2021年7月14日水曜日

ちょっと、ぶっちゃけます ー オンライン配信ライブの投げ銭制について

 ちょっと、ぶっちゃけます。

7月9日(土)&10日(日)高円寺・JIROKICHI 2days公演の配信アーカイブ期限を、今週末18日(日)まで延長した件についての本音です。

配信期間延期の告知で述べられていたように、ライブと配信が好評で、配信の視聴回数が伸び続けていることが配信期間を延長した理由の一つではあります。
けれど、もう一つの大きな理由があります。それは、配信収益の少なさです。

今回の2daysの視聴回数は、コロナ禍での前回2回のJIROKICHI公演を超える勢いで、足を運んで下さったお客さん、視聴者の皆さんからSNSやチャットを通じて多くの反響をいただきました。
にもかかわらず、その配信収益は現状、前回の4分の1程度にとどまっています。

ライブを企画する側としては完全に状況を見誤りました。前回までは、支援の気持ちで「後売りチケット(投げ銭)」を購入してくださった視聴者の方も多かったのだろうと思います。
コロナ禍が長く続く中、配信ライブも供給過多の飽和状態であることを理解しつつ、それでも正直、「これだけの視聴回数があるのに」というもやもやした思いが残っています。

東京では今週から4度目の緊急事態宣言が施行されています。ライブスポットはどこも、長期間、営業時間を制限された上に、限定人数でのライブ開催を強いられ続けています。そして、昨日からまた、アルコールの提供ができなくなりました。
そういった影響で、老舗のJIROKICHIでさえブッキングが埋まらなくなり、お店を開けることすらできない日が多くなっています。こういったあまりにも厳しい状況において、配信の収益は、お店とミュージシャンにとっての命綱なんです。

JIROKICHIがYouTube配信で採用しているフリー視聴可能な投げ銭(「後売りチケット」)システムは、視聴者の皆さんの善意に信頼を寄せることで成り立っています。
今回の2days公演はお陰様で両日ソールドアウトとなりましたが、限定人数での開催ということもあり、元々、配信の収益なしには興行として成り立たない企画でした。前回のJIROKICHIライブでの配信収益をもとに、採算が取れると踏んでの企画でしたが、甘かったです。

長く続くコロナ禍において、フリー視聴可能な投げ銭のオンライン配信というやり方自体が状況にそぐわなくなりつつあるという考えも可能だと思います。けれど、このオープンなやり方が、配信の一つの選択肢として今後も成り立つのであれば、それは、コロナ後においても、ライブシーンの裾野を広げてゆく一つの可能性になり得るだろうと自分は考えています。

フリー視聴も可能なこの配信方法は、あらかじめチケットを購入しなければ視聴できない課金制に比べて、開かれたやり方だと思うんです。視聴者が今まで知らなかった音楽を知る窓口になりやすく、送り手側にとっても、新しい視聴者に自分達の存在を知ってもらえる機会が広がる良さがあります。経済的に余裕のない人が等しく音楽を楽しめるのも、このシステムの良さだと思います。
自分は、どちらの配信システムも成り立つことで、受け手の選択の幅が確保され、送り手がそれらを臨機応変に活用できることが理想だと考えています。

コロナ禍においては、多くのミュージシャンが、自分達のこれまでのファンだけを対象にした、コアなファンを囲い込むような発信方法や活動に向かわざるを得ない状況が続いていると感じています。それが、限られてしまった選択肢だと理解しつつも、コロナ後を考えれば、もう少し外に向かうベクトルも必要だと思うんです。

自分がこのコロナ禍において、ソロライブだけでなく、あえて共演者の多いコラボイベントを企画したり、複数スタッフとチームを組んでの配信ライブを重ねるのは、こういう状況だからこそ、開かれた場を作りたい、微力ながら小さな経済を回したい、という思いの反映でもあります。
皆にギャラが支払えるだろうかと毎回ひやひやするけれど、こういった共同作業はホント楽しいんです。目先の利益や効率を優先することでは得られない充実感があります。この楽しみと充実感を忘れたくないんです。
こういった試みが、コロナ禍でもそれなりに成り立ってきたのは、多くの人達の支援と理解があってのことです。とても感謝していますし、世の中捨てたもんじゃないなと思ってます。

当座をしのぐだけでは未来は開かれない、持続可能な希望が必要です。厳しい状況が長びくほどに、その思いを強くしています。
JIROKICHIスタッフのさまざまな奮闘と試みは、自分のとってのコロナ禍における希望の一つです。この希望灯をともし続けることができるかどうかは、お店側だけでなく音楽を愛する僕ら一人一人の自覚にもかかっている、と言えば言い過ぎでしょうか。
地べたから繋がるライブ文化を愛するすべての人が、このシーンを支えてくれている一人一人であることは間違いありません。

無理な「支援」をお願いするつもりはありません。「支援」ではなく「対価」として成り立つべきだと考えています。ライブや配信への対価がなければ、自分たちの活動は成り立たないし、JIROKICHIのこのオープンな配信システムも続かないんです。
視聴者の善意によって対価を受け取るこのオープンなやり方が続かないのであれば、コロナ禍に生まれた一つの可能性が失なわれることになります。

今回のライブ配信を楽しんでもらえたなら、余裕のある方は「後売りチケット」の購入をお願いします。
チケットは千円から用意されています。動画とライブ音源の特典も付いてます。
余裕のない方は、フリー視聴で楽しんでもらって結構です。もし、ライブを気に入ってもらえたら、誰かに教えてあげて下さい。余裕のあるときにまた「後売りチケット」を購入してください。
そして、JIROKICHIのYouTubeチャンネルにぜひ登録して下さい。 https://www.youtube.com/channel/UCAwGg0pRLhSLzhy3kIWvTng きっと新しい出会いが待っていると思います。

今回の2days公演は、会場全体が多幸感に満たされた最高の一期一会でした。その空気感、ライブ感、化学反応の瞬間をJIROKICHIのYouTube配信が十分に伝えてくれています。オンラインであってもライブの臨場感と熱量を「体験」してもらえると思います。
アーカイブ視聴は7月18日(日)23時まで可能です。自信を持っておすすめします。

もしよかったら、あなたも音楽文化を共に守り育む一員になってください。また一緒に楽しみましょう。

《リクオ JIROKICHI スペシャル2days 》 ※配信アーカイブは7/18(日)まで視聴可能
●7/9(金)〜 リクオ with ストリングス 〜 
出演:リクオ / 橋下歩(チェロ) / 阿部美緒(ヴァイオリン) 
【Youtubeチャンネル】https://youtu.be/jvuCDpQX978
●7/10(土) 〜 リクオ・トリオ Live goes on Tour vol.2 〜 
出演:リクオ・トリオ(ボーカル&ピアノ:リクオ/ベース:寺岡信芳/ドラム:小宮山純平) with 森俊之(キーボード)
飛び入りゲスト:ウルフルケイスケ(ギター)
【Youtubeチャンネル】https://youtu.be/16BTDDekuh8

【オンラインショップ(投げ銭)】https://jirokichi.official.ec