沖縄県石垣島 Jazz Barすけあくろ
「THE HOBO JUNGLE TOUR 2008」
【出演】山口 洋(HEAT WAVE)&リクオ
昨夜はいささか飲み過ぎてしまったようだ。朝目覚めてもまだ、昨夜の白百合が残っていて、体がだるかった。
午後から、こーちゃんが車で海に連れて行ってくれるというので、昼食を済ませた後、ホテルの前でヒロシと待ち合わせをしたのだが、彼はひどい二日酔いで登場。さっきまで部屋で相当に吐いていたそう。そんな状態でも海には行くという。
天気は快晴。コバルトブルーの海は実に美しかった。オレは海パンに着替え、シュノーケルを装着して、南国の海を楽しんだ。一方の山口は、木陰で眠り続けていた。それもあり。
この日の開演予定時間が午後8時半。ライブが始まったのが9時頃。石垣タイムである。こっちの人は仕事が終わって、家帰って、飯食って、一服してから、ラ
イブに出かける感じ。時間の流れが違うんである。電車がないから終電の時間を気にする必要もない。郷に入れば郷に従え。石垣の夜は長い。
ライブが始まる頃には、山口もなんとか回復。
この日は2部で、山口がいきなりステージにあったドラムを叩き出して、オレのピアノ&歌とセッション。これがなかなかのグルーヴ。
アンコールで「満月の夕べ」を演奏すると、客席から「イーヤーサーサー」の間の手が入るところが、やはり沖縄である。この曲での山口の歌い方は、2人でツアーを始めた頃と比べると、変わってきたように思う。
アンコールを終えて、ステージを出たときに、基本的に言葉の少ないマスターのみつおさんから「リクオありがとうね」と言われたのが、嬉しかった。
88歳の唄者(うたしゃ)ナミィさんがライブを観に来てくれて、ライブ後に少し話しさせてもらえたのも嬉しかった。
吉祥寺から沖縄浦添市に引っ越したばかりのK夫妻、数年前まで那覇でCDショップをやってたKさんとも、思いがけず再会。
すけあくろのCD棚にニーナ.シモンのアルバムがたくさん揃っていたので、打ち上げの後半では自分がDJになって、ニーナ.シモンの曲ばかり選曲する。あまりにも素晴らしい。
★ナミィさんの譜面
2008年7月12日土曜日
2008年7月11日金曜日
HOBO JUNGLE TOUR2008最終章へー沖縄石垣島上陸
「HOBO JUNGLE TOUR のラストは沖縄で締めたい」と言い出したのは山口だった。それで、ツアーの最後は、石垣島、宮古島、本島の沖縄3ヶ所を巡ることにした。辺境の地をホーボーし続けた今回のツアーにふさわしい締めくくり方だろう。
午後4時半頃に石垣空港に到着。飛行機から降りる際に、「いろんな土地に行くけれど、こんなにわくわくする場所はなかなかないよ」と嬉しそうに語る山口。 自分にとっては、約2年振りの石垣島。陽射し、空気、景色、人の佇まい、何もかもが内地とは違う。自分も山口同様、早くも開放的な気分。
明日のライブ会場である「すけあくろ」のマスター、みつおさんと、「すけあくろ」の看板娘の百ちゃんが空港まで車で迎えに来てくれて、ホテルまで送迎してくれる。百ちゃんはこの2年の間に色々あったらしいけど、しばらく見ない内に、きれいになったなあ。
自分はチエックイン後、陽が暮れるまでしばらく街をぶらつく。この2年の間に新しい店が増えて、以前より街がカラフルで華やかになった感じ。石垣島には数 年後に新しい空港ができることが決まっていて、開発、観光地化に増々拍車がかっている様子。相変わらず内地から移り住む人が絶えず、新しいお店の多くは、 彼らによるものが多いようだ。以前には見かけなかった新しいお店で、ハット帽を一つ買う。
夜は山口、みつおさん、百ちゃん、石垣で白百合という 泡盛を作っているこーちゃん、そしてこの沖縄ツアーに東北から遊びに来た知人2人を交えて、会食。南国に来た開放感も相まって、とにかくよく飲む。最初の 店で白百合のボトルを4本空けてから、すけあくろに場所を移してまた飲み続ける。
山口はすけあくろで、石垣島に住む88歳の唄者(うたしゃ)、 ナミィさんのアルバムを聴き、彼女の写真集と、新聞の折り込みの広告用紙の裏を使って作られたオリジナル譜面をみつおさんから見せてもらい、痛く感激して いた。ナミィさんの表情は自然体でありながら毅然としていて、凛とした佇まいがあった。
