2017年6月9日金曜日

5/25(木)下北沢・GARDEN「HOBO CONNECTION 2017 ~HOBO SPECIAL~」全曲解説

●5/25(木)下北沢・GARDEN 
HOBO CONNECTION 2017 ~HOBO SPECIAL~
【出演】リクオ with HOBO HOUSE BAND(ベース:寺岡信芳/ドラム:小宮山純平/ペダルスティール:宮下広輔)/仲井戸"CHABO"麗市/大槻ケンヂ
Photo by 三浦 麻旅子


1、「ランブリン・マン」リクオ  with HOBO HOUSE BAND(以後HHB)
HOBO HOUSE BANDがホストバンドとして参加した3公演(京都、名古屋、下北沢)では、オープンングの3、4曲は、リクオ with HOBO HOUSE BAND(以後HHB)としての4人の演奏をお届けしました。バンドにとっては今回の3公演ツアーが、新ドラマー・コミヤン(小宮山純平)の参加後初ステージだったこともあり、選曲とアレンジに関しては、本番当日のリハーサルまで試行錯誤を繰り返しました。選曲と曲順に関しては、舞台監督の丸山君とPAエンジニアの太田君の意見も参考にさせてもらいました。この日のオープニングナンバー、ニューオーリンズのセカンドライン・ビートを生かした「ランブリン・マン」の選曲はコミヤンの希望でもありました。

2、「僕らのパレード」リクオ with HHB
この曲も元々、HHBが参加する3公演の曲目には入ってなかった曲です。本番当日のリハーサルで音合わせして、手ごたえを感じたので、急遽、それまでの2公演でセットリストに入れていた「明日へ行く」と差しかえることしました。新ドラマーのコミヤンの京都、名古屋公演でのプレイが期待以上に素晴らしかったことが、思い切った決断をうながしました。

3、「希望のテンダネス」リクオ with HHB
今回のホーボーコネクションでは、ホスト役を全うするだけでなく、リクオというアーティストの現在進行形の姿を伝えることもテーマの一つにしていたので、自身のボーカル曲に関しては、なるべくオリジナルの新曲か、あるいは初トライ曲を選曲するよう心がけました。最近、日本のヒップホップを聴く機会が多く、その影響が反映された新曲です。

4、「グラデーション・ワールド」リクオ with HHB
初音ミクとデュエットするようなイメージで作り始めた新曲。四つ打ちキックの打ち込みによるアレンジを生音に変換するイメージでバンドアレンジしました。ステージに大槻君とチャボさんを迎え入れる前に、ロックやブルースの文脈とは違った要素が多く含まれる楽曲&アレンジのナンバーを敢えてセレクトすることを意識しました。

5、「ONLY YOU」大槻ケンヂ(vo)、リクオ with HHB
大槻くんはホーボーコネクション初参加。昨年11月の中川敬くんとのツアー「うたのありか2017」東京公演のゲストに出てもらった時が初対面。'90年代から彼のエッセイや小説、ソロアルバムが好きだっり、大槻くんと共通の知り合いが何人もいたりしたので、会う前から一方的に同世代の親しみを感じてました。オレと大槻君の共通点は、単位が足りなくて卒業できない夢を今だに見ること。中島らもさんのエッセイを読むと、らもさんもそうだったみたいです。今回の彼のボーカル曲は、全曲こちらからの提案。それらを受け入れてくれた大槻くんの懐の大きさを感じました。「ONLY YOU」は大槻くんの1st.ソロアルバムのタイトル曲で、田口トモロヲさんが在籍したパンクバンド「ばちかぶり」のカヴァー。大槻くんの1st.ソロアルバムの中でも、特に好きだった曲です。


6、「あのさぁ」大槻ケンヂ(vo)、リクオ with HHB
この曲が収録されている彼のソロアルバム「I STAND HERE FOR YOU」もオススメ。当時、オザケンの「天使たちのシーン」が収録されているのが意外で嬉しかったのを覚えてます。奇をてらうことなく曲の良さが伝わるアレンジと演奏を心がけました。

7、「プカプカ」大槻ケンヂ(vo)、リクオ with HHB
この曲の作者である西岡恭蔵さんは、自分が学生時代に初めて共演させてもらったプロのミュージシャン。恭蔵さんとは、デビュー前から何度もご一緒させてもらい、とてもよくしてもらっていたので、大槻君が昔から「プカプカ」をカヴァーしていることに繋がりを感じて、嬉しく思っていました。京都公演では、この曲を演奏する前のMCで、大槻くんが'90年代の頃の話として、当時憧れていたAV女優とデートの約束を取り付けて、下北沢の王将の前で待ち合わせしたときの逸話を面白おかしく聞かせてくれました。「プカプカ」は、ジャズシンガーの安田南さんがモチーフになって生まれた曲だというのが定説になっていますが、大槻君ってこの歌の主人公みたいに奔放な女の子に振り回されてるイメージがあって、それを裏付けるようなMCだと思いました。


