持ちが戻ってきた感じ。こういう自分の単純さに救われる。

急遽決定した今日18時からのYouTubeライブ配信は、フリー視聴も可能なんでぜひ気楽にご覧ください。バンドメンバーもチャット参加します。オレ達も楽しみます。ホント、いいライブなんです。
配信期間は2月6日(日)まで。余裕のある方は出演者とサムズアップへの収益となる投げ銭をよろしくお願いします。

音楽の灯は絶やしません。

ー 2022年1月30日(日)

2022年1月15日土曜日

ライブ9本が一気に飛びました ー そして「HOBO CONNECTION FESTIVAL」継続宣言

オミクロン感染急拡大の影響で、2月までのライブ9本が一気に飛んでしまった。展開が急で呆気にとられる。

公演延期の告知ばっかは正直つらい。でも、各地の人と話していると、自分が思っていた以上に状況が厳しく、延期も止む無しと受けと止めざるを得ない。感染された方々が大事に至らないことを願います。9公演それぞれ、必ず振替公演をやりたいと思う。

お世話になっている奄美のお店も宮古島のお店も、感染拡大が収まるまでしばらく閉店するとのこと。経済面の厳しさだけでなく、気持ちを保つのも大変だろうと思う。

また、振り出しに戻ってしまうのか。いやいや、そんなことはないはず。弱毒化してることは確かだろうから、この変異株で集団免疫を獲得できたらパンデミックは収束するんじゃないか。そう願いたい。

そんなふうに色々と考えてしまうけれど、まだ断定できない要素が多いのが実際なんだろう。楽観にも悲観にも寄りかかることなく、状況を見据えたいと思う。そうやって、この2年間を過ごしてきたのだ。

とにかくツアーがなくなって時間もできので、しばらくは先日10日(月祝)なんばHatchで開催された「HOBO CONNECTION FESTIVAL」のアーカイブ配信(1/23まで視聴可能)の告知に力を入れまくろうと思う。



関西からのローカル発信を掲げたこのイベントは、当初から配信ライブによって全国へ発信することを重要視してきた。アーカイブ視聴は伸びてきているし、配信過多のこの状況の中では健闘しているのかもしれないけれど、正直、まだ各地の届くべき人達にこの配信が届いてるとは思えない。

今回はこれでは満足しない。この画期的なコラボ・ステージと配信の可能性をひろげる映像をもっと広く伝えたい、この厳しい状況の中でもポジティブな何かを、新しい出会いとつながりを生み出せることを伝えたいと思う。

アーカイブ配信が終わる1月23日(日)まで、「HOBO CONNECTION FESTIVAL」が継続することを、ここに宣言します。
この週末もぜひアーカイブ配信をお楽しみ下さい。配信への認識が変わると思います。
今後も動画含めSNSで色々と発信をしてゆくので、みなさん、23日までこのフェスをオンライン上でも盛り上げてやってください。よろしくお願いします。

■アーカイブ配信申し込み https://eplus.jp/rikuo-st/ (視聴&視聴申し込みは1月23日まで)

ー 2022年1月15日(土)

2021年12月17日金曜日

コロナ禍のライブ活動を振り返り、「HOBO CONNECTION FESTIVAL」を語る

さっき、今年の自分のライブ数を計算したら80本だった。
コロナ禍前までは、年間130本前後のライブをやり続けていたので、例年の本数に比べれば大幅減だけれど、この状況でよくこれだけの数のライブがやれたなと思う。

コロナ禍でもある程度のライブ活動を続けることができたのは、経費のかからないソロで動けることが大きかった。
自分のライブ活動の中心は小規模のライブスポットなので、コロナ禍のガイダンスに則れば、許される客数が最小の場合は15人だったりする。この規模ではもちろん、バンド編成や複数人数でのライブは興行として成り立たないけれど、スタッフを帯同しないソロであれば、経費を最小に押さえることができるので、なんとかツアーを組むことが可能なのだ。

ただ、感染拡大が続いている時期は、地方会場だと限定15名の席数すら埋まらないこともあり、ツアー全体の中でなんとか収支の帳尻合わせをしていたのが実情だ。
そりゃ満員の熱気の中でライブがやれたらそれにこしたことはないけれど、お客さんが5人だったときでもライブのモチベーションが落ちることはなかった。演奏できることが嬉しくてありがたかったし、またこの街へ戻ってこれてよかったと心から思えた。
そういったコロナ禍での体験によって、自分がツアーをする意味や意義をあらためて確認できた気がする。