★公設市場の前で撮影
★白百合の空きボトル
午後4時半頃に石垣空港に到着。飛行機から降りる際に、「いろんな土地に行くけれど、こんなにわくわくする場所はなかなかないよ」と嬉しそうに語る山口。 自分にとっては、約2年振りの石垣島。陽射し、空気、景色、人の佇まい、何もかもが内地とは違う。自分も山口同様、早くも開放的な気分。
明日のライブ会場である「すけあくろ」のマスター、みつおさんと、「すけあくろ」の看板娘の百ちゃんが空港まで車で迎えに来てくれて、ホテルまで送迎してくれる。百ちゃんはこの2年の間に色々あったらしいけど、しばらく見ない内に、きれいになったなあ。
自分はチエックイン後、陽が暮れるまでしばらく街をぶらつく。この2年の間に新しい店が増えて、以前より街がカラフルで華やかになった感じ。石垣島には数 年後に新しい空港ができることが決まっていて、開発、観光地化に増々拍車がかっている様子。相変わらず内地から移り住む人が絶えず、新しいお店の多くは、 彼らによるものが多いようだ。以前には見かけなかった新しいお店で、ハット帽を一つ買う。
夜は山口、みつおさん、百ちゃん、石垣で白百合という 泡盛を作っているこーちゃん、そしてこの沖縄ツアーに東北から遊びに来た知人2人を交えて、会食。南国に来た開放感も相まって、とにかくよく飲む。最初の 店で白百合のボトルを4本空けてから、すけあくろに場所を移してまた飲み続ける。
山口はすけあくろで、石垣島に住む88歳の唄者(うたしゃ)、 ナミィさんのアルバムを聴き、彼女の写真集と、新聞の折り込みの広告用紙の裏を使って作られたオリジナル譜面をみつおさんから見せてもらい、痛く感激して いた。ナミィさんの表情は自然体でありながら毅然としていて、凛とした佇まいがあった。
★公設市場の前で撮影
★白百合の空きボトル
2008年7月8日火曜日
どこまでいくねん!
豊橋 HOUSE of CRAZY(ハウスオブクレイジー)
「THE HOBO JUNGLE TOUR 2008」
【出演】山口 洋(HEAT WAVE)&リクオ
HOBO JUNGLE TOURはここにきて、演奏もパフォーマンスもさらにテンションが上昇して、エスカレートする一方。「どこまでいくねん」という感じ。自分の中では高山あたりから、「暴力性」とか「ワイルドネス」に火かついた感じ。
「どこまで自分を解放させることができるのか?」それは、ライブでの最大のテーマの一つであるけれど、こういう日々を続けていると、きっとどこかで反動がやってくる。「解放された自分と日常の自分とのバランスをどうとってゆくか?」ということも大切な課題に違いない。
最近はステージを終えて楽屋に戻ると、しばらくの間息が整わない。こういうライブばかりをやりたいわけではないのだが、今はこういう流れなのだろう。とにかくライブ中は、自分の中にエネルギーが充満している。
特に2部以降は、今まで自分がHOUSE of CRAZYで演らせてもらってライブの中でも、屈指の盛り上がりになった。
HOUSE of CRAZY、いつもありがとう!!
「THE HOBO JUNGLE TOUR 2008」
【出演】山口 洋(HEAT WAVE)&リクオ
HOBO JUNGLE TOURはここにきて、演奏もパフォーマンスもさらにテンションが上昇して、エスカレートする一方。「どこまでいくねん」という感じ。自分の中では高山あたりから、「暴力性」とか「ワイルドネス」に火かついた感じ。
「どこまで自分を解放させることができるのか?」それは、ライブでの最大のテーマの一つであるけれど、こういう日々を続けていると、きっとどこかで反動がやってくる。「解放された自分と日常の自分とのバランスをどうとってゆくか?」ということも大切な課題に違いない。
最近はステージを終えて楽屋に戻ると、しばらくの間息が整わない。こういうライブばかりをやりたいわけではないのだが、今はこういう流れなのだろう。とにかくライブ中は、自分の中にエネルギーが充満している。
特に2部以降は、今まで自分がHOUSE of CRAZYで演らせてもらってライブの中でも、屈指の盛り上がりになった。
HOUSE of CRAZY、いつもありがとう!!