8、「踊るダメ人間」大槻ケンヂ(vo)、リクオ with HHB
筋肉少女帯の代表曲の一つと言ってもいいのかな。演奏していて、子供にも受けそうだし、実は世代を超えて訴える曲だなあと思いました。こういう曲調を演奏する機会がないので、お客さんのリアクションも含めてすごく楽しくて新鮮でした。大槻くんは、この曲にチャボさんが参加することになったらどうしょうと不安に思っていたそうです。その話を聞いて、それもありだったなあと思いました。筋肉少女帯ヴァージョンのアレンジから離れて、HHBならではの演奏ができたかなと。しかし、本番でスイッチの入った大槻くんの豹変振りは笑えるくらい凄かったです。マスクを被らないマスクマンみたい。

9、「オーイっ!」仲井戸"CHABO"麗市(vo)、リクオ with HHB
毎回そうですが、チャボさんはステージに登場したその瞬間からカッコイイ。見惚れてしまいます。10代のファンだった頃から(今もファンですが)、そのイメージが変わらないんです。チャボさんと共演するミュージシャンは自分も含め皆10代の少年に戻ってしまう感じ。チャボさん自身が「永遠の少年性」を持つ続ける人なんだと思います。そんなチャボさんがユーモラスに「老い」を歌ったのが、この「オーイっ!」。こんなにカッコよくロックに「老い」歌える人、他に知らいないです。バンドの演奏も素晴らしかったんではないかと。

10、「君が僕を知ってる」仲井戸"CHABO"麗市(vo)、リクオ with HHB
RCサクセションのナンバー。選曲はチャボさん。清志郎さんは声のキーが高いので、男性がRCサクセションの曲をオリジナルキーで歌うのは大変なんです。だから普段チャボさんが清志郎さんVO曲を歌うときは、曲のキーを下げて歌うのが常なんですが、今回、チャボさんはあえて全曲をオリジナルキーで歌ったんです。そのことによって歌と演奏がよりエモーショナルに響き、さらにチャボさんのギタープレイがより際立つ結果をもたらしたと思います。一緒に演らせてもらって、「君が僕を知ってる」のギターリフのあの響きは、やっぱり原曲のGのキーでなきゃ出せないんだなと実感しました。

11、「たとえばこんなラブ・ソング」仲井戸"CHABO"麗市(vo)、リクオ with HHB
RCサクセションのナンバー。選曲はチャボさん。「君が僕を知ってる」同様、コアなRCファン、チャボさんファンにとっては、たまらない選曲。チャボさんによると、この曲をバンド編成で歌うのは多分今回が初だとのこと。光栄です。アレンジはあくまでもRCのオリジナルをベースにすることを心がけました。18の自分に教えてやりたいなあ。「今オレ、チャボとRCの曲やってるで」って。今回のチャボさん選曲の多くは、間違いなく清志郎さんが亡くなった5月であることを意識したものでした。

12、「Harvest Moon」仲井戸"CHABO"麗市(vo)、宮下広輔 、寺岡信芳 ※アコースティック・コーナー
ニール・ヤングのカヴァーをチャボさんの日本語意訳で。チャボさん選曲。元々この曲はチャボさんとペダルスティールのコースケ(宮下広輔)とのデュオで演奏予定だったのですが、チャボさんからの提案で寺さん(寺岡信芳)が急遽アコースティック・ベースで参加してトリオ編成に。これが大正解。舞台袖で聴いてたけど、素晴らしい化学反応、名演でした。チャボさんの日本語詞洋楽カヴァーって、言葉にリアリティーがあってオリジナルのように聴こえます。

13、「胸が痛いよ」仲井戸"CHABO"麗市、リクオ(vo) ※アコースティック・コーナー
自分と清志郎さんとの共作を、チャボさんのアコースティックギターとのデュオで。あの世ともつながった瞬間。


14、「Little Wing」仲井戸"CHABO"麗市(vo)、リクオ with HHB
ジミ・ヘンドリックスの名曲をチャボさんの日本語意訳で。「胸が痛いよ」の後を受けてのチャボさんの選曲。清志郎さんへの思いを歌っていることは明らかです。チャボさんの哀しみを湛えた歌と凄まじいギターに煽られて、京都、名古屋公演に続き、忘れられないセッションに。この演奏を体験できただけでも、イベントを企画した甲斐があったなあと。すごかった。

15、「永遠のロックンロール」仲井戸"CHABO"麗市、リクオ(vo) with HHB
原点回帰に向かうことで進行形であろうとする今の自分のスタンスを象徴する新曲です。この曲に、ロックンロールの楽しさ、開放感、希望を教えてくれた張本人のチャボさんがギターで参加してくれることの奇跡のような必然。ロックンロールの魔法が続いてることを実感。

