2011年12月8日木曜日

フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーション

 この日は、音楽関係の知人が藤沢まで来てくれて、駅近くのカフェで一通りの打ち合わせをすました後、お店を変えて一緒に飲む。
 とてもたくさんの話しをした。会話の中で、自分の中でも、多分相手の中でも、色んな気付きがあった。顔を突き合わせて話すことだ大事だなとあらためて 思った。言葉だけじゃなくて、言い方、声のトーン、表情によって、伝わることがたくさんある。当たり前のことなんだが、忘れがちだ。
 本人を目の前にした方が、相手を気遣い、尊重する態度を示しやすい。相手の痛みを実感しやすい。ネット媒体を通じて人とコミュニケートする時には、自分 も含め多くの人達が、相手に対する想像力、配慮が欠けてしまう傾向にある。実感の伴わない情報で武装し、わかった気になって、万能感に支配され、等身大の 自分を見失い、偉そうになったり、無神経に他者を傷つけたりしてしまう。
 ネットばかりしていると、世の中にはこんなに傲慢な人間が多いのかと、うんざりしてしまうことがある。もっとネットの向こう側を想像しながら、ネットやSNSを使いこなすことはできないのだろうか。
 自分は、3.11以降もツアー暮らしを続け、さまざまな現場に足を運びながら、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを続けることで、随分と救 われてきた気がする。顔を付き合わせて得た情報、実感、現場で実際に見て、五感で感じとったことが、自分にたくさんの示唆と勇気を与えてくれた。そして、 音楽の持つ力をあらためて、実感することができた。
 この9ヶ月、物事の本質にふれることのない、割り切った物言い、ヒステリックな表現に随分と接してきた気がする。自分の中でさまざなな違和感がひろがっ て、その違和感をどうにか音楽で昇華したいという思いが続いている。この夜も酒の席で「実際には2項論では語れない部分、割り切れない部分を、平易な言葉 とシンプルなサウンドで表現したい」「心のリミッターをはずしながら、独りよがりにならない表現を目指したい」そんな思いを知人と熱く語りあった。
 知人が帰って行った後も、気持ちにスイッチが入り続けている感じで、1人でもう一軒なじみの店へ飲みに行く。閉店間際のお店で、しばし常連客と一緒に楽しく飲んだ後に、お店マスターのH君と2人きりで飲む。
 H君は、週末に相馬市で、山口洋と地元の人達が中心になって企画した復興支援イベント「SOMA WEEK」に炊き出しチームのリーダーとして参加して、藤沢に帰ってきたばかりだった。H君は、相馬市と南相馬市で見て感じとったことがあまりに多くて、 まだとても自分の中で整理できない様子だった。自分は実感をともなったH君の話を聞き続けた。「この現状に対して、自分に何ができるのか」H君の問いかけ が、自分の心にも迫ってきて、少し苦しくなった。
 思いを共有しながら、それぞれが、それぞれの答を出してゆくべきなのだろう。
  濃い夜になった。

0 件のコメント:

コメントを投稿