2008年7月7日月曜日
豊橋へ
加古川から豊橋への移動日。
オレは、大阪で取材を一つ受けて、豊橋まで電車移動。
豊橋到着後、陽が暮れてから、明日のライブの主催 者の白谷君、山口、オレの3人で、ホテルの近くの居酒屋へ。軽く飲むつもりが、話がディープな方向におよび、結局かなり飲んでしまった。ツアーを重ねた上 でないと、こういう互いの深部に触れるような話はできなかったと思う。
HOBO JUNGLE TOUR は、オンステージでもオフステージでも、相手の懐に1歩踏み込まざるをえないところがあって、それが面白い。
オレは、大阪で取材を一つ受けて、豊橋まで電車移動。
豊橋到着後、陽が暮れてから、明日のライブの主催 者の白谷君、山口、オレの3人で、ホテルの近くの居酒屋へ。軽く飲むつもりが、話がディープな方向におよび、結局かなり飲んでしまった。ツアーを重ねた上 でないと、こういう互いの深部に触れるような話はできなかったと思う。
HOBO JUNGLE TOUR は、オンステージでもオフステージでも、相手の懐に1歩踏み込まざるをえないところがあって、それが面白い。
2008年7月6日日曜日
島田が泣いた日
兵庫県加古川市 ダイニングカフェ Cecil(セシル)
「THE HOBO JUNGLE TOUR 2008」
【出演】山口 洋(HEAT WAVE)&リクオ
3日連続ライブはやはりきつい。そしてこの暑さである。
自分は疲れると、話すのが面倒になって無口になりがちである。こういう時は開演までは無理をしない。なるべくスイッチをオフにしておく。
山口が前回セシルでソロライブを行った時は、PA設備が整っておらず、音響的に苦労したらしく、その日の打ち上げで、ギャラの一部をPA設備の寄付金として置いて帰ったそうだ。
その心意気に応えて、セシルは新しいPAシステムを揃えてこの日のライブにのぞんでくれた。しかし、いかんせん、スタッフがその新しいシステムをまだうま く使いこなせず、当日のリハーサルも色々と手間取り、随分と時間がかかってしまった。本番を迎えるにあたっての音響状態は決して万全とは言えなかった。
そして本番の前半では、ギターの音が出なくなったり、静かなギターソロの最中に、厨房でコップが落ちて大きな音がなり、演奏が中断されたり、さまざまなトラブルが続いた。山口はライブ中に、これらの現象を「セシルの呪い」と命名。
ライブは「セシルの呪い」をもネタにして乗り越え、えらい盛り上がりなった。この日も、ライブの後半でお客さんが総立ち。山口風に言うならば、「この日たどり着いた場所はまぎれもなく『LAND OF AHO』」である。
前日はヒロシが壊れ、この日はオレが壊れた。自分の中のワイルドネスが暴走して、レッドゾーンを超えた。ここまでせんでもええのに。
アンコールを終えて楽屋に戻るとすぐに、セシルの代表島田君が、泣き顔で挨拶に来てくれた。島田君の心意気とこの日のライブへの思いは、オレと山口にも、客席にも、伝わっていた。だからこその「LAND OF AHO」である。
一旦火のついたワイルドネスはなかなか冷ますことができない。だから打ち上げでも盛り上がってしまうんである。
★ヒロシの前でファイティングポーズをとる島田君。
「THE HOBO JUNGLE TOUR 2008」
【出演】山口 洋(HEAT WAVE)&リクオ
3日連続ライブはやはりきつい。そしてこの暑さである。
自分は疲れると、話すのが面倒になって無口になりがちである。こういう時は開演までは無理をしない。なるべくスイッチをオフにしておく。
山口が前回セシルでソロライブを行った時は、PA設備が整っておらず、音響的に苦労したらしく、その日の打ち上げで、ギャラの一部をPA設備の寄付金として置いて帰ったそうだ。
その心意気に応えて、セシルは新しいPAシステムを揃えてこの日のライブにのぞんでくれた。しかし、いかんせん、スタッフがその新しいシステムをまだうま く使いこなせず、当日のリハーサルも色々と手間取り、随分と時間がかかってしまった。本番を迎えるにあたっての音響状態は決して万全とは言えなかった。
そして本番の前半では、ギターの音が出なくなったり、静かなギターソロの最中に、厨房でコップが落ちて大きな音がなり、演奏が中断されたり、さまざまなトラブルが続いた。山口はライブ中に、これらの現象を「セシルの呪い」と命名。
