ザ☆ダンス天国、キングサイズ、監獄ロックなどのロックバンドで活動してきたおしょうが亡くなったことをSNSで知った。
学生時代、ソロ活動と並行してキーボード担当でLittle T&Aというバンドを参加していた頃に、おしょうがやってたキングサイズとよく対バンした。大雑把な言い方をすればキャロル的なロックンロールにブルースフィーリングが加わったサウンド。今思い返しても抜群のビートで、印象に残るキャッチーな曲も多かった。
おしょうは「カタギ」じゃない存在に見えた。悪ぶるわけではなく、自然とレールから外れてゆくようなチャーミングな不良だった。いろんな噂は聞いていたけれど、自分にとっては魅力的で悪い人じゃなかった。
十三のライブハウス・ファンダンゴで、自分が弾き語りのライブをやっていた時、演奏中におしょうがフラリと店内に入ってきて、ライブを観てくれたことがあった。ライブの後は、ファンダンゴの向かいにあった焼肉屋・しーちゃんで一緒に飲んだ。
おしょうは上機嫌で、「ライブが良かったから」と言って、その店のお代を全て払ってくれた(後日、彼の知り合い数人に、その夜の話をしたら、おしょうが人に酒をおごるなんてと皆驚いていた)。
手ぶらのおしょうは財布を持っていなくて、ポケットや靴下の中やら、いろんな場所から隠し持っていた千円札を取り出して支払いをしてくれた。その様は、なんだか手品を見てるみたいでおかしかったけれど、もしかしたら、なけなしのお金を使わせてしまったのかもしれない。
その時どんな話をしたのかはほとんど覚えていないけれど、おしょうが「部屋に物がなく、段ボールをテーブル代わりにしている」と話していたことは印象に残ってる。
多分15年以上前、西荻窪の居酒屋で偶然再会して以来、長くご無沙汰していたけれど、どんな暮らしをしていたのだろう。連れ合いはいたのだろうか。
亡くなったおしょうが64歳だったことを知って、6歳も年が離れていたのかと思った。オレ、名前も呼び捨てにして、タメ口で話してたなあ。おしょうがそれを許してくれていたのだ。偉そぶるところのない、気持ちを押し付けない人だった。
数年前、おしょうがやってたバンド・ザ☆ダンス天国のライブ映像をYouTubeで観た。
全身全霊、血湧き肉躍る抜群のステージだった。その佇まいもギターのエグさもキングサイズ当時をさらに上回っているように感じた。
集中力が途切れない。取り憑かれてる人間の演奏だと思う。
そういう人を日本人でもう1人挙げるとしたらAZUMIさんだ。そうか、自分にとってのブルースマンが、AZUMIさんとおしょうだったのか。
キングサイズの「血の滲んだシャツと ポケットの200円と 背中丸めたオレを 待ってておくれ」って歌詞の曲が好きだった。曲名は何だったろう?「200円」?おしょうのナイーブさが伝わる歌だった。
そんな密な付き合いをしていたわけでもなく、若い頃のほんの数年間、近い場所にいたような関係だけれど、忘れられない存在だ。
おしょう、安らかに。
ー2022年12月24日
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