2020年7月20日月曜日

 コロナ禍でのライブのブッキングについて 1

明日21日(火)四日市・VEEJAYでのライブは元々、VEEJAYマスター辻田さんの還暦を祝うために、自分を含めた3組が出演するメモリアルイベントとして開催される予定だった。しかし、コロナの影響で満席での開催を自粛せざるを得ない状況となり、それでは採算が取れないということで、3組でのライブは来年以降に延期、代わりに限定人数で自分がソロでライブをやることになったのだ。

VEEJAYは、昨年9月の豪雨で店内が床上浸水して多大な被害を被った。学生時代から弾かせてもらっていたお店のグランドピアノも、浸水により使用不能となり廃棄処分に。そして、今度はコロナである。
明日の公演は、陽性者数が全国的に増加し始めた影響で、結構な数の予約キャンセルが出ているとのこと。こういう状況なので仕方がないこととは言え、20人限定で、さらに予約キャンセルが出るとなると、お店もこちらも厳しい。

四日市公演の後は、寺さん、コミヤンと3人でリクオ・トリオとして北海道3ヶ所をツアーする予定だった。これもコロナの影響で中止せざるを得なくなったのだけれど、公演予定会場の一つだった釧路のラルゴが今月内でお店を閉めることになり、今回がお店でのラストライブになるはずだったとの話をマスターの豊川君から聞き、これはもう自分1人でも行くしかないと、ソロに変更して限定人数でライブやらせてもらうことにした。12年間毎年自分を迎え入れてくれたラルゴと豊川君には感謝しかない。

それに合わせて、トリオで回る予定だったもう1ヶ所の札幌・マルヤノクターンでも、限定人数+配信という形でライブをやらせてもらうことにした。ノクターンも他のライブスポット同様、ライブブッキングがままならない状況の中、これから配信ライブに力を入れてゆくそうなので、今回がそのいいきっかけになってくれればと思う。
経費の少ないソロとは言え、限定人数での2ヶ所公演では収支が厳しいので、北海道他地区のライブ・スポットにも数カ所あたってみたけれど、この状況でブッキングを受けてくれるお店はなかった。

各地方のライブスポットや知人と連絡を取り合って気づいたのは、感染者が少ない地域だからライブがブッキングしやすいわけではないということだ。感染者数の多い都市部よりも、むしろ、地域社会のつながりの強い地方の方が、コロナに対する警戒心や自粛警察的な視線が強くなるようだ。
コロナ感染が収束に向かうだけでなく、この空気感が変わらない限り、地方でのツアーを組むのは難しそうだし、無理をしてまでツアーを組むのもやめておこうと思う。

このコロナ禍で、一体いくつのライブが中止・延期になったのか、敢えて数えないようにしてる。
先が読めない期間がこれからしばらく続くのだろうと思う。もしかしたら、そういう時期が数年続くのかもしれない。覚悟はしておこうと思う。
絶望にも楽観にも寄りかかりたくない。
状況を受け入れながら、今できることを探そうと思う。やれることはまだまだ色々ありそうだ。
不安の中でも自分にこもり過ぎず、人との繋がりを意識しながら、日々を楽しむことを忘れずにいたい。
ー2020年7月20日(月)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
リクオ・ライブスケジュール(ネット配信含む)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●7/21(火) 四日市・VEEJAY (限定20名)
●7/25(土)札幌・円山夜想(限定20名 配信あり)
視聴申し込み https://tiget.net/events/95470
●7/26(日)釧路・喫茶ラルゴ(限定25名)※ソールドアウト
●8/2(日)東京高円寺・jJIROKICHI (配信あり)
「リクオ with 宮下広輔 観客限定(20名)同時配信ライブ」
●8/10(月祝)愛知県稲沢市・カフェサルーテ(限定25名)
●8/12(水)大阪・martha(無観客配信ライブ)
●8/28(金) 福島市・AS SOON AS(限定20名)
●8/29(土) いわき市・club SONIC iwaki(限定40名)
●8/30(日) 仙台市・VORZ BAR(限定15名)※ソールドアウト
詳細 http://www.rikuo.net/live-information/

2020年7月18日土曜日

コロナがわからない ー 陰謀論を超えてコロナ後の時代を生きるために

いまだに新型コロナウイルスのことがわからない。
どのくらい 危険なのか、どのくらい安全なのか?
一体、どの情報が正しいのか?
一体、いつになったら収束するのか?