2年近くの厳しい状況の中、ソロ活動だけでなく、敢えて、なるべく多くの共演者、スタッフ関係者と仕事することも心がけてきた。自分の非力さを痛感しつつも、綱渡りをしながら、なんとか小さな経済を回そうと、自分がつぶれない程度の無理もしてきたつもりだ(結果、そういう無理が楽しみややり甲斐につながった)。
それが可能になったのは、ライブに足を運んでくれるお客さんと有料配信を観てくれる全国の視聴者の皆さんの存在があってこそだ。特にバンドでのライブや大勢が関わるイベントは、配信の収益なしには成り立たなかった。

感染拡大が始まる早い時期に、自分が暮らす街でライブ配信チーム(一乗寺フェス配信チーム)が結成され、彼らと活動を共にできたことは大きかった。コロナ禍においても自分は出会いに恵まれていたと思う。
配信ライブを通して自分が暮らす街から全国へ発信することで、グローバルに考えてローカルに行動し、離れたローカル同士でつながろうとする意識がより強まった。ローカルの活性化は、コロナ後も自分のテーマの一つになると思う。

コロナ禍でのライブイベント開催においては、行政からの交付金や補助金にもお世話になった。申請の手続きはとても複雑で、何度も書類申請のやり直しを指示され、 申請から補助金確定に至るまでには数ヶ月を要した。まわりのサポートなしに、こういった申請手続きをやり遂げることは出来なかった。というか、まわりに頼りきりだった。
こういった補助金制度が、もっと個人が申請しやすいシステムであればと思う。

音楽業界において、多分すべてのイベンターさんはJ-LODなどの補助金制度がなければコロナ禍を乗り切れなかっただろうし、飲食店は時短、休業に対する協力金が出なければ、さらに多くの店が閉店に追い込まれていただろう。
国や行政の政策によって、自分達の仕事や暮らしが大いに左右されることをこの2年間で思い知らされた。

来年1月10日(月祝)大阪・なんばHatchにて開催する「HOBO CONNECTION FESTIVAL」は、元々は自分のデビュー30周年記念として今年の5月23日に開催予定だったイベントの振替公演なのだけれど、来年1月の開催にあたっては、記念ライブのお祝い的な意味合いよりも、コロナ禍における自分の音楽活動の集大成となるフェスにしたいと思う。

「HOBO CONNECTION」は、ミュージシャン同士が一期一会のコラボを展開する出会いと化学反応の場として、自分が2013年から毎年開催し続けてきたイベントで、1月はその拡大版のフェスとして開催されるのだけれど、これまでの「HOBO CONNECTION」との違いは、関西から全国へ向けてのローカル発信を強く意識している点だ。出演者も関西ならではの地域色の伝わる人選を心掛けた。

有観客+オンライン配信の2WAY開催であることも、コロナ禍前との大きな違いだ。
配信の制作は「中津川 THE SOLAR BUDOKAN」などの配信を手かげるLIVE LOVERSと、コロナ禍に自分が暮らしている京都一乗寺で結成され活動を共にしてきた一乗寺フェス配信チームとのコラボレーション。ライブも配信もコラボ尽くしのフェスなのだ。

ミュージシャン、地元のスタッフ、イベンター、FM局 etc.、「HOBO CONNECTION FESTIVAL」は、自分が主催するライブイベントの中では、間違いなく最も多くの人が関わるイベントだ。しかも関わってくれる人達が多様であるのも特徴。コロナ禍を経なければ、こういった繋がりによる企画は生まれなかったし実現できなかっただろう。

フェスを通じて、この厳しい状況の中でもポジティブな何かを生み出されることを証明したいと思う。
多くの人たちの関わりの中で、こういう企画が実現すること自体が既に素晴らしいことだと思いつつも、今は正直、興行として成り立たせることができるのかどうかの不安とプレッシャーも大きい。自分の影響力のなさに悔しさも感じる。

今まで何度もこういう思いをしながらやってきたなと思う。結局、やり終えた後に後悔したことはなかった。
そんなことを思い出しながら、しっかりとイベントの準備を進め、日々の積み重ねを経て、みなで奇跡を起こせたらと思う。
応援してください。
ー2021年12月17日(金)