16、「オマージュ - ブルーハーツが聴こえる」仲井戸"CHABO"麗市、リクオ(vo) with HHB
曲を作り始めた時から、ホーボーコネクションでのチャボさんとの共演までにこの曲を完成させて、チャボさんにギターを弾いてもらうことをイメージし、企んでいました。チャボさんとリハーサルに入った時点では、まだアレンジもしっかりと練れてなかったので、リハーサルと3公演の本番を通じて、バンドのメンバーとチャボさんと一緒に曲を育てていった感じ。この曲が完成して、チャボさんにギターを弾いてもらえた意味は、自分にとってすごく大きかったです。

17、「ロックンロール・ミュージック」仲井戸"CHABO"麗市(vo)、リクオ with HHB
惜しくも今年旅立ったロックンロールのオリジネーターの一人、チャック・ベリーの名曲をチャボさんの日本語訳で。前曲までの流れを意識した上でのチャボさん選曲。実は、当日リハーサルでチャボさんから突然、この曲のキーをGからAに上げてみたいとの提案があったんです。当日リハで曲のキーを変えることはめったにないのですが、こういった瞬間こそがルーティーンとは違うこのイベントの醍醐味。キーを上げることでチャボさんのボーカルがよりシャウトし、初期衝動の増した演奏に。コミヤンのスイングする8ビートも素晴らしく、名古屋公演では、この曲の演奏後にチャボさんがコミヤンを指して「ミスター・バックビート!!」と紹介。コミヤンにとっては最大の褒め言葉だったに違いないです。今回チャボさんに参加してもらった14曲中9曲の選曲はこちらからの提案で、残りの5曲が、オレの提案を受けた上でのチャボさんの選曲でした。チャボさんから送られてきた選曲を確認して、こちらの意図やテーマをすべて理解してもらえた気がしました。

18、「もう我慢できない」全員(大槻vo)
この選曲の反響が大きかったのが嬉しいです。JAGATARAの曲でチャボさんがギターを弾き、大槻くんが歌うという場面は、ある時代の邦楽ロックを通過した人にとっては歴史的瞬間ではないかと。チャボさんのギターとコースケのペダルスティールの掛け合いも大きな聴きどころになりました。そうそう、今回事前に大槻くんから、筋 少や特撮ではステージで曲終わりの締めを任されたことがない、という衝撃の事実を聞いていたので、今回大槻くんが参加してくれる曲の締めは、すべて彼に任せることにしました。京都・磔磔公演では、締めのジャンプのあまりの低空さに皆が唖然としましたが、曲を重ねるにつれ、GARDEN公演ではジャンプの飛距離も高まり、次第に曲締めのポーズにもバリエーションが生まれてるようになり、ライブ終盤では曲締めだけでお客さんを盛り上がるまでに成長、ライブの一つの見どころとなりました。




19、「明日なき世界」全員(大槻&リクオvo)
RCサクセションの洋楽カヴァーアルバム「COVERS」収録曲。オリジナルはバリー・マクガイア。日本では高石友也さんが先にカヴァー。清志郎さんの日本語詞は、この高石友也さんの日本語詞を元にアレンジされてます。もし10年前なら、この選曲をチャボさんに受け入れてもらえただろかと想像します。今だからこそ、チャボさんと一緒に演りたかった曲です。RCヴァージョンのこの曲のキーはE♭で、清志郎さんにしては低めのキー設定。今回、リハーサルのスタジオ入りする前に、チャボさんから「キーを1音半上げてGでやってみないか」との提案がありました。まさか、清志郎さんのボーカル曲でキーを上げることは想定してなかったので、最初は戸惑いましたが、ギリギリのキーで歌った結果、よりリアリティーの伝わる歌唱になって、演奏全体の「ぐっとくる感」も増した気がしました。今回のセッションでは曲のキーをどこに設定するかが、一つのポイントになりました。歌詞の中の「法律で真実は隠せやしねえ」っていうフレーズが、今も頭の中でリフレインし続けています。

20、「雨上がりの夜空に」全員(仲井戸vo)
チャボさんはホーボーコネクションの常連ですが、このイベントのステージで、RCの代表曲「雨上がりの夜空に」を演らせてもらうのは、今回が初。オレからのリクエストです。バンドアレンジはRCのライブアルバム「ラプソティー」をベースにしました。ドラムの四つ打ちキックのプレイントロをバックにした清志郎さんのMC「今日は最後までこんなに盛り上がってくれてありがとう!」の部分も、あえて完全コピー。チャボさんのギターのイントロリフをうながすMC「OK、チャボ!!」の部分は、「OK、チャボさん!!」と「さん」付けで。大槻くんとオレも歌詞の1部分を歌わせてもらいました。いやあ、盛り上がったー。

