昨日深夜に観たAmazon Original映画「One Night in Miami」(邦題「あの夜、マイアミで」)の余韻が残ってる。
'64年当時、アメリカ黒人社会のアイコン的存在だった4人、活動家のマルコムX、モハメド・アリと改名する前のカシアス・クレイ、アメリカンフットボール選手で俳優のジム・ブラウン、歌手のサム・クックが一堂に会したマイアミでの一夜を、実話をもとに描いた会話劇。
公民権運動の盛り上がりを背景に、それぞれの立場から考えの違いを激しくぶつけあい、互いになじりあいながらも対話を続け、それぞれの役割を自覚してゆくというストーリー。場面展開が乏しくとも飽きたり間延びすることがなく、終始画面に魅きつけられた。
ジム・ブラウンから、「肌色の明るい黒人が、同じ黒人から厳しい目で見られることで、自分の立場を証明するために、より過激に走る傾向にある」ことを指摘され、マルコムが戸惑いを隠せずにいる場面が特に印象に残った。
現在に通じる分断の複雑さだけでなく、一人一人の内面にある複雑さや矛盾を丁寧に描いていて、この作品の誠実さを象徴するシーンだと思った。
映画を見終えたあと、ボブ・ディランの”Blowin' in the Wind”に触発されてサム・クックが作詞作曲したと言われる“A Change Is Gonna Come”を聴き直した。
It’s been a long, a long time coming
But I know a change gonna come, oh yes it will
長い、長い時間が掛かかる
でも転機は訪れる、きっとそうなる
マルコムは早急な革命を望み、サムクックは時間をかけた変化を求めたのだろう。
自分は、どちらかと言えば後者の立場だけれど、画面から伝わるマルコムやり切れなさに共感を覚えた。
分断が進み、対話の成り立ちにくいこの時代にこそ多くに見てもらいたい作品。
ー2021年1月16日(土)
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