小学生の頃、一番好きな外国人レスラーは、ドリー・ファンク・Jr.だった。ザ・ファンクス・ブームが始まり、弟のテリー・ファンクが圧倒的なスポットを浴びるようになってからも、自分の一押しはずっとドリーだった。
一番印象に残っているのは、巨漢のヒール(悪役)・アブドーラ・ザ・ブッチャーとのシングル戦だ。
反則を交えた理不尽な猛攻に耐え続けたドリーが、ついに反撃に転じる。ブッチャーの両腕をクロスして固め、しばし間を置き、呼吸を整えた上で放った渾身のダブルアーム・スープレックス。その一連の流れに痺れた。
そこに過度な演出がないからこそ、むしろ、リアリティーが伝わった。
今思えば、豪快に投げるというよりも、どうにか投げ切るまでのプロセスを見せることで、ブッチャーという巨漢レスラーの存在感も十分に生かされていたのだと思う。
自分の知る限り、ドリーは決して独り善がりな試合をしなかった。まずは相手を受け止めることを信条にしていたのだろう。
ドリーの試合における「間の取り方」は、観る側の想像力をかき立てた。繋ぎ技もフィニッシュ技も連発を控える引き算の試合運びは、現在のレスラーにとっても見習うべき部分が多いように思う。
また、ドリーは相手が誰であっても、自分のレスリングを崩さない芯を常に保っていた。ブッチャーやハンセン、ブロディのような怪物相手でも、自分を見失うことがなかった。
感情のコントロールを失い、ときに表現が過剰になる弟・テリーと対照的な存在だったことが、ファンクスの魅力につながっていたのだろう。
小学生の頃に、理屈ではなく直感で感じ取ったドリーの魅力は、今も色褪せることがない。
ありがとう、ドリー。
合掌。
ー 2026年8月7日(金)
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