2021年2月12日金曜日

自分が森喜朗氏に対して根に持っていたこと

「子どもを一人もつくらない女性を税金で面倒みるのはおかしい」

自分達夫婦には子供がいないこともあり、森喜朗氏のこの発言に対しては、正直ずっと根に持っていた。
森氏はその後も、偏見に基づく差別発言を繰り返してきたので、今回の発言(「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」等)もその延長線上としてとらえている。

東京オリンピック開催に向けて私利私欲を捨てて尽力されてきた人なのかもしれないけれど、それとこれとは話が別だ。そもそもジェンダーの平等を掲げるオリンピック精神にはそぐわない意識を持った人なんだと思う。

森氏への批判が集中することに対して、逆に、「集団リンチ」「魔女狩りだ」との批判も見受けられるけれど、これまで、森氏に象徴されるような言動によって、抑圧され、差別され、傷ついてきた多くの人達の存在も想像してもらいたい。
ただ、これは、森氏1人を批判すれば、それですむ問題ではない。

森氏の辞任を受けての後任人事のやり方と人選を見ていたら、こんな機会でもアップデートができない、意識が変えられない組織なのかと思った(この投稿を書き終えた直後に、「組織委が川淵氏の会長就任起用を見送る方針を固めた」との報道を知りました)。
森氏発言へのさまざまな反響を受けて、この問題は、森氏個人の問題でも、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会だけの問題でもなく、社会全体の問題としてとらえるべきだとの意識をより強くした。

先週、森氏の発言に対する自分の考えをFacebookに投稿した際、コメント蘭に森氏への厳しいコメントが並んだ。
その中には、森氏の人格を揶揄するようなコメントも見受けられ、自分の発言がこういうコメントを引き寄せたのかと思うと複雑な気持ちになったし、個人の吊し上げに乗っかってしまったような居心地の悪さを感じたけれど、だからといって、森氏の発言を黙認することもできなかった。

それは、冒頭の森氏の発言に対するわだかまりが、ずっと消えていなかったことも関係していると思う。今回の発言を契機に、あのときの発言に対する憤りがよみがってきたのだ。
そういった発言は、森氏以外の政治家からもその後何度も耳にしてきた。「女性は産む機会」「子供を産まない方が幸せだと勝手なことを考える人がいる」等々。

政治家だけでなく、身近な知人からそういった内容の言葉を夫婦で受けたこともある。相手は全く悪気がなくても、言われた本人はその言葉を忘れない。森氏の今回の発言も、問題化されなければ、本人は発言したこと自体忘れてしまっていただろう。
やはりジェンダーフリーの問題は、個人や組織だけでなく、社会全体が受け止めて考えるべきなんだと思う。

ー 2021年2月12日(金)

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