2012年3月11日日曜日

1年を経てー「希望」のための告白

「自分は、被災した人達と、思いを一体化させることはできない」
 わかっていたはずのことだけれど、昨年5月、震災後に初めて、被災地である石巻、女川、南三陸を訪れた時に、あらためてそのことを思い知りました。あま りにも大きな哀しみや絶望を受けとめるだけの想像力と心の容量を、自分は持ち合わせていませんでした。感情移入し過ぎると、自分が壊れそうな気がしまし た。

 この世は、あまりにも不条理に満ちていて、それらすべてを直視し、受け入れて暮らすことは、困難です。世界中の絶望に心のチャンネルを合わせることは不 可能です。他者への想像力の大切さを感じる一方で、その想像力にリミッターがかかってしまうことがあるのも、仕方がないように思います。
 人は極度の不安と緊張に、長く堪え続けることはできません。だから、事態が収束もしていないのに、忘れようとしてしまう。オレもそうです。
 けれど、不安や絶望、矛盾に向き合わなければ、見いだせない希望があります。希望なしには人は生きていけない。だから、絶望に心のすべてを取り込まれないよう気をつけながら、その先の光に目を凝らさなければいけない。力み過ぎず、焦り過ぎず。

「人は互いに寄り添わなければ、生きていけない」
 そのことも被災地で強く感じました。そこでは、多くの人達が助け合い、いたわりあって生きていました。現地でのボランティアの皆さんの活躍には、頭の下 がる思いでした。音楽を通して、被災地の人達と、ほんの少しでも繋がれたような気がしたことは、自分の救いになりました。震災後のやりきれない思いの中 で、自分は音楽によって何度も救われました。
 そんな自分の行動には、自己満足や偽善も含まれていたと思います。被災地に何度も足を運んだ動機の一つには、「何かすることで、まとわりつく『後ろめた さ』を解消させたい」という都合の良い自分本位な思いがありました。高揚がおさまると、そういった自分の不純や矛盾に気づくことがありましたが、そのこと で必要以上に自分を責めることは、やめるようにしました。行動には、そういう不純な動機も含まれるものだと思って、開き直ることにしました。ただし、これ から生きてゆく上で、「後ろめたさ」とは、付き合い続けようと思います。





 人は「孤独」を抱えて生き続けることはできても、「孤立」に堪え続けて生きることはできないと思います。自分達の他者への無関心が、多くの人を孤立化さ せるだけでなく、結局、自分自身も孤立化させてしまうのだと思います。だから、しんどくても、その想像力のリミッターをはずさなければいけないときがあり ます。
 そのときに、きっと自分自身の心も傷つきます。だから心が壊れてしまわないよう、自分自身をいたわることも忘れずにいようと思います。

 最後に、去年の3月16日のブログに掲載した詩を、あらためて掲載します。
 この詩を書いた時の自分は、東北から離れた場所にいて、不安と絶望に心を苛まれていました。被災した人達のことも想いました。自分の無力さに、やりきれ ない気持ちで一杯でした。そんな気分の中で、言葉を探し、メロディーを思い出そうとしたのは、つまり、どうにかして「希望」を見いだしたかったからです。 そのときの思いを忘れずにいようと思います。
 一体にはなれなくても、繋がりたい。方々を巡りながら、その方法を探し続けてゆくつもりです。    
       ーリクオ           


しばらくテレビのニュースを消して、パソコンも閉じて、心を鎮めてみる。
自分の弱さ、脆さを嘆くのはやめる。認めてやる。
そらしゃあない。
自分にとって大切なものは何?
つないだ手のぬくもりを思い出す。
忘れかけていたメロディーを口ずさむ。
少し無理をしてバカなことを言ってみる。
結構受けた。
笑顔にほっとした。
自分の中にあった優しさを思い出す。
希望を思い出す。
勇気を思い出す。

新しい暮らしが始まる。
新しい生き方を探す。
一人ではなく。
哀しみを忘れない。
後悔を忘れない。
後ろめたさも忘れない。
でも、引きずらない。
力み過ぎない。
祈り続ける。
歌い続ける。
新しい言葉とメロディーが生まれる。
呼吸を整えて、元気を出す。

