2009年5月24日日曜日

旅、生と死、哲学 名古屋 TOKUZO(得三) 

「鍵盤女の春『はじめてのおとこ』その2」
出演:【鍵盤女】中ムラサトコ(org,vo)+鈴木亜紀(pf,vo)
スペシャルゲスト:(はじめてのおとこ)●リクオ(pf,vo)
 チェックアウト後、松本で温泉につかり、最高に美味しい蕎麦を食べてから、名古屋に移動。
 ライブ会場の得三は自分にとっては馴染みのお店。得三のある今池は名古屋の中でも独特の土着性、ローカル性を感じさせる、ニオイをかもす街だ。パチンコ屋とサウナのメッカでもあり、まあガラは決してよくない。
 得三は今池という街によく馴染んでいる。地域との横のつながりも強いようで、この日社長の森田さんは、商店街企画のプロレスイベント参加のため(なんとサスケがゲスト出演)、ライブには間に合わなかった。

 鍵盤女2人の存在はもっと多くの人に知られていいはずだ。鈴木亜紀の才能は別格だと思う。日本の中で、これ程素晴らしい「股旅ソング」を歌える女性を他 に知らない。「港タクシー」「手ぶらの女」「旅人眠る」「ハムカツサンド」曲のタイトルからしていい。
 彼女は10代後半から映画「男はつらいよ」にはまって観まくっていたそうだ。そういう感性は、現代においてはやはり少数派なのだろう。今の日本におい て、寅さん的世界は遠くになりき、なのかもしれない。寅さんというはみ出した人間を受け入れるだけの寛容さや、五感で物事を感じ取り、様々な景色を共有す る力を、社会全体が失いつつあるように思う。
 彼女の歌う景色を想像できるだけの感性を持った人達がいてくれるということは、自分にとっても救いになる。
 サトコちゃんの声は以前より力が抜けて透明感が出てきた。我を押さえることによって、より共鳴力が増した印象。小さなことにこだわらない、ものごとを受 け入れる器の大きな女性なのだと思う。きっと彼女はこれからもいろんなものを吸収して、ますます変化してゆくのだろう。
 2人の歌には旅があり、生と死がある。生と死に向き合うことによって生きてゆくための哲学が生まれる。自分はそういう歌を探しているのだと思う。
 時間のある方は、6月9日渋谷クラシックスでの鍵盤女ライブ(ゲスト:リクオ)に、ぜひ足を運んで下さい。

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