2011年12月16日金曜日

しゅんのピアノは65歳

岩手県盛岡 紅茶の店しゅん
 テリーの運転する車で山形から盛岡へ。峠に近づくに連れて雪が深くなってゆく。
 道中、テリーと色んな話をしたけれど、内容はやはり震災、原発の話が多かった。テリーは今回の震災による津波で4人の身内をなくしている。行方不明に なった親族を何週間も探し続け、遺体を確認するまでの話を、彼から聞いている内に、自分の中の想像力を閉じてしまいたい気持ちになった。あまりにもつらい 話だったのだ。

 盛岡は山形よりもさらに寒かった。京都の底冷えをさらに厳しくしたような寒さ。
 しゅんのピアノは今年で65歳を迎えるそうだ。ツアー先で自分が弾くピアノの中では、最高齢だろう。1年振りにしゅんのピアノに触れて、音を奏でてみたら、自分の指先と耳がそのタッチと音色をしっかりと覚えていた。
 この夜のライブは、しゅんでしか味わえない空気感に満ちていた。この日演奏した「哀歌」という曲は、このピアノの枯れた味わい深い音色にぴったりで、演奏中、今までにないくらいにインスパイアされた。
 しゅんに通い始めて15年の歳月が流れた。ママはやせたなあ。でも笑顔で再会できてよかった。皆少しづつ年を取る。変わらないものと、移ろいゆくもの、その両方を感じさせられる、しみじみと味わい深い夜だった。

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