2012年2月29日水曜日

下北沢でMAGICAL CHAIN CLUB BAND

下北沢 440(Four forty)
「MAGICAL CHAIN SPECIAL!」
【出演】MAGICAL CHAIN CLUB BAND
リクオ(pf&vo)/ウルフルケイスケ(g&vo)/寺岡信芳(ba.)/小宮山純平(dr.)
 とても楽しみにしていたMCCB下北沢440ライブ。ただただ音楽に集中できる時間が、いつも以上に待ち遠しかった。
 この日のライブは、楽しくって、弾けるばかりでなく、今迄の4人のライブの中で一番、音を味わえた感じがした。

 "D'nt think! Feel"
 ほんまその通りやな。

 素直な心持ちでアホになる。けど、そのためには経験とスキルがいる。
 弾けて、突き抜ける。そのためには、柔らかさが要る。メリハリがいる。
 前からわかってるつもりでいたことに、あらためて気づかされる。まだまだできることが色々あるなあ。それって、自分の可能性に気づかされることでもある。
 Road to Wild
 洗練の先の粗野。
 このメンバー4人の関係は、素直さと、素朴さと、大人の距離感が同居してる感じ。このバンドに、運命共同体とか、パーマネントとかいう言葉は必要ない。 いろんなバンドがあっていい。それぞれに自分のフィールドを持つ独立した4人が集まって、4人ならではの関係性の中で、4人ならではの音が奏でられたらい い。
 MAGICAL CHAIN CLUB BANDを通して、いろんな縁が繋がっていったら嬉しいな。来てくれてありがとう。これからもよろしくです。
 MCCB次回のライブは4/13(金)下北沢440です。ギターパンダとGROOVERSの藤井一彦も参加。お待ちしてます!


2012年2月24日金曜日

なぜ今バンドなのかーMAGICAL CHAIN CLUB BAND結成後初ライブ!

大阪南堀江 knave
「MAGICAL CHAIN SPECIAL!」
【出演】MAGICAL CHAIN CLUB BAND
リクオ(pf&vo)/ウルフルケイスケ(g&vo)/寺岡信芳(ba.)/小宮山純平(dr.)
 細かいことを考えずに、勢いでバンドを始めることにした。バンドを始めることになって、勢いで曲を書いた。割り切れない思いを、なるべくシンプルに、 かっこつけず表現したいと思った。そのために、自分のルーツであるR&R、R&B、ブルースといった音楽のフォーマットを使った。シンプ ルな制約の中にある、無限の自由、ワイルドネス、解放感。そこに立ち返りたかったのだ。
 その時期、その時期で、いろんなことをやりたくなってしまう。相変わらず欲張りなのだ。バンドもやるし、ソロもやるし、セッションもやる。やりたいこと をやる。言いたいことを言う。歌いたいように歌う。音楽をやる上で一番のモチベーションは、正義とか、お金じゃない。何が自由かわからなくもなるけど、自 由にやりたい。シンプルと逆説を同居させたい。あ、理屈っぽくなってきた。
 高校生で始めてバンドを組んで、30年のプロセスを経て、再び原点に立ち返る。そんな気分かなあ。
 この日のライブは、メンバー4人の「ときめき」と「衝動」が伝わったと思う。とにかく、気持ちよかったー。
 こういうロックバンドで演奏する機会が、長い間なかったので、やっぱりソロの時とは勝手が違うところもあって、ステージのペース配分がわからず、息が切れたり、音程がとりにくくなったりした。でも、色々あるのが、とても新鮮。
 この日のライブは、前回声がでなかったknaveでのライブの、雪辱戦でもあったのだけれど、ライブ中は、そんなことすっかり忘れて、演奏に没頭した。これだけ自分のMCが少ないステージはヘルツの時以来かもしれない。
 この4人で、これから多いに盛り上がって、マジチェンを繰り返したいと思う。
 ぜひ、皆さんも参加して下さい。来たらわかる!

