2023年2月24日金曜日

大きな括りでは捉えきれない1人1人の姿を伝えることの大切さ ー ロシア・プーチン政権のウクライナ侵攻から1年を経て

「独立した自由な国を守るために、ロシアに勝利する他に選択肢はないのです。」

2月20日にNHKで放送された番組・クローズアップ現代「シリーズ 侵攻1年 ウクライナ“真実”を追う記者たちの闘い」での、ウクライナ公共放送「ススピーリネ」会長のミコラ・チェルノティツキー氏の言葉だ。

同番組で、侵攻直後から1か月あまりに渡りロシア軍の占領下に置かれホストメリで取材を受けた現地の男性住民が、肌身離さず持っていると言って見せたワッペンには、「自由か死か」という言葉が刻まれていた。男性によれば、その言葉はウクライナ人のモットーなのだそうだ。

両者の姿や言葉から、勇敢さや美しい物語を感じ取ることもできるだろう。
けれど自分は、戦争によって人々が選択肢を奪われてゆく様を見せつけられているような、やりきれない思いを抱いた。

「自由か死か」、その言葉は確かに大多数のウクライナ人のモットーなのかもしれない。けれど、徹底抗戦が多数派の陰で、口に出せずとも即時停戦を願う人々や、その両方の思いに心を引き裂かれている人達も存在するんじゃないだろうか。特に戦火において、少数派の思いは蔑ろにされてしまうのだろう。

番組後半、ウクライナ現地から桑子真帆キャスターが語った言葉も印象に残った。
現地で出会ったウクライナ人は誰もが「パレモハ(勝利)」という言葉を口にしていたけれど、よく聞くと、その「勝利」が意味するものは、「夫や弟が生きて故郷に帰れること」「2度と攻撃にさらされないこと」「まもなく生まれてくる自分の子供が戦争を見なくてすむこと」等、1人1人異なっていると感じたそうだ。

翌日21日放送の同番組「シリーズ侵攻1年 ロシア 市民たちの12か月」も続けて観たのだけれど、国家の理想や都合の前に、個人の思いがかき消されたり、誘導され書き換えられてゆく状況は、今のロシアにおいてさらに顕著のようだ。
番組が放送された同日21日に行われたロシア・プーチン大統領の年次教書演説を聞いた時にも、国家との一体化を国民に強く望むプーチン氏の強硬な姿勢が伝わった。この強硬さは、80%を超える支持率も背景にあるのだろう。
欧米によるウクライナへの武器供与やロシアへの経済制裁が、結果としてロシア国民を精神的にも追い込み、国内でのプロパガンダも相まって、さらにプーチン支持を高める結果をもたらしているようだ。悩ましい状況だ。

「この戦争が、立ち止まって考えることをなかなかさせてくれない。
戦争が長期化して立ち止まることがどんどん難しくなっていくんじゃないか。」
番組の中でNHKヨーロッパ副総局長・有馬嘉男氏が語った言葉が重く響いた。

20日放送の同番組内で桑子キャスターが語っていたように、有事だからこそ余計に、「大きな括りでは捉えきれない1人1人の姿を伝えること」の大切さを感じる。
その違う1人1人の姿を想像し寄り添う姿勢こそが、戦争を遠ざける1つの手立てとなりうるように思う。

ー2023年2月24日(金)



そんな怖がらんで大丈夫やよ ー 首相秘書官の発言に思うこと

「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ。」

更迭された荒井勝喜・首相秘書官(当時)の性的少数者への発言を知って、この人は雑多で多様な社会に慣れ親しむ機会がなかったんだろうなと思った。もしかしたら、性的少数者の人達と自覚的に交流した経験がないのかもしれない。

荒井氏によれば、同性婚制度導入に関しては秘書官室全員が反対なのだそうだ。それが事実なら、自民党議員だけでなく官僚機構にもこういう考えが一般化していることになる。
荒井氏のような人を側近に登用する岸田首相もこういった偏見、差別意識を共有しているのだろうか。考えてみれば、荒井氏の発言は、岸田首相が衆院予算委員会で同性婚法制化について「社会が変わっていく問題だ」などと答弁したことを受けてのものだ。

