虎ノ門にあるポニーキャニオンのスタジオで、レコーディング&ミックスをお願いしたパードン木村さん、A&RのOさん、Nさん、立ち会いのもとに、レコーディングの最終行程であるマスタリングを行う。
マスタリングエンジニアの能瀬さんと仕事をするのは今回が初めて。響き、空気感、息づかい、色気を大切にした音作りを理解した上で、落としどころのツボを心得た実にプロフェッショナルな手際だった。
ミックスの段階で、なるべくマスタリングで手を加えないですむ音作りを目指したので、ほとんどEQをいじらない曲もあった。音を圧縮するコンプレッ
サー、リミッターの使用も最小限にとどめられた。それでいて音量、音圧に物足りなさを感じることはなかった。こんなことは今迄あり得なかった。
今回のレコーディングは一環して、足し算ではなく引き算の発想で進められた。レコーディング前は、弾き語りにいくつかのアコースティック楽器が加わった
小編成での録音を考えていたのだが、最終的には完全ピアノ弾き語りというスタイルに行き着いた。しかも多くの曲は歌とピアノの同時演奏。つまり一発録りで
ある。
一人での演奏にも関わらず、これだけ共鳴を感じながらのレコーディングは初めての体験だった。それは音響の面だけでなく、江ノ島の自然や、カヴァーした
歌世界など、さまざまな要素との共鳴だった。昼間は江ノ島を一望しながら自然の力を借りて、夜はアルコールの力を借りてレコーディングを進めた。これは自
分がツアー暮らしのなかで身につけた生活スタイルそのものだ。
変わり続ける過程での現在の自分と、変わることのない自分の資質の両方が、とてもよく反映された作品になったと思う。
最後の曲のマスタリングが終わった瞬間、隣にいたパードンさんと両手でがっちりと握手。
0 件のコメント:
コメントを投稿