横浜 ThumbsUp(サムズアップ)
「セツナグルーヴ2010」
【ゲスト】多和田えみ(VO)
【サポート】寺岡信芳(ベース)/朝倉真司(パーカッション)/阿部美緒(ヴァイオリン)
この日のライブ会場、横浜サムズアップは、自分が思う理想のライブハウスの一つ。飲食が充実していて、大人が楽しめるという点では、ブルーノートとか、
ビルボードライブと共通しているけれど、サムズアップはそれらよりもっとくだけて猥雑な空間だ。チャージ、飲食料金もずっと良心的。
オーナの佐布さん始め、お店のスタッフの顔がとてもよく見えるのも特徴の一つ。皆がやりがいを持って働いているのが伝わってくるし、自分達がいいと思う音楽を提供しよう、音楽文化を育んでゆこうという気概がお店に感じられる。
オーナの佐布さんは、サムズアップ以外にもいくつかのライブスポットを経営していて、お店以外の場所でも、さまざまなライブイベント企画にも関わってい
る。自分が暮らす湘南にはサムズアップの元スタッフによるミュージックバーやカフェが何軒もある。佐布さんはお店経営を通じて多くの人材を育成しているの
だ。神奈川の音楽文化への佐布さんの貢献はとても大きいと思う。
サムズアップでバンドスタイルのライブをやるのは始めてで、とても楽しみにしていた。この場所でなら自分が思う理想空間を作れると思った。まるでダニーハサウェイのライブ盤みたいな、あの乗り。
その予想は間違いじゃなかった。特にライブ後半は、会場全体が一つになってグルーヴしているような感覚。こちらの演奏と一緒に歌っている時のお客さんの
笑顔は最高だった。ライブは観るものではなく参加するものであり、歌は本来聴くものではなく歌うものなんだということをあらためて実感した。
ゲストの多和田えみちゃんは、最高にソウルフルな歌を聴かせてくれた。その声はとても深いところまで響いた。彼女の素晴らしさの一つはその感応力にあ
る。感じ取って瞬間に呼応する力がずば抜けているのだ。元々耳がいいというだけでなく、オープンマインドであろうとする彼女の姿勢が、その能力を高めてい
るのだろう。
とても大きなつらい別れをしたばかりの彼女にとって、今回一緒にセッションした5曲は、その別れを思い出さずにはいられない歌ばかりだったのではないか
と思う。けれど彼女はそういうそぶりを一切見せず、感情に流されることなく、見事な集中力で5曲を歌いきった。大げさではなく、彼女の歌うことへの覚悟を
感じずにはいられなかった。
寺さん、朝ちゃん、阿部美緒の演奏は今回も素晴らしかった。もっとみんなとライブやりたいなあと心から思った。
この実感の積み重ねを頼りにこれからもやってゆくつもり。
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