2011年11月23日水曜日

共感と違和感ーATMIC CAFEイベントに参加して感じたこと

「THE ATMIC CAFE TALK SESSIONN and LIVE」
大震災と原発事故。アーティストは何を感じ、観たのか。私達に何ができるか。
場所:代官山UNIT
1部 LIVE : 遠藤賢司、山口洋 (HEATWAVE)
2部 TALK SESSION : 加藤登紀子、ピーター・バラカン、田中優、山口洋 (HEATWAVE)、山本太郎、MC : 島キクジロウ (the JUMPS・弁護士)
3部 LIVE : SOUL FLOWER ACOUSTIC PARTISAN(中川敬、リクオ、高木克)

 この日のイベントには、 3.11以降、被災地支援と脱原発への行動と発言を積極的に行っている表現者が集まった。自分にとっても、とても興味深いメンバーだった。

 エンケンさんのライブを体験するのは久し振りだった。お会いするのも久し振りで、楽屋でも少し話しをさせてもらった。「PROJECT FUKUSHIMA!」に関わる遠藤ミチロウさんのことが話題になったときに、エンケンさんが語気を強めて「ミチロウは偉い!」と言っていたのが印象に 残った。
 エンケンさんのパフォーマンスは異形の度合いが増々強まっていた。終始圧倒するようなパフォーマンス。安易な共感を求めない毅然とした孤高を感じた。 64歳にして、自分を取り巻くあらゆる違和感と戦い続けている人なのだろう。「目を背けたいのに背けられない感じ」この日のエンケンさんのライブを体験し た知人が、イベント後に聞かせてくれた感想だ。
 エンケンさんがステージ上でのMCで、3.11以降に確認したことの1つとして「オレは自分のことをやる。音楽で表現する。」という内容のことを語っていたのも印象に残った。
 ステージ上でエンケンさんの生き様を見せつけられて、あらためて「凄い人やな」と思った。そして「自分はあんな風には闘えない。闘わない闘い方をしよう。」とも思った。
 TALK SESSION にはミュージシャン側から山口洋も参加した。他の参加者がステージ上でよどみなくスピーディーに発言を畳み掛けるなかで、彼が発言する場面は少なかった。 ただ、気持ちを噛みしめるように語る彼の言葉からは実感がよく伝わってきた。
 TALK SESSION では興味深い話が色々と聞けたけれど、パネラーの1人だった田中優さんが「危機感を煽る運動は長続きしない。リアリティーを伝えることが大切」という内容のことを語られていたのが特に印象に残った。
 山本太郎さん、加藤登紀子さんの2人が発するエネルギーには圧倒された。「3.11以降を長期戦だという人がいるが、原発は短期戦ですぐに止めなければ いけない」山本太郎さんはそう語った。彼の確信に満ちた態度と強い口調には、頼もしさと同時に正直、違和感も少し持った。
 「違和感を大切にして、自分で考え、判断して、行動する。」ツアーの間、ケイヤンの口から何度も聞いた言葉だ。この数ヶ月の間、その言葉の意味を実感するような機会が何度もあった。
 自分は、山本太郎さんに抱いた共感と違和感の両方を大切にしたいと思う。共感ばかりでなく違和感を持ちつつ連帯することも可能だと思うのだ。「短期戦や 断定によって見落とされるもの、損なわれるものをすくいあげ、丁寧な問いかけを続けてゆこう」彼の言葉、態度を受けて、自分はそんなことを思った。
 TALK SESSION を終えた後、山口洋が「アコースティック・パルチザンのステージに飛び入りしてギターを弾かせてほしい。」と申し出てきた。「この日のステージをミュージ シャンとして終えたい」という彼の気持ちは理解できる気がした。アコパルの3人に彼の申し出を断る理由は何もなかった。
 アコパルのステージ上では誰も原発に関する発言をしなかった。意識してそうなったのか、演奏に集中していて、たまたま発言しなかっただけなのか、他のメ ンバーの気持ちはわからないけれど、音楽そのものに充分メッセージや態度が表明されていたように思う。

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