2008年11月3日月曜日

「ベラ.チャオ」と「同期の桜」

金沢 もっきりや
ソウル.フラワー.アコースティック.パルチザン
【メンバー】中川敬(vo,g,三線)/リクオ(key,vo)/奥野真哉(key)
 前日のライブの主催者である渡辺くんに車で金沢まで送ってもらい、近江町市場で寿司を食ってから、会場入り。

 もっきりやは、いつ何時誰と来ても、旬な時間を過ごすことの出来る素敵な空間。この場に来るといつも力を引き出してもらう感じ。
 この日は、ライブ前半で中川君の三線の弦が切れて、しばらく演奏が中断されるアクシデント。でもライブって、こういうハプニングが盛りあがるきっかけになったりするのだ。
 三線は弦の張り替えに時間がかかるので、その間自分がトークで間をつなぐ。これが結構受けて、弦の張り替えが終わった後もしばらく話し続ける。

 アコパルツアー2日目にして演奏のクオリティーがぐっと上がった。メリハリの効いたいい演奏ができた。
 この日は、マスターの平賀さんのリクエストに応えて「ベラ.チャオ」や「インターナショナル」といった革命歌を演奏。こういう曲って、盛り上がるなあ。曲の構造自体が参加一体型という感じ。 
 どちらの曲も演奏していて、とても高揚するのだけれど、少しの違和感が残るのも事実だ。それは、自分がデモや集会に参加したときにきっと持つであろう感情だ。

  そう言えば「ベラ.チャオ」を演奏して、思い出したことがある。自分が幼い頃、同居していた父方の祖父が、一緒にお風呂に入った時によく「同期の桜」とい う軍歌を聞かせてくれていたのだ。祖父は寡黙な人で、自分は風呂場でしかその歌声を聴いたことがなかった。かって、職業軍人であり、シベリアにも抑留され ていた祖父が、何か特別な思いを持って、自分に歌って聴かせていたのではないかと思う。
 「ベラ.チャオ」はパルチザン(抵抗運動や内戦、革命戦 争における非正規の軍事活動、組織、およびその構成員)への参加を決意した男性が死を覚悟して、恋人に別れを告げるイタリア生まれの歌である。そして「同 期の桜」も死を覚悟した航空隊員の歌である。パルチザン.ソングと日本の軍歌を並列して語ることに抵抗を感じる人もいるかもしれないけれど、どちらも「大 義のため、守るべきもののために自分を犠牲にして、殺し合いの場に赴かねばならない」という不幸な背景を持つ歌であるという点で共通していると思う。自分 はこれらの歌に感じ取ることのできるヒロイズムに酔うことには躊躇を覚える。
 自分には革命家的な気質があまりないと思うけれど、ある時代ある場 所に生まれれば「インターナショナル」や「ベラ.チャオ」を歌いながら、拳を振り上げたのかもしれない。あるいは戦前の日本に生まれていれば、八紘一宇を 夢見てお国のために身を捧げようとしたのかもしれない。
 「インターナショナル」や「ベラ.チャオ」を選曲する中川敬のセンスやある種の問題意識は、現在の日本のミュージシャンの中では希有だ。

 打ち上げのときに、マスターの平賀さんから提案があり、急遽12月24日のクリスマスイブに、もっきりやでライブすることが決まる。

★もっきりやのマスター、平賀さん。

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