来月の4月1日から「電気用品安全法(PSE法)」っつうのが実施されるという話を聞いたのは2週間程前。なんでも01年以前に生産された電気用品の売買
が実質的に禁止になるんだとか。冷蔵庫とかク-ラーといった家電とともに、電子楽器、テープレコーダー、レコードプレイヤーといった音響機器も対象になる
とのこと。ダニー.ハザウェイのライブ盤でもおなじみのウィリッツアーや、レイ.チャールズやスティービィー.ワンダーも愛用したフェンダーローズといっ
たエレキピアノも、もちろん対象にはいることになる。今のデジタルピアノやコンピューターのソフトウェア音源の多くには、この2種類の楽器の音もシュミ
レートされたていて、かなり精度で近い音を出しているけれど、やはり元の音の良さ、存在感にはどうしてもかなわない。
現在、あらゆるデジタル音響機器及びコンピューターが、さまざまなアナログ音響機器の音質の再現にやっきになっているけれど、そこにはどうしょうもない限界が存在している。
音の善し悪しの感覚は人によって違うけれど、音質に柔らかさや空気感、奥行き、味わい、太さといった要素を求めてゆけば自然と、現在では製造中止になって
いる古い音響機器に頼ることになる。だから、音楽の現場では今も、中古でしか手に入らない音響機器が現役バリバリで大活躍している。
現在、アルバム制作中の身の上故、余計に実感するのだが、現代の音楽制作現場は、21世紀最新型のデジタル機器と20世紀のアナログ機器が、手と手を取り合って成り立っていると言える。どちらが欠けてもだめなのだ。
この法案の作成に携わった人達はこういった現状を恐らく何も把握していないのだろう。
この法が実施されても、中古品の売買が完全に禁止されるわけではないというのだが、電子楽器類は販売者の自主規制プラス自主検査、1千ボトル以上の絶縁体
力試験などが課せられるそうだ。この法律に準拠するための手段として、ACアダプター対応にするために電源管理回路を改良、
変更する手段があり得るらしいが、それだと本来の音質や機能は発揮できなくなってしまう。つまり、実質的には中古品の売買が難しい状況に追いやられてしま
うようなのだ。
実際に中古楽器の下取りをやめてしまった業者も既に出ているそうで、この法の実施が音楽の送り手と聴き手に与える影響は深刻に思える。リサイクルという観点からも、この法律はどうなんだろうかと思う。
大体、この法案が成立してから5年の間、最近までほとんど報道されることがなかった、つうのはかなりおかしいんではないか。音楽業界のほとんどの人間がこの法のことを、最近まで全く知らなかったはずだ。ちょっと、あんまりちゃう?
電気用品安全法(PSE法)に対する署名
https://www.jspa.gr.jp/pse/index.cgi
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