「宿泊代高騰」「物価高によるチケット料金値上げ」「 コロナ禍以降のライブ供給過多」、この3つは自分くらいの規模で活動するツアーミュージシャン全員が、まさに今抱えている問題じゃないかと思う。
最近のホテル代高騰は異常だ。今までの定宿が、特に週末や観光シーズンに入ると、以前の倍どころが、場合によっては3倍、4倍の価格に跳ね上がったりするのだからたまらない。
インバウンドの観光客に対応した値段なんだろうけれど、エゲツナイなと思う。
宿泊代に限らず、こうも物価高が急な状況では、チケット代を上げざるをえない。基本的に、各公演のチケット代金を以前よりも500円程値上げさせてもらう機会が多くなった(離島など、物価が安い地域では据え置きにしたり柔軟に対応)。
ただ、物価と株価が上がっても、多くの人達の給与がそれらに比例していないことも理解しているので、心苦しく思うと同時に、お客さんがライブに来づらくなるんじゃないかとの不安も感じている。
自分の実感では、今、日本で開催されているライブイベントの総数は、コロナ禍以前を超えているように思う。とにかく、各お店のライブスケジュールが埋まる速度が、すごく早くなった。特に週末の日程が押さえづらくなっている。
それに対応して、自分は最近、都市部でのライブ開催を、週末にこだわることなく平日開催を積極的に考えるようになった。
ただ、地方のライブスポットに関しては、週末にしかライブを開催しないお店が多いので、それによって、ミュージシャン同士のスケジュールの取り合いのような状況が起きている。
どんどんブッキングの時期が早まっていて、「そんな先まで、スケジュールを決めたくないのになあ」と思いつつも、対応せざるおえない状況だ。
ライブの総数が増えても、多分、ライブ人口はコロナ禍以前よりも減っているので、今は需要と供給のバランスがかなり悪い、供給過多の状況だと思う。
ライブ人口やライブ文化の底上げのためには、ソロライブやワンマンライブばかりを繰り返して、ファンの人達を囲い込むのではなく、自発的にコラボライブや自主イベントを企画して、ミュージシャン同士、お客さん同士の横のつながりを広げてゆくことも大事なんじゃないかと考えている。
ただ、コラボライブとか自主イベント企画って、普段のライブよりも経費と手間がかかるので、経済と心の余裕がないと二の足を踏んでしまいがちなのだ。
そこをこらえて、先行投資と考えて充実を選ぶことができるか。そういうジレンマと葛藤の中で、自分も活動を続けている感じ。
こういう話をミュージシャン同士でもっとできたらいいなと思う。
まあ、そんなことを考えたり悩んだりしながらも、楽しくツアー暮らしを続けられていることに感謝してます。
今年はアルバム発売記念ツアー、還暦イベントと、これから年内中、自分にとっての大きなライブイベントが続きます。
これからも、みんなと楽しくやりたいなあ。
引き続きよろしくお願いします。
ー 2024年4月9日(火)
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