2025年11月20日木曜日

映画「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」感想

自分にとってブルース・スプリングスティーンの魅力の一つは「光と闇のコントラスト」だと思う。あの爆発的エネルギーは深い内省を経てこそ解き放たれる。
‘82年にリリースされたスプリングスティーンの弾き語りアルバム『Nebraska』の制作時期を描いた映画『孤独のハイウェイ』は、スプリングスティーンの弱さと内省にスポットを当てた作品だった。劇的で華やかなストーリーと映像を期待していた向きには肩透かしの内容かもしれないけれど、自分にとっては、スプリングスティーンに惹かれ続けてきた理由をあらためて確認させてくれるような映画だった。

スプリングスティーンを演じた主演のジェレミー・アレン・ホワイトは、あんまりスプリングスティーンに似ていなかったけれど、それが気にならないくらい繊細の伝わる惹きつける演技だった。彼が、プロレス一家を描いた映画「アイアンクロー」の主役、プロレスラーのケリー・フォン・エリック役を演じていたことには、映画を観た後で気づいた。どちらの作品も父親との複雑な関係や孤独を描いていて、何か腑に落ちたような繋がった気がした。

この映画の核の一つはスプリングスティーンとマネージャー・ジョン・ランダウとの友情物語なのだけれど、今度はスプリングスティーンと長く活動を共にしてきたEストリートバンドとの関係を描いた映画も見たいと思った。

帰宅してから久し振りに「ネブラスカ」を聴いた。静かに迫るものがあって心がざわついた。

ー 2025年11月20日(木)



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