彼らの差別意識の中には、社会が変化してゆくことや自分とは違う他者が存在することへの「恐れ」が含まれているように感じる。
愛し合う2人に、結婚という手段を認める。ただそれだけのことで、極端に社会のありようが変わることはないだろう。同性婚が認められて、マイノリティーへの理解が深まり、社会の風通しが良くなれば、それはいい変化だと思う。

「そんな怖がらんで大丈夫やよ」
荒井氏にそう伝えたい。

ー 2023年2月8日(水)

2023年2月8日水曜日

2023年2月3日〜5日ツアー日記(Facebookからの転載) 

今日は神戸にある啓明学院の卒業記念講演会にお招きいただき、校内チャペルにて、卒業直前の高校3年生徒251名と先生方の前で約1時間半の弾き語り。

学院の社会科教諭の長久と関大同学科の同級生だったことに加えて、指宿(いぶすき)校長とも、彼が関学の軽音時代からの知り合いだった偶然が重なって、今回の講演ライブが実現。
つくづく人の縁はおもしろくてありがたいなあと思う。
校内で先生が見守る中でのライブなんで、生徒達が大人しくかしこまることも予想していたのだけれど、ライブは冒頭から予想を裏切る盛り上がり。生徒さん達の瑞々しいエネルギーに大いに触発された。
終演後、楽屋にライブに参加したばかりの生徒達が次々と訪ねてきて、サインを求めたり、それぞれが感想を伝えてくれたのも嬉しかったなあ。
長久と指宿校長にも喜んでもらえてよかった。
ホント嬉しい再会。
続けてきてよかったなあと心から思えた1日でした。
ー2023年2月3日(金)


春日部・エバーチャイルド、満員御礼。最高の盛り上がりでした。
初めて訪れた町なのに、曲を知ってくれているお客さんが多くてびっくり。
主催してくれた田川&倉橋両氏が、自分達のライブでオレの曲をカヴァーしたりして仲間内にリクオの音楽を広めてくれていたそうだ。
思えば、2人が去年6月札幌でのリクオ・トリオのライブを観に来てくれて、春日部でのライブを直談判してくれた時から、昨夜のライブはすでに始まっていたんだと思う。
春日部初ライブの会場がエバーチャイルドでよかった。ミトウさん&あやちゃん、いいバイブをありがとう。
集まってくれたみなさん、最高の夜をありがとう。
これを始まりに、また春日部でオモロイことやりましょう。
今日5日は下北沢 ラ•カーニャにて17時開演。ゲストはギター高木克ちゃん。
ー2023年2月5日(日)

@下北沢 ラ•カーニャ
下北沢には若者が溢れていた。駅前は数年前とは様変わりして、街全体に雑多な要素が薄まった。
下北沢は便利で明るい街になった。
5月になってマスクも外せるようになれば、コロナ禍のさまざまな出来事もすっかり忘れ去られてしまうのかもしれない。街の賑わいの中でそんなことを思った。
地下への階段を降りてラ•カーニャのドアを開け、マスターの岩下さんと普段着の挨拶を交わしたらホッとした。
ゲストの高木克ちゃんとの合奏は2人ロックバンド状態。
このときめきや初期衝動をくたばるまで燃やし続けたい。あの人達のように。
克ちゃんと演れてよかった。楽しくてワクワクした。
下北沢は鮎川誠さんとシーナさんがいた街だ。
ラ•カーニャで2人にお会いした時のことなど、やはり思い出してしまった。
でも、感傷に流されることなく、一期一会の歓びを集まってくれたみんなと共有できたと思う。
その瞬間に全てを捧げれば、音楽はいつだってそれに応えてくれる。
ホンマ音楽は最高やね。
この魔法はもうとけないと思う。
ありがとう、また。

ー2023年2月6日(月)