2012年2月19日日曜日

和歌山県立串本古座高校でニューヨークスタインウェイを弾く

和歌山県立串本古座高校古座キャンパス 体育館(和歌山県串本町中湊370)
和高教第5支部 教育文化のつどい『“ROLLING PIANO MAN” リクオ コンサート』
 早朝のJRに乗って、和歌山市から本州最南端へ。
 今迄、日本中の色んな場所へ行ったけれど、和歌山県の紀州、紀南地方は、人も風土も、とりわけ印象深い地域だ。今迄、ライブツアーだけでなく、プライベートでも幾度となく訪れているのだが、古座を訪れるのは多分10年ぶりくらい。
 その間に古座町は串本町と合併。昨年9月の台風12号の時には、特に那智勝浦町と古座川町が甚大な被害を受け、この日のライブ会場となった串本古座高校の生徒の4分の1が被災したそう。
 古座高校を訪れるのは、多分16年ぶりくらい。会場の体育館に到着したら、思いがけない再会が待っていた。大変お世話になっている渋谷にあるピアノ販 売&調律会社、タカギクラヴィア代表の高木さんが、体育館に置かれたグランドピアノの調律をしているではないか!しかも、そのピアノはニューヨークスタイ ンウェイのフルコン(F1)。かって、クレイジーフインガーズのレコーディングでも使わせてもらった、あの最高のピアノだったのだ。何と、渋谷からわざわ ざ、この日のステージのために、ピアノを運んできてくれたのだそうだ。びっくり。感激した。
 タカギクラヴィアさんには、ホントにお世話になっていて、クレフィンのレコーディングだけでなく、4月に出るコラボ・ライブアルバム「HOBO CONNECTION VOL.1」(2CD+DVD)で使用しているのもタカギさんのピアノだし、今の自宅に置いているピアノもタカギさんから購入させてもらったものだ。
 この日のステージのPAを担当していただいた岡田さんと高木さんが知り合いだったことから、高木さんが現地まで足を運んで来てくれることになったのだそう。
 岡田さんは、長年東京でレコーディングエンジニアをされていたのだが、定年を迎えられて、串本町に越して来られのだそう。串本、勝浦には、岡田さんのように、他の街からIターンしてくる人が多いのだそう。
 コンサートには、幅広い世代の老若男女が集まって、満席になった。暖かいいい空間をコーディネイトすることができたと思う。高木さんによって調律された スタインウェイピアノの鳴りは最高だった。お客さんの中に、リピーターの人がかなりいたことも嬉しかった。この日は、何人もの人達と再会を果たすことが出 来たのだけれど、既に亡くなられていた方もいて、10年という歳月を感じた。
 この日の、宿泊先のぼたん荘は、かって、ぼたん荘内にあるホールでライブをやらせてもらったこともある、縁のある旅館。昨年の台風12号の時は、古座川が氾濫して80センチの床上浸水にみまわれ、営業の再開まで2ヶ月を要したそう。
 打ち上げは地元で上がった魚介類をたくさんいただく。打ち上げの帰りに、見上げた夜空の星の輝きには、圧倒された。こんな夜空を毎晩眺めながら暮らしたら、人生観も変わりそうだ。
 とっても印象深い1日になった。
 谷口先生、仲江先生他、地元の皆さん、大変お世話になりました。久し振りに古座に来れてホントに嬉しかったです。また元気に再会しましょう。

2012年2月18日土曜日

和歌山で新曲

和歌山市 オールドタイム 
 忙し過ぎて、しばらくブログをさぼってましたが、またマイペースで再開します。

 頭の切り換えが結構大変な毎日。欲張りなんかな、オレ。やりたいことが色々あって、うまく整理がつかなかったり。ツアー中もたまっている雑務をこなさざるえない状況。それでも打ち上げには参加するオレ。

