会場では、各地方からやってきた多くの知人と再会することができた。今年は特に、東北の被災地から足を運んでくれた人達が多かった。
イベントを主催する海さくらのスタッフの中には、お客としてこのフェスに参加したことがきっかけでスタッフになった人が何人もいる。
とにかく年を重ねて、スタッフ、お客、出演者を問わず、知った顔がどんどんこのフェスに集まるようになった。海さくらフェスは、ただ1日の刹那的なお祭りの場ではなく、「繋がり、持続してゆく何かが生まれる場所」なのだと思う。
このような場を作った張本人は、海さくら代表の古澤君である。彼とは、考えの違いでぶつかり合うこともあったけれど、その情熱と誠実さに裏切られたことは、今迄一度もない。
今回司会を勤めたルー大柴さんと内田恭子さんも、古澤君の情熱に巻き込まれた人達だ。特にルーさんは今年に入ってから、海さくらが主催する江ノ島でのゴ ミ拾いにも参加し、復興支援のため古澤君らと何度も被災地を訪れている。単にメジャーな人を呼んで司会をしてもらったという関係性では全くないのだ。
この日会場に足を運んでくれた人達には、そういった関係性の中で、このフェスが成り立っていることが伝わったんじゃないかと思う。関わっている人達の熱量、思い入れ、繋がりがこれだけストレートに伝わるイベントもなかなかないと思う。
今年の海さくらフェスには「TOGETHER」というサブタイトルがつけられた。自分は勝手に、その言葉の裏に、長い孤独な時間の積み重ねをイメージした。自分にとっての「TOGETHER」は、「LONELY」を経てこそ成り立つものだ。
イベント終了後に会場で、福島県相馬市から足を運んでくれた知人夫妻としばらく話をさせてもらう時間があった。震災以降、メールと電話では何度もやりと りしていたけれど、こうやって顔を付き合わせてしっかりと話をさせてもらうのは久し振りのことだった。
3.11以降の2人の思いをダイレクトに受け取って、色々と感じるものがあった。しばらく話をした後に、「やっと話すことができました」と話す2人の表 情が、なんだか少し肩の荷が降りたといった感じだったのが、印象に残った。誰にでも話せる思いではなかったのだろう。多分2人は震災以降、多くの人達と支 え合う一方で、さまざまなことに気づいてしまったが故の孤独感、孤立感、違和感も深めていたのではないかという気がした。
この日の会場には、スタッフ、出演者も含めて、震災以降、2人と同じような気持ちを抱いていた人達が多く集まっていた気がする。そういう人達が
「TOGETHER」できる場所が、海さくらフェスだった、と言えば大げさすぎるかな。この日の海さくらフェスには、「LONELY」を経た「TOGETHER」が、方々で成り立っていたと思う。
この実感を大切に、次につなげてゆきたいと思う。