つづら折りの宴in長田 開催地/神戸長田神社
内容:ライブステージ・被災地の定点観測写真展・市民団体の出店など
主旨:1995年1月17日の阪神・淡路大震災から10年の日に、被災者も、支援者も、国の違いも、世代の差も、障害の有無も、全てが同じ空間に包まれ、ひと時を共有できればとの思いで開催いたします。
出演/キンタミーノ、山口洋、うつみようこ、ドーナル.ラニー、石田長生、ちんどん通信社、ザ.ボートレース、メガマサヒデ、おーまきちまき&のむらあき、パクウォン、ソウルフラワー.モノノケサミット、朴保、リクオ
今から9年前、阪神淡路大震災から1年後、被災地の復興を願い、神戸長田神社で「つづら折りの宴」というフリーライブイヴェントが開催された。この企画の
中心になったのが、長田町で今も被災者のボランティア活動を続けるスタート長田の金田真須美さんと、ソウルフラワーユニオンの面々である。
ソウ
ルフラワーユニオンは震災直後に、ソウルフラワーの別ユニットで、ちんどんスタイルのソウルフラワーモノノケサミットを結成し、主に神戸の被災地で、古い
流行歌を演奏して回る活動を始めた。オレもその活動に何度か同行して、演奏に参加したことがあるのだが、「アリラン」や「復興節」で、本当に楽しそうに体
を揺らす、おじいちゃん、おばあちゃん等の姿が印象的だった。瓦礫の街を行き来しながら、ソウルフラワーの中川敬とヒートウェーブの山口洋が共作して生み
だした名曲が「満月の夕」である。
震災から10年、この日再び長田神社で「つづら折りの宴」が開催された。9年前に続いて、自分も参加できたことがとても嬉しい。
予報の降水確率が50パーセントだったので、天候が心配だったけれど、見事に晴れてくれた。そう言えば9年前も、予報が外れて快晴だったことを思い出す。
駅から会場の長田神社に続く商店街にはこの日のイヴェントのポスターがあちこちに貼られていた。地域密着型のイヴェントなのだ。
会場には屋台も出て、9年前よりなごやかなお祭りの雰囲気。
オレの出番は午後2時前。ガガガSPのコサック前田の熱唱を舞台袖で聴いてから、ステージへ。「ミラクルマン」からはじめて「風のイメージ」「LIFE
IS
BEAUTIFUL」とつないで、最後は定番の「パラダイス」で締める。ステージの前で子供がリズムに合わせて、楽しそうに踊っている。老若男女が集まっ
て、演奏を楽しんでくれている光景は、とても平和でハッピー。
楽屋はちょっとした同窓会の趣。この9年間、多分色々ありながら懲りずにやり続けてきた連中ばかり。
ソウルフラワーのヒデちゃんは2歳になる娘を連れてきた。再婚した夫は、アイルランド.トラッド界の最重要プロデューサー、ドーナル.ラニーである。ドー
ナルもアイルランドから、この日のイヴェントの為に来日。楽屋で娘のはなちゃんを抱くドーナルさんの姿は優しさとおだやかさに満ちていて、とても印象に
残った。
ヒートウェーブの山口洋は、相変わらず背中が寂しげで、何かを語りかけている。不器用さが増々色気をかもし出していると言ったら、格好
良過ぎか。彼の誘いで「満月の夕」を競演できたことは、この日の嬉しい出来事の一つ。約5年前に山口と競演したときは、彼がオレに拒絶反応を示した。自分
としては確信犯的に試してみたことが裏目に出た。まあ、そういうタイミングだったのだ。今回の競演で、オレに対する、彼のわだかまりも消えたよう。ステー
ジで山口のグルーブと共鳴するのは、この上なく心地よい。
前回、このイヴェントに参加したどんとは、もうこの世にはいない。どんとの奥さんのさちほさんは、たたずまいがどんどん浮世離れしてゆく感じ。この日のさちほさんの声は澄んで美しかった。あらゆるものと、やさしく響き合っている感じ。
前回に続いて、この日も司会をつとめたキンタさんとは、9年振りの再会。今は音楽の現場から離れているそう。オレのライブを観た後に、「リクオ、何があっ
てん。変わっててびっくりしたわ。」と言われる。まあ、確かに9年前はステージで指パッチンなんかやってなかったし、投げキッスもしてなかったし、グラサ
ンもしてなかったし、髪の毛ももっと長かったし、あんまり砕けてなかったし、やはり9年という歳月は長い。
中川君は相変わらずエネルギュシュ。
ちと太ったな。打ち上げでは、マイケル.ムーアのこと、イラクのこと等すごく真面目な話を熱く語り合った。こういう話を打ち上げですることって、彼以外と
はないなあ。石田さんは老いて増々盛ん。太郎君は、男っぽくなった。前回、ボランティアスタッフをやっていた人達とも会場で何人か再会した。宗君はおっさ
んになったなあ。足立っちゃんは変わらんなあ。
帰りは、奥野君、山口洋、ボランティアスタッフ3人と一緒に、最終の新幹線に乗る。車中、飲みながらバカ話ばかりしていた。
★楽屋から会場風景を撮影。
★帰りの新幹線で。左から奥野、山口、オレ。