2007年9月4日火曜日

現在、過去、未来。オレ、寺さん、学っち、5年振り!

渋谷 BYG
【サポートミュージシャン】ベース:寺岡信芳/ドラム:坂田学/ヴァイオリン:阿部美緒/パーカッション&ギター:宮田誠
 学君、寺さん、オレの3人が一緒に同じステージに立つのは’02年のThe Herzの活動停止ライブ以来、約5年振り。
  ヘルツの活動停止以降、自分はドラム、ベース入りのバンド.サウンドによる作品をほとんどリリースしてこなかったのだが、去年「セツナウタ」というアコー スティック.アルバムを、今年は「セツナグルーヴ」というCD+DVDの2枚組ライブ盤をリリースして、自分なりに手応えを感じ、その流れの先に、ドラ ム、ベースが参加したバンド.サウンドによるライブと作品のリリースを考えるようになった。そこで思い浮かんだメンバーはやはり学君と寺さんだった。
  ヘルツの活動を再会させたいという気持ちはなかった。あくまでもソロ.アーティスト、リクオのサポートとして2人に参加してもらいたいと考えた。だから3 人だけの演奏にはこだわらず、ヴァオリンの阿部美緒とパーカッションの宮田君にも今回のライブに参加してもらうことにした。
 けれど、寺さんと学君のリズム隊から受ける刺激がサポートとしての枠をこえるだろうことはわかっていたし、そうなることを期待してもいた。現在進行形のリクオであるために2人の力が必要だった。
  リハーサルは2度。初日のリハーサルで久し振りに3人で音を交わして感じたのは、ときめき、興奮、懐かしさと伴に“違和感”だった。多分、寺さんも学君も オレと似たような感覚を抱いたのではないだろうか。現在の自分を確認する上でもこの“違和感”はとても重要な感覚だと思えた。久し振りに3人で演奏してみ ることによって、この5年間で、自分のさまざまな変化を自覚することができた気がする。
 リハ-サルと本番を含めた3日間は、言葉でなく演奏で今の自分達のグルーヴを伝え合いながら、一緒にあらたなグルーヴを手探りしている感じで、とても充実した実りある時間だった。
  かってのヘルツ.スタイルにそったアレンジの演奏も、かってのヘルツとは違う、より柔らかく奥行きのある演奏になった。それが自分にはとても新鮮だった。 とにかく一緒に演奏していると、ああしたい、こうしたいという発想が色々と生まれる。そうすると今の自分の限界も見えてくる。現時点での限界が見えること によって、その先に行こうという気持ちにもなれる。つまり、限界を知ることで、自分の可能性を感じるという逆説。これは重要な体験だと思う。そんな風に感 じさせてくれる現場にいること、そんなメンバーと一緒にプレイできることは幸せだ。
 BYGのライブはいつもよく盛りあがるけれど、この日の客席 の期待感と本番の盛り上がりはやはり特別だった。もしかしたら、かってのヘルツの残像を求めて足を運んでくれたお客さんもいたかもしれない。その期待には こたえられなかったかもしれないけれど、今の自分達のときめきを伝えることができていたら嬉しい。
 よどんだ水が腐ってしまうように、流れ続け、変わり続けるなければ、変わることなくときめき続けることはできないのだろう。それって、ヘルツのバンド理念やん。

 まあ、そんな力むこともないわ。
 自分は順調に年を積み重ね、今や中年の域に達しようとしている。体も心も5年前と変化して当たり前。若くあろうとあがき続けるよりも、ある程度変化を受け入れて楽しむこと、新鮮に感じることが、むしろ若さの秘訣になるのかなと。精神はまだまだ若返ってゆくよ。
 「ほんと世の中は逆説に満ちているなあ」と感じる今日この頃。さらに年を積み重ねれば、またいろんな気付きがあるんだろう。これからが楽しみだ。

  本格的な初共演となる宮田君の演奏からは、音を楽しむ、音に戯れる、邪念を殺し、自我をなくして自分が音になるというイメージを持った。やはり人間性と演 奏は切り離せないのだ。阿部美緒は限られた時間の中でさまざまなアプローチを試みてくれた。いいメンツに恵まれている。

 打ち上げの席で学君から「お客さんから次のライブを聞かれて、勝手に『年内かな』ってこたえておきましたよ」と言われたときは嬉しかった。
 とにかくこの流れで、まだまだ可能性をためしてみたいと思う。

 この日で今年の夏は区切りがついたかなという感じ。実に充実した夏だった。

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