2010年4月23日金曜日

姉が本を出しました

 文化人類学者である姉が、フィールドワークの魅力を紹介する「フィールドワーク探求術ー気づきのプロセス、伝えるチカラ」西川麦子著(ミネルヴァ書房)という本を出版することになり、そのお祝いの食事会に参加するため実家のある京都へ帰る。

 京都は日本の他都市に比べると、街並の変化が緩やか。自分の遊び場だった近所のお寺、神社も昔のまんま。今でも、過去からの連なり、歴史を、暮らしの中 で感じることができる街。古いものと新しいもの、保守性と革新性、両者が同居しているところが京都の良さだと思う。
 年を重ねるにつれて、自分の本質が重層的だと自覚するようになってきたのだけれど、それは京都という街で生まれ育ったことも影響しているように思う。
 どちらかというと否定的な意味を込めて、京都人は裏表があると指摘されけれど、それは重層的であるという話にもつながる気がする。裏表を使い分けるいや らしさを否定したい気持ちはわかるけれど、自分の中にある裏表を自覚していない人はもっとやっかいな存在に思える。

 さて姉の本の話である。自分は文化人類学に対する知識も興味も薄いのだけれど、この「フィールドワーク探求術」に関してはとても興味深く読み進めることができた。
 文章はとても平易で、体験談が多いこともあって、感情移入できる部分が多かった。表現に、えらそぶったり、かっこつけたところがなく、こう見せたい、こう思われたいというたくらみが皆無なのが彼女らしいと思った。
 姉が続けてきたフィールドワークの歴史は、自身に向き合い続ける、あらゆる角度と距離から自分にツッコミを入れ続ける歴史なのだということがよく伝わってきた。
 文化人類学におけるフィールドワークの魅力を伝えるだけでなく、日常の中で心のフィルターを取り除く重要性と難しさ、自分を取り巻く世界の眺め方、コミットのあり方等々、色々なことを教えてくれたり考えさせてくれる本だと思う。
 姉のことを書いたのははじめてやなあ。

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