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12月11日(月)
「忌野清志郎と爆笑問題 太田」選挙に関わる心温まるお話
「爆笑問題 太田光 」氏
清志郎さんと初めて会ったのは、
この雑誌の連載で、
私が政治について、
「投票率なんか低い方が良い。
興味がなければ、選挙なんか行くな」
と書いたとき、
その文章に清志郎さんが怒り、
一度会いたいということで、
対談という形でお会いすることになったときだった。
指定された店で私は、
怒られるんだろうなぁと思い、
少し憂鬱で、
それでも清志郎さんと会えることは楽しみで、
緊張しながら待っていた。
そこへ清志郎さんは、
ホラ貝を吹きながら突然現れて、
「キミはケシカラァ~ン!あんなことを言っちゃイカァ~ン」と、
とても照れくさそうに、下を向きながら言った。
私は楽しくて、大爆笑してしまった。
清志郎さんは、
「キミのような影響力のある人が、
若者にアンナこと、
言っちゃイカァ~ン」と言っていた。
私がそれに反論すると、清志郎さんは、
「…うん。…うん」とジッと聞いてくれた。
私は、政治家なんかに世の中は変えられない。
それよりもRCの、
たった一曲の歌の影響力の方が全然強い。
政治なんかに期待することなんかないじゃないですか、
と熱弁した。
清志郎さんは、私の話を全部肯いて聞いてくれて、
私が話し終わったあとに、
「…それでも、あれは、イカン!」と、
またホラ貝を吹いて笑わせた。
その調子だから、論争なんかになりはしなかった。
今から考えれば清志郎さんは、
私と論争するつもりなど、
最初から、さらさらなかったのだとわかる。
私はあのとき、
自分ばかり言いたいことを言って、
いい気持ちになっていた。
“清志郎に、言ってやった”つもりでいた。
しかし私があのとき言ったことなんて、
清志郎さんは百も承知だったハズだ。
自分が影響力があるからこそ、
清志郎さんは真っ直ぐに若者に向かって、
「意識を持て」というメッセージを送っていた。
だから、無責任な主張を垂れ流してる、
私の言葉と態度が許せなかったのだ。
でも、だからと言って、
あの場で私を“言い負かすこと”なんかに、
清志郎さんは何の興味も持っていなかった。
だから、私がどうケンカを吹っかけても、
その度にホラ貝を吹いて笑わせた。
勝負だなんて思っていたのはこっちだけで、
清志郎さんは青臭い若造と勝負しようなんて気は、
初めからさらさら、なかったのだ。
(「テレビブロス」2009年5月30日号より)
12月13日(木)
湘南鵠沼海岸より。今日の富士山は絶景です。
「全体状況が暗くても、それと自分を分けて考えることも必要だ。~公の問題に押しつぶされず、それぞれがかかわる身近なものを、一番大切に生きることだろ
う。」吉本隆明はそう語っています。一面ではその通りだと思います。けれど、「公の問題」と「私的な問題」は完全に切り離すことができない関係にありま
す。「身近なもの」を大切にしながら「公の問題」にも意識を向けてゆくべきなのでしょう。そんなことを考えていました。
寛容、謙虚、遊び、ユーモアを忘れずに。
しっかり考えて、日曜日は投票に行きましょう。
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