2020年6月8日月曜日

気落ちからの回復 ー ライブの再開について

7月以降に予定していたツアーが軒並み正式に中止になったことで、ここ数日、思いのほか気落ちしている自分に気づいた。

例えば、地方ツアーが4ヶ所組まれていた場合、その内1ヶ所のお店が開催を希望していても、その他の公演が中止になれば、交通宿泊費、3蜜を避けた限定人数での開催状況を考えると、1公演だけでは収益が成り立たず、ツアー全体を中止にせざるを得なくなる。

お店や主催側が、ライブ再開に慎重になるのは十分に理解できるし、それぞれの選択を尊重すべきたと思いつつも、開催の可能性をギリギリまで探り続けながらの、ここへきての中止の連続は、少々こたえた。
コロナの影響で、9月以降はブッキング自体が思うように進まない状況なので、いつになったら通常のライブを始められるのだろうという不安も大きくなり始めている。

このコロナ禍で収入を断たれ、バイトや別の仕事を始める音楽関係者も多い中、部屋にこもることを許されている自分は、まだ恵まれていると思うけれど、この状況がこれからも長く続くようだと、そうも言ってられなくなる。

実のところ、2ヶ月半続いている部屋ごもりは、思っていたよりストレスフルで新鮮だった。ツアーに出れなくても、配信やDVD制作などやることも結構あって、それなりに充実した日々を過ごすことができている。自分の活動について、色々と考え直す機会を得られたことも良かった。

正直に言えば、ツアーに比べて体力と緊張感を必要としないこの暮らしは楽だった。部屋ごもりを続ける中で、ツアー中心の暮らしが結構タフな日々であったと感じるようになった。20数年間、休むことなくよくやってこれたなと思う。
お陰で、体のメンテナンスができたことは、ここ数ヶ月の収穫の一つではあるけれど、今急に「明日からツアーに戻れますよ」と言われても、すぐには心と体がついてゆけない気がする。
それゆえ、ツアー生活復活に向け自分なりに心身の準備を整え始めていたので、まだしばらくはツアーに出れそうにないことがわかって、ふっと力が抜けてしまった。

とは言え、どこかで折り合いをつけて、ケースバイケースで徐々にでもライブを再開してゆかないと、このままだとライブ文化そのものが廃れてゆくんじゃないかとの危機感がさらに増している。人々の「繋がり」や「文化」「創作」の場を奪ってゆく新型コロナウイルスの厄介さを、今更ながら感じている。

現時点での結論としては、ツアーでの遠出はもう少し待って、関西、東海地区を中心に、ガイドラインに沿って3蜜を避けたソロライブを少しづつでも再開してゆこうと考えている。無謀なことは避けるけれど、やってみないとわからないこと、前に進まないことも多い手探りの状況。
「少しづつ」という姿勢を大切に、焦らずやってゆこうと思う。数日内には、新たなライブの告知を始めるつもりだ。

最近、ツアーミュージシャン含めたライブ関係者の間に、絶望感からくる気力低下が蔓延し始めているのを感じる。先の見通しが立ちづらいことで、今年一杯どころか、あと数年間は通常ライブの開催は難しいだろうと考える人もいて、さすがにそれは悲観し過ぎではと思いつつ、その考えを完全否定することもできない。
振り回されて一喜一憂するよりも、悲観に安住した方が、精神的にはむしろ楽な面がある。けれど、その安住は自分の気力を奪ってゆく。

悲観的になり始めたら、1人で考え込むのをやめて、知り合いと連絡を取り合い、話をする時間を意識的に持つのがいいと思う。自分は、そのことで結構救われている。
愚痴を言い合ったりする中で、何となく気持ちが晴れていたり、人と話すことで、視野が広がって、前向きなアイデアが浮かんだりもする。

通常のライブができないのであれば、今までとは違うライブのあり方、創作のあり方、文化のあり方を、探ってゆこうと思う。自分はオンラインの配信ライブにも、その手がかりのようなものを見つけた気がしている。
配信ライブへのトライは、自分のライブに対する認識を確認し、さらに広げてくれる、とても良い機会を与えてくれた。ライブをつかさどる要素は多様で、自分の意識を変えてゆけば、いろんな形での一期一会が成り立つのだと思う。
この時期に、自分よりもずっと若い仲間とともに、アイデアを出し合いながら一つの目的に向かうことができるのはありがたい。

今は現実に向き合いながら、試行錯誤を楽しみたいと思う。闇の中にこそ希望があるはずだ。そのことをさまざまな繋がりの中で証明してゆきたい。

ありがたいことに、今日は数本のライブ開催が決定した。長年の付き合いのお店のマスターと電話で話して、いいエネルギー交換ができたのも嬉しかった。
そうすると、またムクムクと気力が湧いてきて、周りの景色まで違って見え始める。自分の単純さに呆れつつ、こういう性格で良かったなとも思う。


振り返れば、ツアーに出れなくなったこの数ヶ月の間も、自分は常に音楽に救われてきた。朝起きてすぐに好きな曲を流せば、それだけで心に精気が宿り始めるのを感じる。プレイヤーではなくリスナーとしてのを時間をたくさんつくれたことも、この部屋ごもり期間の収穫の一つだ。
今はインプットしてゆく時間で、それが曲などの形になってゆくには、もうしばらく時間がかかるかも知れないけれど、焦らず、その時を待ちたいと思う。

こういう時期だからこそ、音楽には経済を埋める以外の役割があるはずだ。その役割に自分も加われたらと思う。

ー 2020年 6月8日(月)

〈リクオ・オンライン配信ライブ・スケジュール〉

■6月14日(日)磔磔 presents スペシャル配信ライブ 『リクオ × 竹原ピストル』
配信開始:17:30
チケット代:¥3000
配信チケットのご購入および詳細
https://twitcasting.tv/kyoto_takutaku/shopcart/8184



■6月25日(木)[Piano Singers]
出演:リクオ / 伊東ミキオ / 椎名純平
会場:吉祥寺・スターパインズカフェ (STAR PINE'S CAFE)
配信開始:20:00(開場19:30)
チケット代:¥2500
販売:https://tiget.net/events/93175



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