2020年5月9日土曜日

「インフォデミック」(デマ・流言の爆発的拡散)への危機感

コロナ禍での「インフォデミック」(デマ・流言の爆発的拡散)に危機感を抱いている。
この2ヶ月程の間に、不確かな情報の拡散がネット上で一層目につくようになった。正義感や善意から、自分のところにもそういった情報が回ってくる。

それらの中には、ディテールがあまりにもリアルで、正直、信憑性が高いのではと感じる情報も含まれていたので、別の知人にその情報を流してしまったことがある(確証はないと前置きした上で)。
今となって、その情報はデマを含んだチェーンメールの類だったと認識しているけれど、当時は、不安な日々の中で自分の判断が鈍ってしまったと反省している。こういったデマや陰謀論の中には、一定の事実が含まれている場合が多いのも、判断を誤らせる引き金になっていると思う。

ソースのはっきりしない情報に対しては、知り合いや身内からもたらされた情報で、たとえ拡散要望があったとしても、自分で検索して確かめた上で、他に信頼できる複数の機関や公的機関が発表するまでは態度を保留して、公に拡散しないよう心がけようと思う。

4月に入った頃からSNSやYouTube上で見かけるようになった不確かな情報の一つとして「5G通信が人間の免疫力を低下させ、新型コロナウイルス感染拡大に影響を与えている」とする説がある。自分は、典型的な陰謀論、デマだと考えているけれど、この説は世界に拡散され、英国では、5G関連設備への放火や作業員への暴行、嫌がらせといった事件が多発して社会問題になっているという。
こういった情報が常にもたらすのは、特定の人種や職種、国などに対する敵対や偏見、差別意識の拡散だ。

この状況を受けて、WHO(世界保健機関)は「5Gは新型コロナウイルスを広めません」と注意を促す文書をウェブサイトに掲げ、Twitterは5Gと新型コロナウイルスを巡るデマを4月の段階で削除対象となり得る有害なコンテンツとして追加、5月に入って陰謀論について投稿しようとするユーザーにファクトチェック済みのアドヴァイスを読むよう促す機能を導入したそうだ。
Facebookも先月からこの説の拡散への注意喚起を始め、YouTubeはそれらの内容の動画配信を禁止。それでも新たな動画公開が後を絶たないようだ。
今も情報の拡散は収まらず、WHOと中国の結託による陰謀が取りざたされたりもしている。

こういった情報が拡散される背景には、先の見えない不安があると思う。その不安な気持ちが単純な物語を求めて、デマや陰謀論を引き寄せてしまう。それらは正義感や善意によっても拡散され、結果、偏見や差別、敵対意識をさらに広めてしまう。

こういう状況下では特に、誰もがデマや陰謀論を拡散する側に回る可能性があることを自覚しておいたほうがいいと思う。何が本当で何が嘘なのか、わからなくなってしまう瞬間が自分にもある。そんな時には、「わからない」という状況を一旦受け入れ、不安に向き合う時間を大切にしたい。
混沌に目を凝らし、丁寧に物語を紡ぎながら、コロナ後の世界を迎えたいと思う。

ー 2020年5月9日(土)

0 件のコメント:

コメントを投稿