当時のライブでの選曲には、とてもナーバスになった。このシリアスな状況の中で、どんな歌を歌えばいいのか大いに悩んだ。
そんな時期に、今もお世話になっている地方のライブスポットのマスターからこんな内容のメールが届いた。
「リクオさんの『ソウル』って曲の中にいろんな答があるじゃないですか。今、『ソウル』をぜひ歌ってください」
そのメールをきっかけに、3.11以降しばらくは「ソウル」が自分のソロライブの大切なレパートリーになった。
「すべてのソウルにいつも灯がともるように
どんなやるせない夜でも
さまようソウルがいつか誰かに出会うように
光は闇の中に」
その時を境に、自分の中で、この歌の響きや意味合いが変わった。「光は闇の中に」という逆説的なフレーズが、それまでにないリアリティーを持って響くようになった。
3.11直後からしばらくは「この暗闇、絶望の中からでしか、明日への光は見出せない」という思いを強く持った。何かを変えるべきだと思った。
けれど、今思えば、その気持ちは時とともに次第に薄れていった気がする。やはり、しんどいこと、辛いことは忘れたいのだ。
結局、自分は「暗闇」から目をそらしてしまったんじゃないかと、このコロナ禍に思う。自分たちは、あのような災いを経て、何か新しい価値観を築くことができたのだろうか?
先日、自分が暮らす京都一乗寺から、自身初の試みとして、無観客有料配信ライブを行った。スタッフの熱意と、全国各地からの熱い思いに支えられて、忘れがたいステージとなった。無観客であっても無観客ではなかった。
様々な想い、状況を受け止め、それらを反映させるライブができたことの収穫は大きかった。
その日のライブの1部最後の曲に「ソウル」を選んだ。このコロナ禍において「ソウル」を歌うことは、自分自身への問いかけになっているような気がした。この時期だからこその演奏だったと思う。昨日、自身のYouTubeチャンネルにその時の動画を公開したので、観てもらいたい。
https://youtu.be/0wwX4vmCnPY
この数ヶ月の間に、思い悩み考えたことを忘れずにいようと思う。未来のために、この「暗闇」を失なわずにいたい。その姿勢こそが、自分にとっての一番の前向きだ。
コロナ後の「復興」が、以前の社会に戻ることではなく、新しい価値観による「創造」を伴っ たものであってほしいと思う。
ー 2020年5月16日(土)
【リクオ配信ライブ決定のお知らせ】
京都市一乗寺からの無観客配信ライブ第2弾が5月31日(日)に決定。視聴購入の受付も開始になりました。
今回も収益の20%をホームレス自立支援をサポートする認定NPO法人ビッグイシューに寄付させてもらいます。
https://note.com/thedayofpleasure/n/n5db8829342c9
■リクオ YouTubeチャンネル「rikuonet」への登録
https://www.youtube.com/user/rikuonet
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