大阪 Rain Dogs
THE HOBO JUNGLE TOUR 2009
【出演】山口洋(HEAT WAVE)&リクオ
オープニングアクト:杉瀬陽子&酒井ヒロシ
昨日、高松から大阪入りし、夜はヒロシと彼の知人と東梅田界隈で飲み食いする。せっかくだから大阪の味や雰囲気を味わってもらおうと、猥雑な風俗街にあるお好み焼き屋に、まず彼らを案内する。
お好み焼きはとても美味しくて皆に好評であった。しかし、それ以上に彼らにインパクトを残したのが、せまい店内で大阪弁をまくしたて、大声で笑い、ひた
すら盛り上がり続ける家族の一団だった。小学生低学年と思われる娘2人も盛り上がりの輪に加わり、ノリツッコミを駆使して爆笑をとっているところが、さす
が大阪。回りを気にしている風がまるでない。ある種の繊細さに欠け、たくましい。もちろん大阪人がこういうタイプの人達ばかりというわけではないが。
その後回った2件のお店もそれぞれに濃い人間の集まるディープ空間で、オフ日にしてはかなり濃密な夜になった。
ライブ会場のRain Dogsは風俗店の集まる梅田東通りの先にある、アングラのニオイの残るお店。オーナーとは90年代前半からの長い付き合い。
同じ建物の3階にHeaven's DoorというRain
Dogsのオーナーがやっているバーがあるのだが、このお店は日替わりマスターというユニークなシステムを採用している。この日のマスターのカオリーニョ
藤原は地元の音楽シーンでは名の知れた存在。自分にとっては学生時代からの付き合いになる年の離れた盟友である。
他の日のマスターも、憂歌団のマネージャーだったヒデマロさんだったり、大阪の音楽事務所ヒップランドの立ち上げメンバーであり、大阪名物の音楽イベン
ト、春一番を福岡フータさんと共に支え続けるアベさんだったり、地元の音楽シーンを切り開いて来た名物親父ばかり。
ここはオルタナティブな感覚を持った人間が集まる場所なのだ。ディープ大阪を体験したければ、Rain DogsとHeaven's Doorに来れば間違いない。
やはり土地柄の影響なんだろう、この日のステージではボケのヒロシとツッコミのオレという役割が確立されていた。緊張と緩和の振り幅が実に大きくて、その結果、いつも以上に笑いの多いステージになった。
やはり人生にはボケツッコミ、ノリツッコミが必要だ。人をバカにして優越感にひたるのではなく、人をアホにする、自分をバカにして卑屈になるのではなく、自分をアホにする感覚。両者には愛があるかないかという大きな違いがある。
自分をアホにする、自身を笑うというのは、ナルシシズムを超えて自分を俯瞰する、客観視するということでもある。ボケツッコミ、ノリツッコミは拡大解釈と過小評価におちいらないためのスキルだ。
どんなに焦ってあがいてみても人間みなぼちぼちである。そのことを自覚するにはある種の断念のようなものが必要なのかもしれない。
「ぼちぼち行く」ことで、ジェットコースターに乗っていては見えなかった景色が見えたりする。それは暗示から逃れるため、ブルーにこんがらないためのスキルだ。
ちょっと大げさか。
今回の大阪滞在で、自分が関西の文化から受けた影響は大きいなとあらためて実感した。
打ち上げの途中で例によってセッション大会が始まった。地元の若いミュージシャン達の演奏の後に、カオリーニョ藤原が弾き語りを数曲聴かせてくれた。そ
れは、あがき続ける魂をなだめ、心を軽くしてくれるような、洗練と土着が共存した素敵な音楽だった。
急遽オープニングで演奏してくれた杉瀬陽子&酒井ヒロキには、やはりぐっときた。あとは自分を信じて前に進んでほしい、心からそう思った。
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