清志郎さんの訃報を知ってから数日間は、正直、葬儀に行きたくない気持ちの方が強かった。でもやはり参加しないわけにはいかなかった。
当日は前日までの雨が嘘のようによく晴れた。気温はどんどん上昇して、お昼頃には初夏を思わせるような暑さになった。関係者、ファンの人達を含め、青山葬儀場には午前中からすごくたくさんの人達が集まっていた。
館内に入ってすぐに、清志郎さんの笑顔の遺影が目に入った。冗談みたいだと思った。けれど遺影の前に置かれた遺骨の存在は、冗談にしては行き過ぎだった。
館内には清志郎さんの歌声ががんがん流れていた。清志郎さんの曲を一度にこんなにたくさん聴いたのは久し振りだった。知らない曲は1曲もなかった。
三宅さん、梅津さん、片山さんら清志郎さんと旧知のバンドメンバーが景気のよい演奏を始めて、「青山ロックンロールショウ」と名付けられた型破りな葬儀
が始まった。多分その場にいた多くの人達と同じように、自分も思いを振り切るようにその演奏に拍手と声援を送った。けれど、多分その場にいた多くの人達と
同じように、盛り上げようとすればする程、喪失感の方が大きくなってゆくのだった。
自分が感傷に溺れるのは違う気がしていたので、葬儀の間泣いたりすることはなかった。
葬儀場を出て、関係者の人達とも別れた後、清志郎さんの歌を口ずさみながら歩いた。自然に清志郎さんの真似をして歌っている自分に気がついた。結構似ているじゃないかと思った。
なんとも言えない気持ちになった。
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