三重県 亀山市 月の庭
【ゲスト】中川敬(SOUL FLOWER UNION)/山口洋(HEAT WAVE)
目が覚めたら激しい頭痛。しかも声が相当に枯れている。やばいなあ。
渋谷から名古屋を経由して亀山に向かう車中、ひたすら眠り続ける。ツアー暮らしを続けてゆく上で、どこででも寝れるというのは、重要な特技である。亀山に着く頃には、なんとか頭痛がおさまってくれる。しかし、声はまだかすれ気味。
月の庭を訪れるのは今回が始めてだったけれど、月の庭と店主のマサルさんの話は色んな人達から何度も聞かされていた。だから、いつかは縁が繋がって訪れる場所だろうと勝手に考えていた。
実は、店主のマサルさんは数年の闘病生活を経て、今月の9日に亡くなられたばかりだった。それを受けて、マサルさんの大親友であった中川敬と山口洋がこの日のライブにゲスト出演してくれることになり、必然的に追悼ライブの意味合いが強まった。
マサルさんにとって、中川敬と山口洋の2人が共作した「満月の夕」という曲はとても思い入れの深い歌だった。マサルさんの葬儀では、高一になる息子のミッキーが三線で「満月の夕」を弾き語った。その光景はYouTubeにもアップされている。
この日は自分のソロライブではあったけれど、何よりも「満月の夕」の演奏をメインに考えた。まずライブ後半で山口洋がギターを弾かずにオレのピアノの伴奏
のみで「満月の夕」を熱唱。そしてアンコールで中川敬がマサルさんの息子ミッキーを呼び入れ、出演者全員で中川敬ヴァージョンの「満月の夕」を演奏した。
その場にいた誰にとっても特別な夜になった。
ライブの後、山口洋はミッキーに「ミュージシャンにはなろうと思うなよ」と釘を刺した。それは高校
生の頃にオレが父親から言われた言葉だった。自分はその時の言葉を忘れることはなかったけれど、大学4年になった時に、就職せずミュージシャンを目指すこ
とを父親に伝えた。賛成だとは言われなかったけれど、反対もされなかった。
ヒロシの言葉とは対照的に中川敬は「ミュージシャンになるしかないやろう」と言ってミッキーを煽った。
オレは「好きにしたらええやん」と心の中でつぶやいた。
月の庭は彷徨い人を惹き付ける魅力に満ちた場所だった。マサルさんの意志は奥さんのカオルさん、若いスタッフ達、月の庭と関わる多くの仲間達に引き継がれて行くに違いない。
自分はマサルさんとは数度しか会ったことがないけれど、月の庭という場所、そしてこのお店に関わっているさまざまな人達を通して、マサルさんからいろんなものを受け取っている気がしている。
月の庭にもマサルさんにも、これから何度でも再会するだろうと思う。
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