アンコール
1、「アイノウタ」仲井戸"CHABO"麗市、リクオ(vo) with HHB
オレのライブでの定番曲。チャボさんにはギタリストに徹してもらいました。シンガーのチャボさんだけでなく、かっこいいギタリストとしてのチャボさんも見たい。これは、RC時代からチャボさんを見続けてきたファン(もちろん、オレも含めて)共通の願いだと思います。ホーボーコネクションでは、ギタリストとしてのチャボさんもフィーチャーするよう常に心がけてます。

2、「不滅の男」全員(vo大槻)
大槻くんのソロアルバムにも収録されている、エンケンこと遠藤賢司さんの代表曲。この曲、オレも22年程前に1度だけ、阪神淡路大震災から間もない神戸のライブイベントでカヴァーさせてもらったことがあるんです。大槻くんがカヴァーする曲は、自分も好きだったり、自分もカヴァーしていたり、影響を受けた曲が多いんです。ステージ上で、大槻くん、チャボさんらとこの曲を演奏してるのが、ちょっと不思議で感慨深かったです。時を超え、世代を超え、点が線になり縁となる瞬間に居合わせているのだなあと。

3、「いい事ばかりはありゃしない」全員(仲井戸&大槻&リクオvo)
ホーボーコネクションでチャボさんと共演させてもらうときの定番曲。でも、この曲を誰とどこで演奏して歌うかによって、毎回曲の色合いが変わってゆくんです。セッション向きの名曲です。そう言えば昔、近藤房之助さんが「この歌こそ、日本の最高のブルースソングだ」って言ってたなあ。ホント、そう思います。アレンジは、あくまでもRCのスタジオ盤をベースにすることを心掛けました。この日のライブにふさわしいエンディング、大団円となりました。この曲含め、ホストバンドを務めたHOBO HOUSE BANDの演奏は素晴らしかったと思います。寺さん、コミヤン、コースケは、ホストバンドとして役割を全うした上で、それぞれが演奏者としての存在感をしっかり残してくれました。リハーサルから3公演を通してバンドが急成長してゆく姿に頼もしさを感じました。彼らとのこれからのライブも楽しみです。




以上、全曲解説でした。
こうやって書き記すことで、すべての選曲、曲順に、これだけの思いと意味合いが込められていたのだなあと、我が事ながら、再認識しました。それらを受け止めて応えてくれた出演者の皆さんにはリスペクトと感謝の気持ちで一杯です。
「HOBO CONNECTION 2017」10公演のすべてが、出会い、再会、ときめきに満ちた素晴らしい一期一会となりました。遅ればせながら、足を運んでくれたお客さんと関わってくれたすべての皆さんに心から感謝します。そして、これからもよろしくお願いします。ー リクオ

ー 217年6月9日(金)

【リクオ with HOBO HOUSE BANDライブ・スケジュール】
⚫︎7/14(金)渋谷・BYG 03-3461-8574
http://www.byg.co.jp/
ゲスト:高木克(ソウル・フラワー・ユニオン)
前売り¥4000 当日¥4500 開場18:30 開演19:30 
メール予約: bygrock1969@yahoo.co.jp
件名に(チケット予約+公演日)を記入して下さい。本文には氏名、電話番号、予約枚数を記入して下さい2人予約するなら2人とも名前電話番号を記入して下さい。予約完了しましたら、詳細をメールで返信いたします。メール送信の次の日までには返信いたします。

●8/19(土)大阪・martha(dinning cafe+goods)TEL 06-6446-2314
http://www.marthanet.com
「リクオ・プレミアムLive 〜真夏のマーサ編〜」
出演:リクオ with HOBO HOUSE BAND(ベース:寺岡信芳/ドラム:小宮山純平/ペダルスティール:宮下広輔)
¥4500 当日¥5000 (いずれも+1Drink) 開場18:00 開演19:00
【学割チケット】¥2500(別途1ドリンク代必要※大学生、専門学校生まで)※入場時に学生証の提示をお願いいたします。中学生以下入場無料※ただし、必ず保護者同伴でお越しください。
電話予約:011-623-0666
6/19(月)よりメール予約受付開始
ご予約はマーサHP内の予約専用フォームからお願いします。
http://www.marthanet.com

リクオ・ライブ詳細→ http://www.rikuo.net/live-information/

1 件のコメント:

  1. Gardenライブ、本当に中身が濃くてあっという間の時間でした(終わって欲しくなかった〜)。すべての曲にこれだけの思いが詰まっているのですね。全曲解説新鮮でした。バッチリ受け止めました。 「明日なき世界」は今のニュースを見るたびに、頭で鳴り響いています。ritsukon

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