わからないから何かにすがりたくなる。楽になりたい。
以前にも増して、無意識のうちに自分に都合の良い情報ばかりを求めるようになる。
SNSやYouTubeは、不安への答をたやすく用意してくれる便利なツールだ。
「新型コロナはそんなに危険なウイルスではない」という情報ばかりを集めるようになり、次第にそのことを事実として確信するようになる。

ネットの中で答が見つかると、それらの情報を共有し、共感してくれる仲間を求めるようになる。
ネットで繋がった仲間と情報を交換するうちに、既存のメディアは嘘の情報ばかりを流していて、インフルエンサーやユーチューバーこそが真実を語っていると考えるようになる。
情報のソースを確認する必要を感じなくなる。

そのうち、新型コロナウイルスの不安を煽ることで世界を牛耳ろうとする勢力が存在すると考えるようになる。
新型コロナウイルスは、ワクチンを売りつけるためのビル・ゲイツの陰謀だと確信する。
コロナが生物兵器ではないかと疑うようになる。
5G通信サービスがウイルスへの免疫力を低下させたと考えるようになる。
隣国の大国がこのコロナ禍で存在感を増したことに、これまで以上の脅威を感じるようになる。

知れば知るほど「敵」の存在がどんどん大きく膨らんでゆく。
「物語の単純化」「大きな物語への依存」が進行することで、「敵対と分断」がさらに広がってゆく。

このコロナ禍で、多くの人が陰謀論にすがる傾向がさらに強まったと感じる。
陰謀論を形づくる全てがデマだとは思わない。ある事実から妄想が広がり、無意識に、ある時は意識的にデマが形成されてゆく。陰謀論には妄想とデマと事実が混在する。
全ての人間は多かれ少なかれ陰謀論に陥る資質を持っているのだと思う。もちろん自分もそうだ。過去を振り返ってみれば、色々と想い当たる節があるし、まだ気づかないまま信じている陰謀論もあるのかもしれない。だから、この投稿は自分への戒めでもある。

極端な説や断定的、独善的で強い言葉からは距離を置こうと思う。
「劇的な話」は鵜呑みせず警戒しようと思う。答はすぐには見つからない。
救世主は求めないし、世界は少しずつ変化する方が持続しやすいと思う。
一つの事実を、様々な視点で捉えることを忘れずにいたい。
自分の無知を自覚し、謙虚でありたい。
「わからない」ことを受け入れて、グラデーションに目を凝らし続けるしなやかな強さを持ちたい。白と黒を反転させても同じことだ。
不安に向き合える知性を身につけたい。
知性や理性を盲信し過ぎないよう心掛けたい。

劇的さに寄りかからず、とるに足りないささやかなおこないを積み重ねて、小さな物語を丁寧に紡いでゆきたい。もっと思いやりのある人間になりたい。
地域に根ざし、ローカルから世界を眺め、ローカルから各地を巡り続けたい。そして、最小のローカルは個人であると自覚した上で、他者や知らない自分に巡り会う旅を続けたい。

自分のデフォルト(初期設定)解除を何度も試みたい。
デフォルトを解除しないまま世界を理解しようとする傲慢と弱さが陰謀論を引き寄せる。
世界が変わる前に、自分を変えたい。
それは、とても難しい試みだけれど、目指す心の自由はそこにあるように思う。
コロナを乗り越え、陰謀論を乗り越え、コロナ後の時代を生きるために、今考え続けていることを何度も思い出したい。きっと忘れてしまうから。
ー 2020年7月17日(金)