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2020年1月10日(月祝)@なんばHatch
《リクオ presents HOBO CONNECTION FESTIVAL》
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リクオと親交のある関西出身の多彩なアーティストをゲストを迎え、コロナ禍を経ての出会いとローカル発信のイベントとして、有観客+オンライン配信の2WAY開催。出演者同士のコラボを中心とした2部構成ステージ。
関西から全国にローカルパワーを発信します。
●FM COCOLO SPEICIAL LIVE
リクオ presents HOBO CONNECTION FESTIVAL(21年5月23日公演の振替公演)
【日時】2022年1月10日(月・祝) 開場16:00/開演17:00
【会場】大阪・なんばHatch
【出演】(五十音順) 
<1部> シェキナベイベーズ・オールスターズバンド
メンバー:安藤八主博&山口しんじ(ザ・たこさん) 、コージロー&タツロー(THE HillAndon)、城領明子、高木まひことシェキナベイベーズ、リクオ
<2部> ウルフルケイスケ、押尾コータロー、奇妙礼太郎、木村充揮、TAKUMA、中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)、リクオ
ハウスバンド:リクオ with HOBO HOUSE BAND
(ベース:寺岡信芳/ギター:高木克/ドラム:小宮山純平/ペダルスティール:宮下広輔/Chorus 真城めぐみ)
【M C】加美幸伸(FM COCOLO DJ)
【料金】6,000円(全席指定/税込) 配信あり(詳細は後日告知)
【チケット発売日】11月27日(土)10:00
■モバイルサイトGREENS!チケット
■チケットぴあ https://w.pia.jp/t/rikuo-o/ [WEBのみ受付 ] Pコード:206-681
■ローソンチケット https://l-tike.com/hof/ Lコード:54871
■イープラス https://eplus.jp/rikuo-o/
【配信視聴申し込み】
12月10日(金)よりチケット発売(Streaming+) 料金¥3300
アーカイブ視聴&視聴申し込みは2022年1月23日(日)まで。
【主催】FM COCOLO/GREENS
【お問い合わせ】GREENS 06-6882-1224<平日11:00-19:00>

2021年12月1日水曜日

自国ファースト、身内ファースト、自分ファーストを超えて ー 新たな変異株「オミクロン」に思うこと

最近のニュースは、南アフリカで新たに見つかった新型コロナウイルス変異株「オミクロン」の話題で持ちきりだ。
どうやらこの変異株が世界に蔓延するのは時間の問題のようで、話によれば、32カ所の変異が感染性を高めるだけでなく、ワクチンや自然感染による免疫を回避する恐れもあるという。そう聞かされると、デルタ株を超えるような、さらにやっかいなウイルスを想像して不安になる。

その一方で、南アフリカの医師会の会長からは「オミクロン株の症状は軽く、重症患者はほとんどいないため、パニックになる理由はない」とのコメントもあり(https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000236639.html?fbclid=IwAR3mJnGgBdVtk5nqAKaferEDuAubqlN4KqlKcbgJ86TjN-5MLEgv0SteXVk)、じゃあ、それって風邪みたいなもんじゃないのとツッコミもいれたくなる。
この新たな変異株に関する知見はまだまだ乏しく、その実態がはっきりつかめていないのが実情なのだろう。楽観し過ぎず、悲観し過ぎず、冷静に状況を受け止めたいと思う。

この変異株が南アフリカで発見されたという事実を知ったときには、懸念が実現してしまったような思いを持った。
以下は、11月27日のニューズウィークの記事(https://www.newsweekjapan.jp/kimura/2021/11/post-129_2.php)からの抜粋。

《「アフリカの人口のうちコロナワクチンを1回でも接種したことのある人はわずか11%程度。 これまでのところサハラ以南のアフリカ諸国の多くは公衆衛生や医療サービスのリソースが非常に限られているにもかかわらず、流行をうまく抑えてきた」と評価する。

「しかし感染しやすい集団がたくさんあるため、コロナの流行が低所得層の医療サービスを圧迫する可能性は十分にあり、その結果、新たなVOCが増える恐れもある。これはワクチン展開の不公平さがもたらした結果であり、富裕国が十分すぎるワクチンを手にしたとしても、いつかは自分たちに跳ね返ってくる」》


やはり自国ファースト、身内ファースト、自分ファーストでは、コロナを克服することはできないんだと思う。
日本では今月から3回目のワクチン接種受付が始まっているけれど、途上国へのワクチン展開を加速させることができなければ、いくら先進国で3回目の接種が進んでも、あらたな変異株とのイタチごっこは終わらないのかもしれない。これは人類全体の問題なのだ。

そして、ワクチン接種が全世界に行き届いてコロナが世界的に一旦収束したとしても、このウイルスが人類に提起した問題の根本解決にはならない気がする。ワクチンによって新型コロナを急速に駆逐すれば、今度はそれによる副作用、自然からのあらたなしっぺ返しが起こるかもしれない。

そもそも、自然を完全にコントロールしようとする人間の傲慢さが、この状況をもたらしたのではないだろうか。やはり、人類のあり方そのものが問われているように思う。
これを一つの機会と捉えて、前向きに新たな価値観を模索する1人でありたい。

ー 2021年12月1日(水)