An Evening EPO&RIKUO
【会場】神奈川県藤沢市 太陽ぬ荘(てぃーだぬそう)スタジオロビー
【出演】リクオ/EPO
EPOさんとは、約1年半前、沖縄那覇で開催された街フェス、「アサイラム2008」での共演がきっかけで知り合った。
それまで自分にとってのEPOさんは、CMやバラエティー番組のエンディングテーマなどで聴き慣れていた、80年代当時の日本のポップスを代表する一人というイメージだった。
けれど、始めて生で聴いたEPOさんの音楽は、自分のそれまでのイメージとは随分違っていた。それらは心のとても繊細な部分に触れてくる祈りに満ちた歌
だった。EPOさんが現在、音楽活動と平行して、カウンセリングの仕事をしていると聞き、納得がいくような気がした。
今年に入って、EPOさんが長年パーソナリティをつとめるラジオ番組にゲストとして呼んでもらった際、収録後に、自分が暮らす藤沢でのジョイントライブをお願いしたら、その場で快くOKしてもらい、この日の太陽ぬ荘でのライブが実現した。
太陽ぬ荘はレコーディングも可能な大型スタジオ。60帖あるロビーではライブイベントが毎月企画されていて、地元で活動するミュージシャン以外にも、多
くのツアーミュージシャンのライブがブッキングされている。ここのロビーは普段からアルコールと簡単な食事を注文することができ、サロン&カフェの役割も
果たしている。
自分は、リハーサルで使わせてもらうだけでなく、打ち合わせで使わせてもらったりもしている。無線LANも装備していてい、とても便利なのだ。スタッフ
とも気心が知れていて、自分が暮らす街の中で、大切な音楽サロンの一つになっている。太陽ぬ荘が面白いのは、単なるスタジオとしてだけでなく、この場所か
ら音楽を発信してゆこうという意志があるところだ。
今回のライブは、太陽ぬ荘とミュージックバー、サウサリートの共同企画。サウサリートは湘南の音楽人が集うお店で、マスターのジョージさんは地元の人達
からリスペクトを集めるDJでもある。藤沢に越して来てからの2年間、ジョージさんには本当によくしてもらっていて、サウサリートを通じて多くの人達と出
会うことができた。
こういう繋がりの中で、EPOさんを藤沢に迎えることができたのがとてもよかったと思う。EPOさんが会場に到着する前、ジョージさんはオレにEPOさ
んのファーストアルバムのアナログ盤を見せて「このアナログ盤をEPOさんに見せてサインしてもらおうと思うんです」と嬉しそうに話してくれた。
実はこの日EPOさんは、電車の事故で会場入りが大幅に遅れ、開場直前になってしまった。満足にリハーサルを行うことができず、楽屋でセッションの打ち合わせをするなど、開演までドタバタのまま本番を迎えることになってしまった。
ステージに登場したEPOさんは、演奏前にしばらく間を置き、目を閉じて集中力を高めてから歌い始めた。会場の空気が変わって、景色に色がつき始めた。
EPOさんが音楽を通じて自分に向き合うことで、こちらも心のやわらかくて壊れやすい部分に向き合ってゆくような、なんだかセラピーを受けているような感
じ。
自分はライブイベントをいつも流れでとらえるように心掛けているのだけれど、得に、この日の自分のステージは、EPOさんの歌にインスパイアされ、その
流れを受けてのものだったように思う。この日の2人のライブは、解放に至るプロセスを見せているような感覚があった。
アンコール最後の曲は、EPOさんのデビュー曲「DOWN
TOWN」を2人でセッションさせてもらった。3月にEPOさんと恵比寿で朝まで飲んだ時に、EPOさんが、今も「DOWN
TOWN」という曲が好きだ、と言っていたのが、リアルタイムで聴いていた世代として、嬉しかった。
それでも、セッション曲として提案するには逡巡があった。一様自分が「DOWN
TOWN」をピアノで弾ける状態にしてから、ライブ前日に、セッションの追加曲としてEPOさんにメールで提案してみた。その日の内にEPOさんからOK
のメールが返って来てほっとした。お客さんも「DOWN
TOWN」をやってくれるとは思っていなかったみたいで、多いに盛り上がった。とても弾けた、いいエンディングになった。
「向き合って、最後は笑い飛ばす」そんな心の流れをうつすようなライブだったように思う。
ライブに遊びに来た山口洋も交えて、打ち上げも多いに盛り上がる。
楽しかったあ。
しかし、EPOさんのあの若さ、妖怪やな。
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