ライブは「セシルの呪い」をもネタにして乗り越え、えらい盛り上がりなった。この日も、ライブの後半でお客さんが総立ち。山口風に言うならば、「この日たどり着いた場所はまぎれもなく『LAND OF AHO』」である。
前日はヒロシが壊れ、この日はオレが壊れた。自分の中のワイルドネスが暴走して、レッドゾーンを超えた。ここまでせんでもええのに。
アンコールを終えて楽屋に戻るとすぐに、セシルの代表島田君が、泣き顔で挨拶に来てくれた。島田君の心意気とこの日のライブへの思いは、オレと山口にも、客席にも、伝わっていた。だからこその「LAND OF AHO」である。
一旦火のついたワイルドネスはなかなか冷ますことができない。だから打ち上げでも盛り上がってしまうんである。
★ヒロシの前でファイティングポーズをとる島田君。
2008年7月5日土曜日
ヒロシが踊った日
京都 磔磔
「THE HOBO JUNGLE TOUR 2008」
【出演】山口 洋(HEAT WAVE)&リクオ
京都のうだるような蒸し暑さは、ツアーの疲れを一層増幅させた。
開演前の山口は、疲労困憊の様子。大丈夫か?今日のステージ。
しかし、客席の素晴らしいノリが、2人に思いっきりエネルギーを注入してくれた。理想的な開放空間。
そしてヒロシが壊れた。
打ち上げでの宴会芸?としてそれ以外の場所では封印されていたヒロシダンスが、ついにステージ上で披露されたのだ。オレらは何でもありか?
この振り幅の広さ。
多分、昨夜のライブがなければ今夜のライブの乗りは出なかっただろう。
ツアーを続ける意味を感じた。
★祇園祭の季節
「THE HOBO JUNGLE TOUR 2008」
【出演】山口 洋(HEAT WAVE)&リクオ
京都のうだるような蒸し暑さは、ツアーの疲れを一層増幅させた。
開演前の山口は、疲労困憊の様子。大丈夫か?今日のステージ。
しかし、客席の素晴らしいノリが、2人に思いっきりエネルギーを注入してくれた。理想的な開放空間。
そしてヒロシが壊れた。
打ち上げでの宴会芸?としてそれ以外の場所では封印されていたヒロシダンスが、ついにステージ上で披露されたのだ。オレらは何でもありか?
この振り幅の広さ。
多分、昨夜のライブがなければ今夜のライブの乗りは出なかっただろう。
ツアーを続ける意味を感じた。
★祇園祭の季節
2008年7月4日金曜日
猥雑空間
飛騨高山 ピッキン
「THE HOBO JUNGLE TOUR 2008」
【出演】山口 洋(HEAT WAVE)&リクオ
高山には前日入りして、日中は山口と自転車を借りて街を散歩。オレが高山に来た際に、よく行く大黒屋という蕎麦屋へ山口を連れてゆく。やはり、ここの蕎麦はうまい。
この日の高山も、かなり蒸し暑かった。日が暮れても、思った程気温が下がらない。そう言えば夏の高山に来たのは始めてかも。
この日のライブ会場であるピッキンのマスター、高原さんと話をしているうちに、自分がピッキンに通い始めて今年で10年になるということが判明。そうした ら高原さんが10周年を記念して、ライブを観に来たお客さん全員にビールを1本ずつ振る舞う太っ腹サービスを展開してくれる。2部が始まる頃にはお店に あったビールがすべてなくなる。
2部は自分のソロステージから始まったのだけれど、1部に比べると、明らかにお客の酔いが回っていて、随分と砕 けた、猥雑な雰囲気に変化していた。こういう場でのライブは、自分はめっぽう得意な方だとは思うのだけれど、曲調やパフォーマンスはある方向に偏る。内省 的なバラードや1対1の曲調を続けても、あまり長くは集中して聴いてもらえないから、客席参加型のリズムのある曲調や、宴会芸的なパフォーマンスに走りが ちなんである。そうすると客席はいつも以上に盛り上がる。ただ、そういう状況で、どうやって歌心を伝えるかである。
多分、自分が影響を受けたヴ ギウギやブルースが育まれたバレスハウスやホンキートンクと呼ばれていたような黒人居住区に存在した安酒場の雰囲気は、この日の猥雑さと共通しているのだ ろう。そういう空間の中でお客は、酒に酔い、多いに盛り上がり、体を揺らしながらも、演奏の中に含まれる切なさを共有していたに違いない。
