自主レーベルを立ち上げてアルバムをリリースするにあたっては、いろんな無理を承知で、人に迷惑をかけ過ぎない程度に身の丈をこえようとしたのだけれど、予想以上にやることが多くて、こなしきれていないもどかしさを感じている。
目に入ったり耳にする作品への評価は、今までになく好評で勇気づけられるのだけれど、目標とするセールスに至るまでの道のりはまだ遠い。
今回のアルバム・リリースにあたっては、今までになく数字と評価に向き合うことを意識している。
理由はいくつかあるけれど、まず現実問題として、アルバムの制作費がいつになくかさんだことが大きい。アルバムのリクープライン(制作費を回収できる枚数)が相当に高くなってしまって、自作の通常売り上げでは、全然回収できなくなってしまったのだ。まあこれは、制作途中でアナログレコーディングに移行して、録り直しを始めた時点でわかっていたことで、そこでもう、かなりの覚悟は決めていた。
アルバム制作にあたっては当初から、スタンダードを意識した楽曲をおさめたポップ・アルバムを作りたいと構想していた。ポップスとは、多くの人達との共同作業によって生まれるものだと思っていたので、制作にあたっては、今の自分ができうるぎりぎりの無理をして(無理もお願いして)、なるべく多くの人に関わってもらうよう心掛けた。この流れは、2年前にリリースしたアルバム「HOBO HOUSE」から始まったと言える。
結果、アルバム「Hello!」は、自分が活動をインディーズに移して以降、最も多くの人達の関わりによって生まれた作品となった。関わってくれた人達とは、これ一度きりでなく、これからも一緒に仕事がしたいとの思いが強い。これは、7月の発売記念スペシャルライブに関わってくれているPAや照明、舞台スタッフに対しても同じ気持ちだ。
そのためには、数字としての結果を残さなけきゃいけない。7月の東名阪のライブも成功させなきゃいけない。そうしないと、次につながらない。次につなげることが、関わってくれた人達への恩返しにもなると思っている。
つまり、もっと売れなきゃいけない。売れたいっす。ああ、言うたったー。
でも、どうしたらいいんやろ。インディーズの自主レーベルで出来得ることは何でもやろうと、色んな人達に協力をお願いして、忙しく動いてはいるけれど、今、投げてるボールを、一体どれだけの人が受け取ってくれてるんやろと不安にもなる。作品の力が足らんのか?いやいや、そんなはずはない。などと、自問自答したり、悶々としながらも、元気は失わず、プロモーションにツアーに忙しく動いている最中だ。
今年の1月に武道館でウルフルズのステージを観た。メンバーとは昔からの知り合いで、同じ時代に、同じ関西で音楽活動を始めたバンドとして、彼らのことをずっと意識し続けてきた。ギターのケイヤン(ウルフルケイスケ)とは、ウルフルズが活動休止中に、二人で全国をツアーして回った仲だ。
あの広い武道館のステージでも、ケイヤンはしっかりと存在感を示して、舞台映えしていた。サンコンのドラムは、パッションがグルーブとなって伝わり、今まで聴いてきた彼の演奏の中で最も印象に残った。ジョン・Bの歌う「所在ない」は、あの日のステージのハイライトの一つだった。松本君はスターって感じがしたなあ。歌の説得力は、さすがだった。
「ええなあ、オレもあのステージに立ちたいなあ」って思った。そして、そういう自分の気持ちに正直になろうとも思った。楽しい思いの方がずっと多いけれど、今まで悔しい思いも色々としてきたのだ。
自分が、今よりも売れたいと思うのは、経費回収の現実的な問題とか、恩返しとか、それだけが理由ではない。
これまでのキャリアの中で、自分なりに道を切り開いて来たという自負もあるし、多くの人達との関わりの中で、とても恵まれた音楽活動をやらせてもらっているという感謝の気持ちもあるのだけれど、一方で、今の状況に納得がいかない自分もいるのだ。
もっと作品が売れてほしいし、もっとたくさんのお客さんにライブを見てもらいたいし、もっと楽曲が評価されたい。口にすることはなかったけれど、ずっと抱え続けてきた気持ちだ。今回のアルバムリリースは、そんな自分の気持ちに向き合う一つの機会になっている。
こういうこと、口にするのは、ちょっと勇気がいりました。
50を過ぎても新しいことにトライしたいし、まだ道は切り開けると信じている。そういう可能性を、いろんな人達に見せられたらとも思う。こうした思いは、アルバム「Hello!」を貫くテーマともリンクしている。
ジョン・レノンは40歳で「スターティング・オーヴァー」を歌ったけれど、自分は51歳からの「スターティング・オーヴァー」を、見せられたらなと思う。1人ではなく、関わってくれている人達、応援してくれるお客さん達と一緒に盛り上がっていきたい、皆と一緒にいい夢をみたいと心から思う。
結局アルバムが売れず、ライブの動員にも結びつかないという結果が出たら、もちろん落ち込むけれど、卑屈になることは、もうないと思う。どちらにしても、くたばるまで音楽をやり続けるつもりだ。
ただ、時間は限られているので、自分の気持ちに正直に、トライできることは今のうちにやっておこうと思う。そして、そうした体験の全てを自分のネタにしたい。
というわけで、明日からまたアルバムを携えてツアーに出ます。実演販売は大得意。売りまくるぞー!締めは告知です。
明日5日からの北海道6ヶ所を回った後は、大阪での6/19(日)「大阪うたの日コンサート2016」出演を経て、バンド形態で長野(6/25)、高岡(6/26)を回ります。
そして、月が変われば、ツアーファイナルとして、名古屋(7/2)、大阪(7/3)、東京(7/10)にて、レコーディングメンバーにプラスしてDr.kyOnさんが加わる最強のサポートメンバーで、「Hello!」発売を記念したスペシャル・ライブを開催します。ここが大きな勝負所。
この3公演で、「Hello!」のカラフルでポップな世界観をさらに進めたエンターテインメントショーを目指します。最高のサポートメンバー、お客さん、スタッフらと一緒に、メモリアルな夜を刻みたいと思います。内容面でも動員面でも成功させて、次につなげたいです。ぜひ、観に来て下さい。応援よろしくお願いします。
ー 2017年6月4日(土)
アルバム「Hello!」特設ページ http://www.rikuo.net/hello/
ライブ情報 http://www.rikuo.net/live-information/
横浜サムズアップで奇跡のひと時を体感させていただいた一人です。
返信削除読んでいて、少し目が潤みました。
私は52歳になったところです。
情けない自分がいます。普通の会社勤めで、52というのは、脂の乗ったギラギラのオヤジ(部長格)か、うだつの上がらないヒラ社員に分かれるころです。
自分は、「もっと出来る!」と声を出したい。
でも自信が無い。
小声で少し背伸びした話を出したら、「オマエなんかに出来るか!アカンカッタ時のけつ拭くのワシ等やから、出来ても出来んでも目立んことを目標にしてくれ」と言われる始末。
それに、「はい、わかりました」と言うしかない自分。
ここに書かれている言葉、凄く重いなあ。強いなぁ。こんなことしか書けません。
どうやって応援すればと言うより、リクオさんを拝み、その強さを授かりたい。
そんなずうずうしいことしか思い浮かびません。
是非、夢のステージの予告をば~んと打ち上げてください。
その日は、風邪を引いてでも、親を危篤にしてでも武道館、いや、夢の適う場所に行きます。行かせてもらいます。