 藤沢から新幹線と在来線を乗り継いで和歌山市へ。到着したら、市内に雪が舞っていた。和歌山で雪を見るのは始めてかも。
 オールドタイムは、デビュー前に、有山じゅんじさんに連れられて来たのが始めてだった。それから途切れる事なく通い続けているお店。マスターの松本さんとの付き合いも長いなあ。
 相変わらずいい音。新しく入ったPAの彼は、センスいいなあ。あまり手を加え過ぎず、こちらにまかせてくれるのがいい。
 この日は、MAGICAL CHAIN CLUB BAND用に、前日につくったばかりの新曲も演奏。「生きてりゃいい」っていう曲タイトルにした。寛容の足りない、世知辛い世の中になりつつあるなあという実感があって、その思いが歌にも反映された。
 この日は、久し振りにMさんと再会できたのも嬉しかった。昨年は鬱に悩まされ、色々と苦労されたそう。
 オールドタイムは今年で25周年とのこと。素晴らしい。年内にもう一度戻ってきてお祝いしたいと思う。

2012年1月29日日曜日

レコーディング!

 ツアーから戻って息つく間もなくスタジオ入りして、レコーディング。2日間で2曲、すごく弾けたテイクが録れた!

2012年1月26日木曜日

みちのく旅団 被災地ツアー2日目、そしてファイナルー音楽って、歌って、すごいなあ。

『ソウル・フラワー・みちのく旅団 with リクオ 被災地出前ライヴ・ツアー』
宮城県東松島市 矢本グリーンタウン2あおぞら集会所
仙台市 岸田清美県政事務所
 朝方、強い揺れで目が覚める。震度4の余震。

 石巻から東松島に向かう前に、石巻の楽器屋さん「サルコヤ」に寄らせてもらう。昨年5月に店の前を通り過ぎた時には、シャッターが閉まっていて、気になっていたのだ。お店のご主人とも少し話しさせてもらう。
 3.11の津波で、お店は1メートル70センチの浸水、多くの楽器が海水に浸ってしまったそう。そんな状況の中でも、ボランティアの人達の協力も受けな がら、店は再開を目指し、店に置いていたピアノも修復、そのピアノを使ってのコンサートも催し、昨年8月、再オープンにこぎつけたのだそう。経緯を知っ て、じーんときた。

 松島の仮設住宅集会所でのライブのこと。1曲目の「アリラン」を中川君が歌い出したら、客席最前列の女性が号泣し始めた。ライブ後に、その女性と話しさ せてもらったら、震災でなくなった夫が「アリラン」を好きで、よく口ずさんでいたのだそう。彼女はライブの後半では、楽しそうに手拍子してくれていた。涙 あり、笑いあり。自分達のステージで、少しでも感情を解放してもらえたら嬉しい。こういう場でのライブでは、演者と聴衆という関係性が曖昧になり、両者の 隔たりがなくなってゆくような感覚がある。音楽の原点に近づいているのかもしれない。
 ライブ後に、88歳になるというおばあさんが、泣きながら「音楽で泣いたのは人生で初めて。ありがとうね。」と話しかけてくれた。こちらこそありがとう。音楽ってすごいなあ。

 今回の仙台ライブに関わってくれた西村茂樹君とは、彼がグルーヴァーズに在籍していた20数年前に知り合い、一時は同じ音楽事務所に所属していたことも あった。西村君とは、昨年5月、南三陸志津川で、本当に久し振りに再会した。彼もボランティアで被災地に入っていたのだ。ほんと、人の縁は不思議。でも必 然の再会のようにも思えた。
 西村君が関わる障がい者作業所「被災地障がい者センターみやぎ」がこの日の仙台ライブの製作を協力してくれた縁で、この日のライブには車椅子の人達もブに多く参加してくれた。
 ライブの選曲は本番のステージで決めた。今回の4公演のライブの中では、平均年齢が一番低く、ソウルフラワーとリクオの音楽を好きで来てくれている人も 多かったので、選曲はオリジナル曲の割合が増えた。心がほぐれてゆくような、とても暖かな空間になった。しかし、「アンパンマン」はどこで演っても鉄板や なあ。
 事実上、アコースティックパルチザンにとって、このライブがツアーファイナル。このユニットに参加することで、たくさんの出会いをもらい、色んな貴重な経験をさせてもらった。感謝。