排他主義の問題を真っ向から捉えた、ケン・ローチ監督『オールド・オーク』を観てきた。
ツアーに出る前に観ておいて、本当に良かった。
暗闇の中に灯りをともすような、素晴らしい映画だった。
映画は、炭鉱産業の衰退という時代の流れに取り残された白人たちが、排外主義に染まっていく姿を描きながらも、排外する側を悪魔化したり、道徳的に断罪したりすることは避けている。
反移民感情に至る背景を、限られた時間の中で丁寧に描くことで、格差社会の構造的な問題を炙り出そうとする。その姿勢は、ケン・ローチ監督に一貫して流れているものなのだと思う。
舞台の中心が、労働者にとっての「公共の場」であるパブであることも、とても印象深かった。
コミュニティの解体によって苦悩するイギリスの労働者階級と、故郷を追われ苦境に立つシリア難民。パブは、どちらにとっての「公共の場」であるべきなのか。
排外主義が進む現在の日本でも十分に起こり得る、とてもタイムリーな内容だと思う。
苦悩の先で、映画が見つけようとしたその答えを、パンフレットに掲載されていた河野慎太郎氏の解説がうまくまとめてくれている。
《真の連帯とは「同じ人たちの連帯」ではない。連帯が力強いものになり得るのは、それが「他なる者」のあいだの連帯であればこそなのだ》
この映画が手渡そうとした希望を、受け取る側でありたいと思う。
ー 2026年5月14日(木)