この 日のお客さんは、山口とオレのコアなファンと呼べるような人は少数派であったと思う。山口にとってはピッキンでのライブは始めてだから、アウェー感もあっ ただろう。自分には、こういう場でのライブにこそ、THE HOBO JUNGLE TOURの意味の一つがあるように思えた。
こういう現場では、いつもより体力を使うけれど、自分の中のワイルドネスが余計に呼び覚まされる感じで、普段のステージ以上の開放感がある。客との掛け合いも面白い。ライブが進むにつれて、自分のMCも演奏もどんどんガラが悪くなっていった。
2人のライブで客がスタンディングになったのはこの日が始めてだろう。お客もそれくらに解放されていたと言える。けれど、アンコールに至って客席はもはや、じっくりと音楽を聴くという体勢にはなかった。
山口が最後のフレーズを歌おうとしたまさにそのときに、酔った客のしゃべり声が山口とオレの耳に入った。その瞬間、山口は歌うのを止めた。その場に緊張が走る。
自分は演奏を止めず、小声で山口に「ONE MORE」と合図して、最後のフレーズをもう一度ピアノでリフレインした。山口がラストのフレーズを歌い直し、ライブは終了した。
とても生々しい現場だった。
「THE HOBO JUNGLE TOUR 2008」
【出演】山口 洋(HEAT WAVE)&リクオ
高山には前日入りして、日中は山口と自転車を借りて街を散歩。オレが高山に来た際に、よく行く大黒屋という蕎麦屋へ山口を連れてゆく。やはり、ここの蕎麦はうまい。
この日の高山も、かなり蒸し暑かった。日が暮れても、思った程気温が下がらない。そう言えば夏の高山に来たのは始めてかも。
この日のライブ会場であるピッキンのマスター、高原さんと話をしているうちに、自分がピッキンに通い始めて今年で10年になるということが判明。そうした ら高原さんが10周年を記念して、ライブを観に来たお客さん全員にビールを1本ずつ振る舞う太っ腹サービスを展開してくれる。2部が始まる頃にはお店に あったビールがすべてなくなる。
2部は自分のソロステージから始まったのだけれど、1部に比べると、明らかにお客の酔いが回っていて、随分と砕 けた、猥雑な雰囲気に変化していた。こういう場でのライブは、自分はめっぽう得意な方だとは思うのだけれど、曲調やパフォーマンスはある方向に偏る。内省 的なバラードや1対1の曲調を続けても、あまり長くは集中して聴いてもらえないから、客席参加型のリズムのある曲調や、宴会芸的なパフォーマンスに走りが ちなんである。そうすると客席はいつも以上に盛り上がる。ただ、そういう状況で、どうやって歌心を伝えるかである。
多分、自分が影響を受けたヴ ギウギやブルースが育まれたバレスハウスやホンキートンクと呼ばれていたような黒人居住区に存在した安酒場の雰囲気は、この日の猥雑さと共通しているのだ ろう。そういう空間の中でお客は、酒に酔い、多いに盛り上がり、体を揺らしながらも、演奏の中に含まれる切なさを共有していたに違いない。
この 日のお客さんは、山口とオレのコアなファンと呼べるような人は少数派であったと思う。山口にとってはピッキンでのライブは始めてだから、アウェー感もあっ ただろう。自分には、こういう場でのライブにこそ、THE HOBO JUNGLE TOURの意味の一つがあるように思えた。
こういう現場では、いつもより体力を使うけれど、自分の中のワイルドネスが余計に呼び覚まされる感じで、普段のステージ以上の開放感がある。客との掛け合いも面白い。ライブが進むにつれて、自分のMCも演奏もどんどんガラが悪くなっていった。
2人のライブで客がスタンディングになったのはこの日が始めてだろう。お客もそれくらに解放されていたと言える。けれど、アンコールに至って客席はもはや、じっくりと音楽を聴くという体勢にはなかった。
山口が最後のフレーズを歌おうとしたまさにそのときに、酔った客のしゃべり声が山口とオレの耳に入った。その瞬間、山口は歌うのを止めた。その場に緊張が走る。
自分は演奏を止めず、小声で山口に「ONE MORE」と合図して、最後のフレーズをもう一度ピアノでリフレインした。山口がラストのフレーズを歌い直し、ライブは終了した。
とても生々しい現場だった。
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